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「服を通じて自信を持てるきっかけを作りたい」COHINAがこだわる商品企画の裏側

身長155cm以下の小柄女性のためのアパレルブランド「COHINA(コヒナ)」。「サイズや体型、そして社会にフィットしないことに思い悩む一人でも多くの人に、なりたい自分になる楽しさを届けたい。」そんな思いを持ちながら、日々サービスを提供しています。

今回は、COHINA代表の田中と商品企画(デザイン)を担当する川端のインタビューです。「お客様の視点に立って徹底的に考え抜く」。可愛いだけではない、COHINAならではの商品企画の裏側を聞いてきました。

プロフィール

田中 絢子(Ayako Tanaka) / COHINA代表(写真左)
1994年、神奈川県生まれ。身長148cm。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。新卒でGoogle Japanに入社し、代理店広告営業に従事。2018年1月、「自分に合うサイズの服がない」という自身の悩みに基づき、「COHINA」を立ち上げる。
川端 瑠里子(Ruriko Kawabata) / COHINA商品企画(写真右)
身長162cm。新卒で大手アパレル会社に入社し、販売を担当。2018年5月から業務委託としてnewnに参画。COHINAの企画生産全般を担当した後、現在は正社員として商品企画を担当。

服を通じて、“自信が持てるきっかけ”を作りたい

ーー 川端さんは、もともとアパレル系の会社にいらっしゃったんですね。

川端:はい。アパレル業界を目指したきっかけは、大学時代に「女性が自信を持てるきっかけを作る仕事がしたい」と思ったことです。大学で専門的に学んでいたわけではないのですが、もともと服が好きだったので在学中に服飾専門学校にダブルスクールで通って学んだりしていました。

新卒で入社した会社では、店舗で販売員をしていたのですが、そこで感じたのが「誰に求められている服なんだろう」という疑問で…。当時規模の大きな会社にいたので、商品の生産数も膨大だったこともあり、なかなか「誰のための」というのが見えにくかったんです。

この業界を目指した原点である“自信が持てるきっかけを作る”ためには「求められる服であることが前提なんだ」というのを感じて、退職を決めました。それが2017年頃です。

ーー その頃COHINAは立ち上げ直後ですよね?

田中:そうですね。COHINAは2018年1月に正式ローンチしました。当時はまだ人が少ない中でやっていましたが、Instagram LIVEを始めたらそれがとても好評で。大急ぎで人を集めている状況でしたね。

川端:私がジョインしたのは、ブランド立ち上げから4ヶ月くらいの頃でした。私は低身長ではなく当事者としてペインを持っていたわけではなかったので、まずは徹底的にユーザーヒアリングをして「小柄女性は何が欲しいのか!?」を模索していましたね(笑)「こういうことに困っているかも?」という仮説を元にすり合わせたり。

とにかく商品を無事に納品するということにフォーカスしていて、割と生産管理寄りの仕事が多かったかもしれません。2019年8月頃から、それまでエラーが起きまくりだった生産管理体制の基盤を整えてくれる方がジョインしてくださり、私も少しずつ商品企画の方に集中できるようになっていきました。

ーー 川端さんが次のステージとして、COHINAを選んだことに理由はあったのでしょうか?

川端:前職を退職した後は、他のブランドのお手伝いをしたり自分自身で受注生産制のブランドを立ち上げる準備をしたりしていました。COHINAに出会ったのはその頃で、シンプルに求められているニーズが明確だということが魅力的でしたね。世の中には誰のために作られたかわからない服が有り余っている一方で、こんなに「着られる服がない」と困っている人がたくさんいるということも当時の私にとっては衝撃的でした。

アパレルを始めるきっかけになった思いも、まさにCOHINAは実現できる場所だと思い入社を決めました。

着る人にどんな価値を届けたいかを徹底的に考える

ーー 組織が拡大してきて、今は商品企画としてどのような業務をやっているんですか?

川端:月ごとにチーフが商品構成を考え、それが企画メンバーに振り分けられるので、デザインを考えてプレゼンをします。一通りのフィードバックをもらい内容をブラッシュアップさせた上でファーストサンプルを作り、さらに修正を加えて量産に進みます。私自身が比較的長くCOHINAに在籍していることもあり、組織全体の流れを把握しているので、撮影、マーケ、オペレーションチームへの商品に関する情報の接続の部分をフォローすることも多いです。

ーー 商品企画に対し、代表としてはどのように携わっているのでしょうか?

田中:基本的にはデザイナーが主体となって企画を作ってもらい、私はレビューをする程度です。それも、MDとしてというより「小柄女性」として嬉しいポイントなど、顧客目線の意見を伝えるようにしています。

アパレル企業は、例えば「最終的には20型にするけど、候補をたくさん作ってコンペ形式で選んでいく」という所も多いのですがそういう形は取らず、確度高く量産に入れるサンプルを上げることで、効率的な生産体制を築いています。

私のディレクターとしての業務範囲は、最終的な発注数や販売時期等の決定です。

川端:企画の裁量は他の会社に比べても大きいのではないでしょうか。MDから作るアイテムについて詳細な指示が降りてくるわけではない分、商品企画として「どうブランドを見せていくか」を考えながら、全体の計画に合わせてバランスを取るようにしています。

ーー チームの雰囲気はどういう感じでしょうか?

川端:アパレルの企画生産って、とにかく想定外のトラブルが多いんですよ。指示した仕様と違ったり。そういう時、こちらが反省すべき点は反省し、最善の対処を考え抜いた上で、ポップな切り替えができる人が多いなと思ってて(笑)明るく切り替えてくれるメンバーがいるので助かっていますね。

田中:全員が顧客目線な所が、チームらしさかなと思っています。「お客様はどう思うかな?」というのが日常会話的にでてきたり。

もちろんチーム全員が小柄ではないので、自身はターゲットではないという人もたくさんいます。でも、全員が届ける先の人がどう思うかを徹底的に考えているのがいい所だと思います。

あと、新しいことをどんどんやっていくのもチームらしさかな、と。服って一度売れると、繰り返し作りたくなるんですよね。でも、同じものを作るのではなく常にアップデートするようにしていて。

COHINAはブランドの立ち上げから、需要も変化してきているんです。立ち上げ当時はベーシックな服が人気でしたが、お客様がどんどん新しいテイストに挑戦してくれるようになっていて。そういうお客様の変化に合わせたりお客様の変化を超えて新しいものを作る、そういうチームであり続けたいなと思っています。

ーー COHINAのおかげで、お客様がおしゃれに挑戦できるようになっているのは嬉しいですね。

川端:Instagramでも「この商品のここが好き」みたいな細かいところまで感想を教えてくださる方が多いので、参考にしています。社内のメンバーが「COHINAの服を着ていると、スポットライトがパーンと当たったような感覚になる」ということを言っていて。この表現がすごく好きで、COHINAはそういう存在でなくては、というのを意識していますね。

田中:LIVEなどのコメントだけじゃなくDMでもご連絡をいただくのですが、そのお声の多さには本当にびっくりします。中には、「COHINAのおかげで人生が変わりました」というような熱いメッセージをいただくこともあったり。

ブランドは少しずつ大きくなってきていますが、規模が大きくなっても一人ひとりのお客様の喜びが薄れず、着実に広がっているのが感じられる所は嬉しいですし、社内のチームのおかげだなと思っています。絶対にキープし続けなければいけないポイントですよね。

不安を払拭して、怖がらずに買える服へ

ーー ブランドとしては、今後挑戦したい領域はあるのでしょうか?

川端:COHINAの現状のお客様は、20〜30代が中心です。そのため、テイストも割ときれいめカジュアルを多めにしています。しかし、最近はお客様の声として、「もっと色んなテイストの服が着たい」というのがあるんです。モード系だったりフェミニン系だったり。用途で言うと、冠婚葬祭用が欲しいというご意見もありますし、靴も増やしてほしいというお声もいただいてますし…。お客様も、もっとオシャレを楽しみたいと思ってくださっているんですよね。

田中:そういう声を聞くと、小柄女性の人生に必要なのに届けられていないものがまだまだあると思うんです。ニーズに対して提供できているのはまだ数%しかないはず。今後はそれを深めて広げていかなくてはいけないですよね。

あと、クオリティーも上げていかなくちゃいけません。小柄女性はこれまで、サイズが合わなかったりイメージと違ったりと、服に対してがっかりした経験を持つ人が多いはず。そういう人たちにCOHINAが届いた時、クオリティーにも感動してもらえるような状態にしたいです。

「服って楽しい」と思えたり、その服を着ている自分を好きになれたり。日常がより良くなるような経験を提供していきたいです。

ーー 今後ご一緒するなら、そういう所を意識してくださる方だと良いのでしょうか?

田中:そうですね。どういうニーズがあるのか想像力を鍛え、クオリティーの高い服作りに情熱を持てる人と一緒に成長できたら嬉しいなと思います。

川端:同じく!情熱が持てる人だといいですよね。今のCOHINAの服が全てじゃないんです。まだまだ足りていないものばかり。様々なバックグラウンドと情熱を持った人と一緒にやっていければと思っています。

田中:実は帽子も大きかったり、ネックレスが長かったり指輪が大きかったり。まだまだ足りていない領域はたくさんあります。

川端:そういう意味だと、COHINAはこれから更に面白い時期になるかなと思っていて。今って、ブランドでいうと第1フェーズが終わって第2フェーズに来ていると思うんです。「小柄女性のための服が無いから作ろう」だったのが、今はそれだけじゃない価値を提供するフェーズです。見せ方や売り方、クオリティーも含めてより設計された商品作りが必要です。難易度は上がっていますが、それが楽しいと思える人だとすごく充実した環境だと思っています。

ーー 今いる社員も、新しく入る人も挑戦が必要なんですね。

川端:そうですね。もしかしたら、小柄女性向けの服って「ただ服を小さく作っているだけ」と思っている方もいらっしゃるかもしれません。でも、それだけではだめで。

これまでお買い物に失敗したり上手くいかなかった経験をたくさんしてきた人が、試着なしにオンラインで買うのって、すごく勇気がいると思います。そこにある不安をどう払拭してあげられるかが大事ですよね。

そのために、商品企画はただデザインするだけでなく、マーケチームと連携しながら商品ページの説明やInstagram LIVEでのQAなんかも用意しています。

例えば、新鮮なバランスやシルエットのトップスは「小柄だから自分には着こなせない」と思っている人がいるとしたら、どうしたら怖がらずに買ってもらえるか。そのためにどういうバランスに着地させて、どういう説明をして売っていくのか。そこまで考えて企画しないといけないと考えています。

田中:そこまで考えてくれるので、COHINAの商品企画は強いなと思ってます(笑)そういう点は、服を作る人としての体力がつくのではないでしょうか。可愛いということだけじゃなく、その先までしっかり見れる人が多いというか。

川端:もちろん可愛いのは大前提で大切な要素なんです。でもそれだけじゃない要素を足していくのが大切ですよね。

例えばパフスリーブの商品を作る時に、「甘いテイストが好きな人はきっと可愛いと思ってくれる。でもそれ以外の人は?」という所まで考えるようにしていて。1つのポテンシャルがある切り口に対して、より多くの人に好んでもらえる可能性を考えるようにしています。

よく社内ではそのことを「商品に“面”を持たせる」という言い方をしています。商品に面を持たせることで、よりたくさんの人に求めてもらえる。結果、売り上げも伸びる。そういう所まで、商品企画が貪欲に企画を詰めていけたらいいですよね。

自分が考えた仮説がはまってお客様が喜んでいる時は、何にも代えがたい嬉しさがあります。小柄女性がこれまで挑戦できなかったアイテムに挑戦できてファッションの幅が広がったと聞けたり、「デートに着ていった!」と聞けたり、前向きなアクションとセットでお客様がCOHINAの商品を着てくれているときは、やっていてよかったなと思います。

田中:デザイナーの人格を生かしてもらいつつ、常にお客様のニーズに寄り添いながらブランドを成長させていけたらと考えています。

最後までお読みいただきありがとうございました!次回のインタビューもお楽しみに。

文=坂井
撮影=上谷

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