こんにちは、東急株式会社「URBAN HACKS」採用担当です。
URBAN HACKSは、交通事業を軸に不動産や商業施設開発、ホテル等多彩な事業を展開している東急株式会社が、街づくりにおけるDXを目的に、2021年7月より生まれた新組織です。現在、新たなイノベーションを生み出すべく、積極採用を進めています。
今回のインタビューは、URBAN HACKSで「東急線アプリ」のリニューアルプロジェクトに携わったメンバーの皆さんです。2022年9月にリリースされた東急線アプリがどのように開発されたのか、実装した機能や開発プロセス、苦労したことなどについて教えていただきました!
東急線アプリの開発を手掛けるベテランエンジニア&デザイナー
― まずは、皆さんのキャリアや東急に入社した理由、現在の業務内容を教えてください。
左から四方、森元、山本、宇都木
四方:私の前職はDeNAで、10年以上一貫してiOSエンジニアとして開発をし続けています。URBAN HACKSにジョインしたのは、東急からお声掛けをいただいたのがきっかけでした。そのとき自分が働いていたオフィスも東急のビルだったと知り、東急ならリアルアセット×デジタルでさまざまな展開ができるのではと魅力に思ったのが入社理由です。現在もiOSエンジニアを務めており、東急線アプリを手掛けています。
森元:私は新卒で経路探索のアプリや検索エンジンを提供している企業に入社し、6年ほど務めてから転職を決めました。東急に応募したのは、URBAN HACKSのLPなどを見たのがきっかけです。私自身が東急線沿線の住民だったため、この企業の開発なら自分ごととして捉えられると感じ、ジョインしました。現在は東急線アプリのAndroidエンジニアを務めています。
山本:私はIT系の事業会社を3社ほど経験していて、東急に入社する以前はコンサル会社で働いていました。ただ、コンサルタントは肌が合わず再度転職を決意。資金面も含めて自社事業に対して一気にアクセルを踏めるような会社がいいと考えて、東急に応募しました。私が入社したのは2021年11月で、東急のサービスに関わるUI/UXをメインで担当しています。現在は東急線アプリの中でも、バス周りに注力中です!
宇都木:私はITコンサルを目指して新卒でIBMのグループ会社であるSIerに入社しましたが、働くうちにプログラミングの面白さに目覚めてバリューコマースに転職。Web系エンジニアに転身しました。その後、サイバーエージェントでサーバーサイドエンジニアや開発リーダーも務めています。そのうち、「もっとリアルに近い場所で活用されるエンジニアリングをしたい」という気持ちが強くなり、東急に入社しました。現在は東急線アプリのサーバーサイドを担っています。
膨大な情報を整理しインフラ企業として利便性の高さを追求
― 2022年9月に東急線アプリがリニューアルされました。アプリの概要やリニューアルに至った経緯などについて簡単に教えてください。
四方:東急線アプリは、東急電鉄・バスの運行情報や混雑度などをお届けするサービスです。東急沿線を利用する方の中でも、特に通勤・通学で日常的に利用する方をメインターゲットにしています。東急線アプリの課題探索が始まったのが、2021年11月頃です。
私と山本さん、森元さんがチームを組んで、1ヶ月ほどかけて機能の優先順位やUIの再設計などを踏まえたプロトタイピングを行っていきました。実際にリニューアルプロジェクトが始動したのは、2022年2月頃です。バックエンドエンジニアの宇都木さんやプロダクトマネージャーなども加えた体制で推進することになりました。
― 実際にどのような機能をリリースしたのでしょうか?
山本:まずは画面です。従来のUIはiOS主体の設計になっていたため、Androidユーザーにとっては違和感が大きい画面になっている問題がありました。
四方:歴史が積み重なっているアプリだからこそですね。安心感はあるけれど、良い表現ではないですが野暮ったいイメージになっていました。
山本:掲載している情報も非常に多く、インストールしたユーザーからは「何から触ればいいのかわからない」といったお声もいただいていました。そこで今は、ユーザーが利用する主要駅を起点に必要な内容だけをマイページに表示する設計に変更しています。
もう一つ大きな変更をしたのは、プッシュ通知ですよね。
宇都木:東急線アプリで通知したいのはリアルタイムの交通情報なのですが、従来は通知を開かないと何の情報をお知らせしているのかわからない状態でした。インフラ企業として、そこは通知のみで迅速に正確な情報を伝えるべきだと考え、アルゴリズムを変更したんです。今はシステムを通じ、適切な内容に組み直した通知を遅延なく送れるようになっています。
山本:これは、ベンダーに外注したら1億円はかかるくらいの大規模な改修内容だったんですよ。ですから宇都木さんは社内で「1億円の男」と呼ばれています(笑)。スピード感を持って改善できて費用も抑えられたのは、内製化のメリットですね。
― バス情報の連携強化も行ったと伺っています。
森元:バスは系統が非常に多く、アプリ上で検索しづらいのがネックでした。リニューアルをするにあたっては、通勤通学で利用するユーザーがメインターゲットだったため、系統を意識せずに即座に自分の行きたいルートのバスを見つけられるUIにしたいと思い、バスルートの可視化を提案しました。
実際に今は複数の系統をまとめて見られるようになったので、利便性がかなり向上したはずです。
山本:バスは現在も、さらなる改善に向けて動いている最中です。
四方:もともと東急線アプリのユーザーは9:1ぐらいの割合で電車の利用者が圧倒的だったのですが、アプリリニューアル後は2:1にまで差が縮まり、バス利用者のユーザーが大幅に増えました。その分アプリへのご意見もたくさんいただいていていますし、今まで使っていてくださっていた方も含めて全員が使いやすいような形に進化させていくつもりです。
職能も部署も分け隔てなくONE TEAMで開発を推進した
― 実際の開発はどのような流れで進んでいったのでしょうか?
四方:プロダクトの意思決定は我々のチームが持っていましたが、解決すべき課題の策定やユーザーにどのようにアプリを使ってもらうのかといった部分は、事業社側に裁量があります。ですからまずはターゲットとなるユーザーやアプリの使い方、解決できる課題、目指すKPIなどを開発サイドで策定し、合意を取るところから始めました。その上で画面のプロトタイプをたたき台にして、メンバー4人が集まって細かな仕様を決めていったような流れです。
こういった形の開発は、私の前職とは全く違いますね。基本的に分業制だったため、プランナーやマネージャーが決めた仕様をエンジニアが実装し、QAに渡すようなフローでした。
森元:私はフロント寄りのエンジニアなので、これまでもデザイナーの方と一緒に進めることはありました。ただ、バックエンドエンジニアともここまで密に連携したのは今回が初めてです。
宇都木:私もアプリエンジニアと会話しながら進めるのは初めてだったのですが、デザイナーの方とも話しながら仕事をしたのも初めての経験でした。
山本:私も前職などで一緒に働いてきたエンジニアとURBAN HACKSのメンバーは、全く違うと感じました。今まではデザイナーから細かく指示を出して動いてもらうシーンばかりだったのに、URBAN HACKSのメンバーは何も言わなくても察して行動してくれることが多くて。本当にスピードが速いですし、初めて組むチームなのに意思疎通もスムーズにできました。
特に宇都木さんはいわゆる「エンジニアっぽさ」が全くなくて、一緒にアプリ内で使うカバー画像の撮影に行ったりもしたんですよ。デザイナーとバックエンドはかなり立ち位置が離れていて、一般的な開発ではあまり会話も生まれないのですが、宇都木さんとは頻繁にコミュニケーションを取っていました。正直すごくやりやすいです。メンバーに恵まれたと思いますし、開発を重ねるごとに電鉄社、バス社も含めてONE TEAM化している気がします。
初めてずくめの試みも、仲間と一緒に乗り越えてリリースを実現
― では、開発の中で苦労したことや、その中でやりがいに感じたことはありますか?
四方:山本さんが言った「ONE TEAM感」の醸成は実は苦労したところであり、やりがいでもありました。最初は東急の社内でもURBAN HACKSがどんなことができる組織なのかわからない状態でしたし、DXによって本当に自社が変わるのかどうかも、信じられなかったと思うんですね。
だからこそ、最初は「作って見せる」を心がけ、プロトタイピングで実際に作ったものを手元で動かしてもらうことを意識していました。目に見えるもので良し悪しも判断してもらいながら、一体感を生み出していけたのは楽しかったです。
山本:今回のプロジェクトは大変ではありましたが、「一人で開発しているわけじゃないんだ!」と実感もできました。フロントエンド、バックエンド、そして事業サイドのメンバーと一緒に作り上げていったからこそ、自分だけでは思いつかないアイデアも生まれて、非常に面白かったです。
特に私はそもそもドメインの知識がなかったため、前職が鉄道関係だった森元さんからはかなり学ばせていただけて良かったです。今も日々勉強しながら開発しています。
宇都木:私も皆さんと同じく、職種で境界を決めずにみんなで意見を出し合って開発できたのはすごくやりがいを感じましたし、楽しかったです。
逆に苦労をしたのは、サーバーサイドやバックエンドを担当していたのが当初は私一人しかいなかったことですね(笑)。インフラ構築で導入したGCPは未経験でしたし、ほかにも鉄道やバスのデータを活かすシステム構築や異業種との協業なども含めて、何から何まで初めてずくめでした。途中からはベンダーとの窓口対応やプッシュ通知の開発も重なったので、本当に大変でした。
今後は業務が属人化しないよう、自分の担っている領域を分担してスケールさせていくつもりです。
森元:私もアプリのリニューアルを手掛けるのは初めてで、調査も実装も大変でした。四方さんがすごく速いスピードでiOS画面を作っていたため「Androidが遅れている!」と焦ったりして(笑)。でも、先に懸念事項を潰してもらえたおかげでとてもやりやすかったですし、助かりました。
また、私は前職で鉄道会社のアプリ運用をしていましたが、社内が受託開発的になってしまい、「こうしたほうがユーザーにとっては良さそう」と思っても、なかなか改善できないシーンがゼロではありませんでした。そういう意味でいうと、URBAN HACKSのメンバーはもちろん、事業サイドとも一緒に「良いものづくりをする」という気持ちで開発できたのが、やはり大きなやりがいになりましたね。