こんにちは、東急株式会社「URBAN HACKS」採用担当です。
URBAN HACKSは、交通事業を軸に不動産や商業施設開発、ホテル等多彩な事業を展開している東急株式会社が、街づくりにおけるDXを目的に、2021年7月より生まれた新組織です。現在、新たなイノベーションを生み出すべく、積極採用を進めています。
今回のインタビューは、東急グループ全体の共通基盤開発プロジェクトでプロダクトマネージャーを務めている、古川さんと北村さんです。なぜ今、東急が共通基盤を作ろうとしているのか、目的や開発の具体的な内容についてお伺いしました!
プロジェクトの課題設定から体験設計、開発オペレーションまで手掛ける
―最初に、お二人のこれまでのキャリアと東急への入社理由について教えてください。
古川:私はWeb制作会社のプログラマーやフリーランスを経て、SNS の Twitter、決済 SaaS の Stripe などを経験し、東急に入社しています。
これまではソリューションアーキテクトとして、外部顧客の技術的な問題解決にあたっていましたが、今後は自社の問題解決に取り組んでみたいと思い、東急に入社しました。
北村:私は新卒で富士ゼロックス(現:富士フィルムビジネスイノベーション)に入社し、ソフトウェアやミドルウェア開発、プロジェクトマネジメントなどを6年間務めました。新規事業の立ち上げも経験する中で、開発に関するあらゆる業務をこなしてきましたね。
その後、介護系スタートアップに転職し、プロダクトマネージャーやCTOの役職などを担い、新規事業のPMFも達成したタイミングで、今度は違う仕事をしてみたいと決意。東急にジョインしました。東急でならプロダクトマネージャーとして課題設定の段階からコミットできそうでしたし、私自身が東急沿線に10年近く住んでいたので、身近な場所に価値提供できるのも魅力でした。
―お二人は現在どのような業務を担っているのでしょうか?
古川:私はサーバーサイドエンジニアとして入社しましたが、現在は共通基盤開発のプロダクトオーナーを務めています。
北村:私は共通基盤開発のプロダクトマネージャーを務めています。プロダクトの課題設定や体験設計、開発オペレーションの推進まで、幅広く取り組んでいますね。
👆プロダクトオーナー 古川 (zoomでの写真)
共通基盤を通して東急グループ全体で顧客に価値提供をしたい
―現在のURBAN HACKSのプロダクト開発の状況について、簡単に教えてください。
古川:現在リリースしているプロダクトは、東急カード、東急ホテルズ、東急電鉄のアプリの3つです。そのほかにもCMS刷新や乗車券サービス、ID基盤構築、ポイント改善などさまざまなプロジェクトを推進しています。
基盤開発に関しては、すでにローンチに向けて動いているプロダクトもあれば、まだまだプロトタイプや調査段階のプロダクトもあり、開発状況はまちまちです。
―お二人が担当している共通基盤の開発は、何を目的としているのでしょうか?
古川:大目的は、東急グループ全体で顧客に価値提供をすることです。今はそのために必要な仕組みが存在していない状態なんです。各事業が提供しているアプリなどはそれぞれの事業の課題にフォーカスして開発されたものなので、それらを連携させるのは現状難しくなっています。
そこで、各事業が共同利用する API ベースのSaaS/BaaS*を共通基盤として開発し、顧客の識別と理解、誘導の仕組みを作ろうとしています。
*BaaSとは:Backend as a Serviceの略で、Web/モバイルアプリが持つバックエンド機能をアプリケーションサーバー側が代行するクラウドサービスのこと。
―連携が難しいのは、やはり東急の事業数が多いからなのでしょうか?
古川:事業数が多い分、利用者も多いですからね。また、各事業形態が大きく異なっているのも、連携を難しくしている要因の一つです。
例えば電車を運行する仕事と、スーパーマーケットで商品を販売する仕事では、全く考え方が違いますよね。スーパーでイチゴの入荷が遅れることと、電車の運行が遅れることは、大きく意味が異なります。ECサイトではお客さんが増えれば単純に喜ばしいですが、電車は人が増えすぎると混雑や遅延の原因になるでしょう。
こうした事業特性を考慮する必要がある点で、東急の共通基盤は一般的なIT企業と一線を画します。だからこそ東急の共通基盤の開発にあたっては、各事業の課題を一歩引いた目線で見て抽象化するのが重要ですね。
北村:KGIは同じでも、KPIの構造や優先度が違うイメージですね。KPIが一致していないと、単純に機能を汎用化しても全ての事業に対して価値を発揮できません。このあたりの調整も難しいポイントです。
👆プロダクトマネージャー 北村 (zoomでの写真)
東急の各事業が有機的につながり、プロモーションできる世界を目指して
―具体的にどのような共通基盤を開発しようとしているのか、イメージを教えてください。
古川:一つはポイント制度用のSaaS/BaaSです。事業間でポイントを連携させつつも、各事業が独立してポイント制度が運用できるような仕組みを考えています。例えば大きなポイント制度が一つあったとしても、レンタサイクルで100m走るごとにもらえる1ポイントと、デパートのお買い物で付く1ポイントの価値はイコールではありませんよね。東急にはこうしたポイント制度の仕組みが複数ありますから、それぞれを自立させたまま、特定の形で連携ができるようなあり方を模索しています。
もう一つはIDと認証です。現状、東急はサービスごとに異なるIDを発行して会員制度を構築していますが、「東急グループのID」の可能性を探っています。
北村:共通のIDは顧客の識別と理解、誘導をするためでもありますし、CXの観点でより良いログイン体験を提供するためでもあります。アカウントを一つ取得するだけで東急グループのサービスを全て利用できる世界ですね。
また、時代に合わせた最新の認証方式に追従しやすくなるメリットもあります。
古川:最後がデータ収集分析基盤です。グループ全体の顧客の行動を一箇所に集約し分析をすることで、東急として顧客理解を促進したいと考えています。これは先程お伝えしたIDと認証基盤がないと実現できませんから、まだまだ構想の段階です。
例えば東急電鉄を利用したお客様が何駅で降りて、どんな行動をしているのか。こういったデータを取得できれば、東急として有機的に新たな価値を提供できるはずです。ECサイトの場合は、システム側でユーザーがどんな商品が好きなのかを把握して、レコメンドしますよね。それと同じことを、リアルなタッチポイントで実現しようと思っています。
―共通基盤が完成すると、どんなユーザー体験が生まれるのでしょうか?
古川:例えば、Aさんという男性ユーザーがいたとしますよね。その人に、こんなご案内ができます。「こんにちは、イチゴ好きのAさん。1駅先のビルで、『いちごフェア』を開催しています。今お持ちの東急の352ポイントをご利用いただけますので、ぜひお越しください」。
これは、Aさんが東急サービスのユーザーで、スーパーやECサイトの履歴からイチゴ好きであるとわかっていて、利用している鉄道や保持しているポイントの情報も取得している状態だからできるご案内です。その結果、Aさんは自分が知らなかった1駅先のビルの顧客になり、好きなイチゴを安く買える。このような価値提供を目指しています。
北村:鉄道、食品のリテール、ポイントプログラム、デベロップメント。こういった事業が有機的につながって、リアルタイムでプロモーションを打てるようになることを期待しています。
👆オフィス風景 (WeWork 渋谷スクランブルスクエア)
自らオーナーシップを持って事業にドラスティックな変化を起こせる
―東急で働く魅力や、共通基盤を開発していて感じるやりがいなどがあれば教えてください。
北村:私は東急沿線の住民なので、自分の日常に近い事業をドラスティックに変えられるプロジェクトに携われるのが、東急で働くやりがいになっていますね。今の子供たちが大きくなったときに、生活様式がもっと便利になっているだろうという壮大なビジョンを描けるのがうれしいです。
古川:共通基盤はすでに述べているように、B2B2Cのプロダクト――SaaS/BaaSです。共通基盤の先には各事業で使われている別のソフトウェアがあり、その先に東急のユーザーがいる構造になっています。言ってみれば全事業を俯瞰して見られるプロジェクトなので、そこで東急の根本的な課題解決をしていくのは、非常に面白いですよ。各事業のCX目線で出てきた課題を、フロントから一番離れたバックエンドの技術を駆使して解決していくのもやりがいがあります。
北村:自分たちで課題を定義して進めていけるところも楽しいですよね。
古川:今、共通基盤について考えているのは私たちのチームだけですから、オーナーシップを持てますしね。エンジニアとしてなかなか体験できない部分でもあります。
👆昨年11月のワークショップでの集合写真
何が課題なのかを的確に捉えられることが大事
―今後、どんな人と一緒に働きたいと思いますか?
古川:プロダクトマネージャーの役職に関しては、やはりプロダクトが抱える課題や、あるべき姿を一緒に考えられる人にジョインしてほしいです。共通基盤開発はユーザーインタビューが通用しない世界ですし、東急の各システムの管理者に聞いても、自分たちが担当している部分にフォーカスした答えが返ってくるので、最適解はなかなか導き出せません。そういう状況において自分たちで課題設定をして、エンジニアリング力を最大限発揮しながら開発することを楽しめる方は、大歓迎です。
エンジニアの場合は、ソフトウェアを相手にしたきっちりとした開発に、フレキシビリティを持たせる方法を考えられる人が求められます。フロント側では気付けないような課題を技術で解決したい方もマッチするでしょう。
北村:SaaS/BaaSの観点から考えると、やはり課題設定ができることは重要ですよね。ビジネス向けにはマネジメントツールが必要ですし、ユーザーが利用するインターフェースがある場合は、ユーザー体験も考慮する必要があります。これらを踏まえた上で課題を的確に捉えて、基盤全体のビジョンや方向性を定められる方だとうれしいです。
―最後に、読者の方へメッセージをお願いします!
古川:今はチームが立ち上がったばかりで制約が極めて少なく、ゼロベースから自由に開発を進められる状態なのがURBAN HACKSの魅力です。まだまだ自明ではない課題を発見したい、事業間の連携において複雑な問題を技術や設計で解決したい方は、ぜひURBAN HACKSに来てください。
北村:スクラップアンドビルドができる組織ですし、今は積極的に失敗もできる環境です。自分が考えたアイデアが、東急全社で利用されるライフサイクルに乗る――。そこに魅力を感じる方は、ぜひ入社を検討してみてください。