2018年4月のスタート以来、ロスゼロに「食品ロス予備軍」を提供してくださるパートナー企業は100社を超え、ロスゼロを通じて削減した食品ロスはトンを超えました。
また、連日、大手企業からもたくさんのお問い合わせをいただき、コラボレーション企画の話し合い、打ち合わせの真っ只中にあります。
ロスゼロが今、多くの企業や消費者の方に必要として頂ける理由は何なのか。
それは、事業をする上で、ロスゼロが以下のことをとても大切にしているからだと思っています。
1)食品製造・加工メーカーのブランドを守る
ロスゼロがお届けしているのは、規格外・余剰品といった「食品ロス予備軍」なので、高級なものであっても、通常よりお安く購入頂くことができます。
この点は、消費者の方にとっての大きなメリットといえます。
だからといって私たちは、「安売り」はしません。
なぜなら、この食品ロス解消の仕組みを持続可能にするために、安売りは決してしてはいけないと考えているから。
私は2001年より、ヘアアクセサリーに特化したインターネット通販ショップ「リトルムーン」を立ち上げ経営してきました。
当時、周りには、低価格路線で売上を伸ばしているお店がたくさんありました。
でも数年後、そういったお店のほとんどは経営が立ち行かなくなり、ネット上から姿を消していきました。
安売りをすれば、一時は売れます。
ただし、適正な利益が出せる運営体制がなければ、人材、事業に投資することができず、長期的なステージアップするための成長は難しくなります。
そのためロスゼロは、食品ロス予備軍を安売りするのではなく、付加価値をつけて販売するようにしています。
また、安売りをしないことは、「食品製造・加工メーカーさんのブランドを守る」ためにも大変重要です。
ロスゼロのパートナー企業の中には、老舗やネームバリューのある会社も多いです。
これまでに多くの人が関わり、時間をかけて、守り、育ててきた…その大切なブランドに、規格外・余剰品を安く販売することで傷がつくのではないだろうか。
そう考え、「ブランドに傷をつけることは避けたい、だから、自ら食品ロス予備軍を断腸の思いで廃棄する」という企業も多くありました。
ですからロスゼロでは、安売りはしないという方針のもと、購入サイトでも、その商品の背景にある物語や生産者の皆さんのこだわりをストーリーとしてお伝えしたり、掲載する写真にもこだわるといった工夫をしています。
今では「今まで、規格外品の提供は全て断っていたけれども、ロスゼロさんであれば、信頼して、安心して、自社の規格外品を提供できる」と言ってくださる企業も増えてきました。
2)ブランドをさらに育てる
また最近は、「ロスゼロと一緒にアップサイクルに取り組みたい」と言って頂く企業が増えてきました。
アップサイクルとは、「本来なら捨てられてしまう廃棄物に、デザインやアイデアといった新たな付加価値を持たせることで、別の新しい製品にアップグレードして生まれ変わらせること」を言います。
そのような声を受けて私たち、アップサイクルブランド『Re:YOU(りゆう)』を立ち上げました。
「Re:YOU」という名前には、「食べる理由がある」というメッセージが込められています。
そして2021年1月、この『Re:YOU』ブランドから「気仙沼 みなといちご」が誕生しました。
「気仙沼 みなといちご」は、東日本大震災後の復活をめざすいちご農家を応援したいというJTBさんと、食品ロス解消を行うロスゼロのコラボ企画により、「復興支援」と「食品ロス削減」同時に叶える商品として生まれたもの。
気仙沼市の規格外いちご、川西市の規格外いちじく、未出荷の温州みかん、かつ、未利用のチョコレートの製菓材料を使って製品化した、サステイナブルなチョコレート。
私たちはこの「気仙沼 みなといちご」を百貨店の催事でも販売しましたが、「復興支援」と「食品ロス削減」のメッセージに共感いただいた多くの皆さんに、購入していただきました。
またメディアでも多数取り上げていただき、これまでに1万点が販売され、現在は、ふるさと納税サイト「ふるぽ」にて、神戸市のふるさと納税の返礼品として紹介されています。
これは一例にすぎませんが、私たちは、企業のブランドを守るという「想い」と、それらを確実に守り、育てられる「ノウハウ」を持ってして、これからも様々な挑戦を続けていきたいと思います。
3)ネットの力を活用し、全国の消費者とロスを繋ぐ
食品ロスの多くは、「行き場(販路)がなくなること」がで生じています。
ですから「いかに販路を確保するか」が大変重要で、そのためには、ネットの力を使うことが必要不可欠になります。
先に書いたように、私は2001年から、ヘアアクセサリーに特化したインターネット通販ショップを経営してきました。販売したヘアアクセサリーは、累計500万点以上。
また2010年頃からは、使わなくなったヘアアクセサリーを全国から募り、それらを発展途上国の子どもたちに寄付するという活動を開始し、これまでに、4万点におよぶヘアアクセサリーを寄付することができました。
「全国には、自分にできることで社会貢献したいと思う人達がたくさんいる。ネットの力を最大限活用し、その人達のもとにメッセージを届けることができれば、みんなで、世の中をより良くしていくことができる」
そう、思いました。
食品ロス解消のためには「販路の確保」と、それらを確実に消費者に届ける「物流体制の構築」という難題をクリアする必要があります。
でも、私たちには、長年インターネット通販ショップ運営で培ってきたノウハウがある。
販売、梱包、カスタマーサポートまで、私たちにお任せいただくことで、お客様の負担を最小限に減らすことができる。
これらのノウハウの蓄積によって、今ロスゼロは、食品製造・加工メーカーの「食品ロス予備軍」と、美味しく社会貢献したい「消費者の皆さん」を繋ぐプラットフォームを提供することができています。
4)楽しく、美味しく、最後まで食べきることを大切にする
「食品ロス解消」は、日本のみならず、世界が抱える大きな課題です。
かといって、
「地球環境のために、やらなければならない」
「無駄を絶対に出してはいけない」
という、義務感が強くなりすぎると、続かない。
大切なのは「楽しいから、無理なく続けられる」という空気を作ることだと、私たちは考えています。
「まだ問題なく食べられるものだから、最後まで、みんなで、楽しく、美味しく食べきろう」
「楽しく、美味しく食べきることが、社会貢献になるっていいね!」
そういう文化を、世の中に広げていきたい。
現在ロスゼロでは、「ロスゼロ不定期便」というサブスクモデルのサービスもスタートしています。
通常ロスゼロで販売している食品も含め、「できれば、自社のブランド名は出したくない、でも、食品ロスは減らしたい」という食品製造・加工メーカーから引き取った食品をダンボールいっぱいに詰めて、消費者の方に不定期でお送りするもの。
お客様には、
「毎回何が届くかわからないワクワク感がある」
「たくさんのお菓子や食べ物が詰まった福袋のようで、お得感がある」
「新たな食品との出会いがあって楽しい」
と、好評頂いています。
また中には、
「賞味期限ギリギリのものが届くのだと思っていたら、賞味期限までまだ1ヶ月以上もある食品もある。ロスゼロ不定期便を通じて、これれらが今まで捨てられていた、という事実を知った。食品ロス問題に、以前より関心を持つようになった」
といったお声も頂いています。
ロスゼロを通じて、決して押し付けではなく、食品ロスの現状を知るきっかけになれば嬉しいですし、社内で社員さんが食べるお菓子を、ロスゼロ不定期便に変えてくださる会社も最近は増えてきました。
楽しく、美味しく、みんなで最後まで食べきる文化を、これからも作っていきたいです。
5)ロスゼロがロスを出さない
食品ロス解消に取り組んでいるロスゼロが、ロスを出しては、本末転倒。
「食品ロス予備軍を買い取ったはいいけれど、結局買い手がなくて廃棄した」では意味がありません。
一般消費者の方だけではなく、地方自治体との連携、子ども食堂、フードバンクへの寄付も積極的に行うことで、スタートから4年、ロスゼロは、一つもロスを出さず、求める人達にお届けしてくることができています。
2018年4月スタート以来、食品ロス削減量が累計トンを超えたロスゼロ。
とはいえ、日本全体の食品ロスは600万トン、うち食品製造・加工メーカーから出るロスは140万トンと言われています(2017年時点)。
私たちの挑戦は、まだまだ始まったばかり。
共に大きな社会課題解決に挑む、チャレンジングな仲間を、絶賛大募集中です!