今回の社員インタビューでは、プラントサイエンス部門を率いる池末 龍児さんをご紹介します。
Oishii Farmの研究開発のコアの一つである、プラントサイエンス部門をリードする池末さんに、植物工場に興味を持ったきっかけや、Oishii Farmへの参画の理由、そして想いなどを伺いました。
ー まずは、池末さんのこれまでについてお伺いできればと思います。どういう経緯で植物工場という業界に興味を持たれたのでしょうか。
私は元々生き物が好きだったので、大学では植物の研究をしようと理学部を専攻しました。修士課程まで進み、ヒゴタイという絶滅危惧種を保護するための遺伝学、生態学の研究に従事しました。
卒業後のキャリアを考えたとき、生き物に関わり、かつ、自分自身で新しいものを作り出すことができるという点で「植物の品種改良」に魅力を感じ、その道を歩むことに決めました。品種改良は、これまで病気などで困っていた農家を耐病性をもった品種で助けることができたり、市場ニーズにマッチしたものを開発すると一気に市場を席巻できたり、ワクワクする領域です。
新卒で大手の種苗会社に入社し、日本市場向けのメロン、インドネシア向けのトマトやトウガラシ、そしてアメリカ向けのメロンの品種開発などに携わってきました。8年目には希望していたアメリカ駐在も叶い、5年ほど赴任したのですが、そこで転機となる出来事がありました。
カリフォルニア州の生産農場でメロン開発のための試験栽培を行っていましたが、2年連続で干ばつが発生し、育てていたものの多くがダメになってしまったのです。そのときに「気候変動には、この先品種改良だけでは太刀打ちできない。いくら品質がよいもの、耐病性を持ったものを開発しても、育てることができなければ意味がない」と痛感しました。
未来においしい野菜や果物を残していくためには、栽培環境をコントロールできる植物工場を成功させなければならない。そう考え、植物工場の世界に足を踏み入れることにしました。
ー その後は、どのようなキャリアを歩まれたのですか。
14年勤めた種苗会社を後にし、植物工場ベンチャーを経て、日本の植物工場業界で先陣をきっていた最大手企業に入社しました。当時、植物工場の中では葉物以外の作物を育てるのは技術的に難しいとされていたため、各社、葉物を育ててどう収益化するか、ということにチャレンジしている状況でした。私の会社でも、植物工場内におけるレタス栽培の収量をあげるための研究などに注力しており、私は部門のトップとして、研究開発をリードしました。
植物工場の可能性を肌で感じる一方で、葉物野菜は差別化が難しく、薄利多売のビジネスになってしまうので、事業を大きくスケールさせるのが難しいという課題も感じていました。
ー その後、どうしてOishii Farmに入社を決めたのですか。
品質に差の出るブランドが築きやすい作物を育てていかないと、植物工場をビジネスとしてスケールさせるのが難しい。そう痛感していた中で、実際にいちごに注力して、アメリカでビジネスを展開していたOishii Farmに興味を持ち始めました。そして、Oishii FarmがシリーズAで55億調達したというニュースが出たタイミングで、ここでなら植物工場を大きく展開することにチャレンジできるはずだと確信し、転職を決意しました。
もちろん葛藤もありました。当時Oishii Farmは日本には拠点を持っておらず、アメリカに単身赴任をしなければならない状況だったので、家族と離れてまで、子供たちを泣かせてまで自分の夢を追っていいのだろうか。そして、部長職を捨ててまで、スタートアップに入るべきだろうか。悩みに悩んだ結果、それでも「食糧飢餓を解決するサステナブルな農業を実現する」というミッションにチャレンジしたいという想いが強く、家族からの後押しもあり、入社することにしました。
ー 実際に入社してみて、どう感じていますか。
まず入って感じたのが、やはり優秀な人が多い、ということです。植物工場ビジネスをうまくスケールさせていくには、農業分野だけでなく、エンジニアやビジネス領域、その全てを高いレベルで融合させていく必要があり、どこが欠けてもうまくいきません。
Oishii Farmには、各分野のスペシャリストが在籍していて、日々議論を密に重ねながら、理想の植物工場の実現に向かってすごいスピードでイノベーションを起こし続けています。「One Team, One Fight」というバリュー(行動指針)がしっかりと体言されていて、お互いリスペクトする文化が浸透しているので、ちゃんと議論をして落とし所を見つけられるのが、強みになっていると感じています。
もちろん大変なこともあります。会社自体が、ものすごいスピードで成長しているので、そこにしっかりついていく、そしてチームを引っ張っていかなければなりません。またスピードとリスクはトレードオフである中で、どれだけリスクを最小化しながらスピードを上げていけるか、またどこまでならリスクを許容して進めていくかの判断をしていく必要があります。
ー 農業領域でキャリアを積んで来られた池末さんにとって、Oishii Farmで働く面白さはどんなところにありますか。
これまで得てきた経験をフルに活かしながら、新たなアグリテック分野にどう融合していくかを日々議論しながら作り上げていくことが、とても面白いと感じています。
また業界の中で後追いではなく、先陣を切っているからこそ、何もかも0から構築していく必要があり、そこが大変でもあり、ワクワクする部分です。
そして何より、私たちのいちごやトマトを食べて、「おいしい!」と驚いてくださるお客さんの反応を見れることが、やりがいに繋がっています。露地やハウス栽培向けの品種開発では、収量向上や耐病性付与を目的とした研究をすることが多いので、これまでない新しい味を消費者の方に提供して、感動を与えることができる、というのは、素直にとても嬉しいです。
ー これからやり遂げたいことはなんでしょうか。
植物工場に最適化した品種開発を実現したいと考えています。これまで種苗は、各土地の気候や外的環境の制約の上で開発されてきましたが、環境をコントロールできる植物工場環境下であれば、前提条件が変わるので、これまでにない高品質・高収量の品種を開発することができます。これは、大きなブレイクスルーになります!
さらには、植物工場内で育てられる品目も増やしていき、世界の飢餓撲滅に貢献したいと考えています。
ー どんな方にご入社いただきたいと考えていますか。
私たちと同じく、サステナブルな農業革命を起こし、世界の安定した食糧供給に貢献したいと本気で想ってくださる方にぜひご入社いただきたいと考えています。
そして他人をリスペクトできて、日々自分の能力を高めようと成長し続けられる方が、マッチすると思います。
ー 最後にメッセージをお願いします!
世界的に異常気象や気候変動が進む中、安定した食糧生産の重要性が増しています。新たなサステナブルな農業の確立、そして、日本の技術を基盤に新たなグローバル産業を創るという壮大なチャレンジに、一緒に取り組んでくださる方を求めています!