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【デザイナー対談】Design Mattersを振り返りながら考える、東急とデザインの今後

こんにちは、東急株式会社「URBAN HACKS」採用担当です。

URBAN HACKSは、交通事業を軸に不動産や商業施設開発、ホテル、レジャー等多彩な事業を展開している東急株式会社が、街づくりにおけるDXを目的に、2021年7月より生まれた新組織です。現在、新たなイノベーションを生み出すべく、積極採用を進めています。

今回は、東急がスポンサードしたデザインカンファレンス「Design Matters’23 Tokyo」について、実際にイベントに参加メンバーから3名のデザイナーに振り返っていただきました。

今まさにURBAN HACKSでデザインについて考えているメンバーは、果たして最先端のデザインカンファレンスで何を感じたのでしょうか。東急が目指す事業のあり方に深く結び付くお話を伺えました。

学びとURBAN HACKSの認知度向上を目的にスポンサーシップに参加

―今回、東急がDesign Mattersのスポンサーとして参画した背景について教えてください。

高山:Design Mattersはデザインカンファレンスの中でも参加者同士の交流を重視しており、なおかつ業界トレンドを押さえつつ視野の広い開拓ができるような工夫がなされたイベントです。特に今回は「AI+Design(AIとデザイン)」「Planet-centric design(惑星中心デザイン)」「Designing for well-being(ウェルビーイングのデザイン)」という3つのトピックが掘り下げられています。

これらのテーマは東急グループという大企業としての振る舞いが関係する意味で興味深く、学びの機会になると考えてスポンサーシップへの参加を決めました。

髙橋:内製組織であるURBAN HACKSの存在を認知していただく意図も大きいですよね。

山嵜:日本はどうしても国内に閉じたカンファレンスが多いのですが、Design Mattersは国際色豊かで、グローバル観点で相互にコミュニケーションが取れる点も魅力ですね。

―今回はスポンサー企業として、具体的にどんな取り組みを実施したのでしょうか?

髙橋:企業ブースを出展し、認知拡大を目的としたグッズ頒布を行いました。今回はバックハンガーやポケットティッシュ、コースター、ステッカーなどを作っています。当日は、グッズをきっかけにお話しできた方もいました。

山嵜:今回当社メンバーは登壇しませんでしたが、セッションから得た学びは多かったです。他社のデザイナーの方々と交流も図れました。

☝️東急 URBAN HACKSのグッズの一部

Design Mattersのテーマが問いかける「提供者」としての東急の在り方

―Design Mattersを通して皆さんがどんなことを感じたのか、ざっくばらんに感想をお聞かせください。

髙橋:AIが担うべき部分とデザイナーが担うべき部分の、線引きの話が印象に残っています。AIには帰納的推論が得意ですが、一方で、アブダクション(論理的推論)の部分はデザイナーが担うべきという主旨でした。エキスパートとしてのフィルターと倫理観をしっかり持つことが求められるわけですね。改めて、AIの使い方については信念を持ちながらも、慎重さと挑戦心のバランスを意識していきたいと思いました。

高山:AIを使う際の倫理観は、実は歴史上定期的に訪れるテーマに類似しているんですよね。例えば電卓の登場によって職を失う人が出て、社会運動が起きたこともあります。

新しいテクノロジーによってユーザーの生活が良くなる部分もあれば猛毒になる部分もあるので、東急自身も提供側として「AIの使い方」は考えるべきです。

山嵜:私はtakejunさんのウェルビーイングの話が興味深かったです。そもそもウェルビーイングとは何かという問いから始まるのですが、ChatGPTに尋ねてみると「木に例えられる」と言うんですね。木には幹があって枝葉が伸びていきますが、ウェルビーイングで大切なのはユーザーの根を見つけて、幹を育てること。そして枝葉には最終的に果実が実る……。

プロダクトやサービスをデザインすること自体も、木に例えると腑に落ちます。手法やフレームワークに目が行きがちですが、改めてユーザーに向き合う大切さを感じました。

自分たちが事業に取り組む意義と、今後デザイナーが持つべき信念

―さまざまな学びがあった中で、今後の東急の事業に通じると感じるような内容はありましたか?

髙橋:高山さんも言ったように、東急も近い将来、AIとは無関係ではいられないと思います。また、今回のテーマにもう一つ「Planet centric design」がありました。東急の事業には東急沿線地域で生活される方々が関わっておりますが、私たちは沿線のみならず広く社会に対して価値を提供していくことを目指しています。その観点では、惑星中心デザインとURBAN HACKSが掲げる「PEOPLE」「URBAN」「SOCIETY」のビジョンは地続きなんじゃないかなと考えています。

山嵜:「SOCIETY」が「惑星」そのものなのかもしれません。特に東急がリアルとデジタルを融合させていくのは、惑星を創り上げていくことにつながっている部分がすごくあるなと。短期的なKPIの達成も大事ですが、自分たちが公共性の高い位置にいるという視点を持つのは大事です。

高山:それこそ、Webやアプリに限らずアクセシビリティに関しては「街の装置」として、お客様が日々の生活で困らないようなを作る必要があります。例えば何か事故や災害が起きたときに適切なアクションができるよう、健常者かどうか、性別、年齢も関係なく、全てのユーザーに真摯に向き合っていくイメージというか。

山嵜:いわゆるインクルーシブデザインですね。さまざまな方が働き、住み、遊ぶ場所を作る意味で、誰一人取りこぼさない、包括的なデザインで暮らしを支えるのが我々の責務です。こういう観点も、改めてDesign Mattersで意識させられました。「HOW」ではなく、「WHY」、自分たちがなぜその事業に取り組んでいるのかを問われるような側面が強かったです。

これはやはり、東急の事業が強い公共性を持っているからこそです。営利だけを求める企業ではないんですね。改めて東急で働く面白みにもつながるのかなと。

―デザイナーという立場からは、AIをはじめとした新しい技術に関してどのような考えを抱きましたか?

山嵜:デザインは今後、「技術を使って何をするか」という観点がより大事になるなと思っています。今までは技術力の向上が豊かな生活に直結していましたが、今はそうとも限りません。デザイナーは改めて人間そのものに向き合い、哲学を持ってデザインをする必要があるでしょうね。

髙橋:新しい技術が好きなデザイナーはこういう時に時流に乗りやすいですよね。一方で、技術が生活者に与える影響にはいつも自覚的でいたいと思っています。実際、デザインによって悲劇的な体験が起きる事例も存在しますし。視野を広げて、ポジティブな面にもネガティブな面にも目を配ることが求められる職能と捉えています。

高山:時代によって人の判断基準すら変わってしまいますからね。「心の機微」こそ最先端を追うべきでしょう。だからこそデザインは哲学と切り離せませんし、いかに信念を持って、何を伝えようとするのかが重要になると常々実感します。

そういう意味では、歴史を紐解くのも一つのポイントになります。例えば今、年配の方は「スマホの使い方を誰かに教えてもらう必要がある立場」になってしまいました。これまでは人に教える立場だったのに、です。自分が自分でなくなるような感覚もきっとあるでしょう。そういう機微も含めて、AIを含めた技術をどう社会実装して、ウェルビーイングの観点で街をより良いものにしていくのか。ここを考える必要性を、強く感じています。

キーとなるのは、若い方と年配の方をつなぐ「架け橋世代」の存在ですね。東急も、世代間のハブとなるような世代には注目していますし、私たちのプロダクトにおいても組み込んでいるところです。

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