私たちが、食品ロス削減に取り組む理由。
それは、「世の中にある『行き場をなくしたものたち』に光をあて、再び誰かの笑顔を創り出したい」という想いがあるから。
ロスゼロの創業者、文美月(ぶんみつき)は、外国にルーツを持つ日本人。
民族的マイノリティーにとって、社会の壁が想像以上に高いと感じたのは就職活動だ。
現実を思い知った。でも諦めなかった。たとえ前例がなくても、自分が作るのだと決めた。
その結果、大手金融機関から内定を得て、出身大学初の女性総合職の道を切り開いた。
しかし出産後、自身の人生に大きな影響を与えた強烈な出来事があった。
それは、一度社会を離れた女性が再び社会復帰することは、想像以上に難しいという現実だった。
小さな子どもがいるという理由で、「残念ながら、あなたを雇うことはできない」と、全ての会社から断られた。正社員はおろか、アルバイトとしてすら、採用してもらえなかった。
「自分は、社会にとって必要のない存在なのだろうか…」
言いようの無い虚無感に襲われた。
でも…このままで終わってたまるか。
「誰にも雇ってもらえないなら、自分で自分を雇えばいい」
そう覚悟を決めて、2001年に、ヘアアクセサリーに特化したインターネット通販ショップ「リトルムーン(
http://shopping.littlemoon.co.jp/)」を開業。
家の片隅でPC一台で始めてから4年で、インターネットでの月商は7000万円・年商5億円を超え、楽天市場ショップ・オブ・ザ・イヤーなど、数々の大きな賞を受賞するまでになった。
ただこの実績以上に嬉しかったのは、
「一度は社会復帰の道を諦めかけた自分でも、社会の一員として働き、再び、世の中の役に立つことができる」
という実感を得られたこと、だった。
その後は、使わなくなったヘアアクセサリーを全国から集めて、発展途上国の子どもたちに寄贈したり、現地でヘアアクセサリーを販売し、その売上を現地の職業訓練校にに寄付する活動を開始。
現地の子どもたちは、たくさんのヘアアクセサリーを見ては、目を輝かせて大喜びしてくれた。そしてその中には「職業訓練校で勉強したら、将来はたくさんお金を稼げるようになりたい」と、自分の夢や目標を話してくれる子どもたちも大勢いた。
決して豊かとはいえない環境の中でも、彼らの心は希望に溢れ、力強く、前を向いていた。
この取り組みに賛同する人達の輪は次第に広がり、現在では、タイ、ラオス、カンボジア、インドなど、10カ国にまで活動の広がりを見せている。
日本で行き場を失ったもの、
「もう要らない、価値がない」とされていたものが、
再び誰かの役に立ち、誰かの笑顔を作ることができる。
それはまるで、民族マイノリティ、子どもを持つ母親としての自分が、再び社会に出て、生きがいを取り戻した境遇、そのものだった。
もっともっと、価値があるのに表に出てくることが難しいものに光をあて、それを、誰かの笑顔に、価値に、変えることはできないか。
そこでたどり着いたのが、食品ロス問題だった。
生産者や製造加工メーカーの人たちが、丹精込めて作った食品の中の、規格外、余剰品。
まだ問題なく食べられるのに「要らないもの」として廃棄される食品に、もう一度光をあて、誰かの笑顔につなげられないだろうか。
たとえ難しい事業だと言われようとも、
立ち向かうには大きすぎる壁だったとしても、
私がやらねば、誰がやる。
これまでの人生で経験してきたこと、培ってきたノウハウ、想い、それら全てを注ぎ込んで、人生をかけて、この食品ロス問題に取り組む。2回目の起業だからこそ、難しいことに挑みたい。
覚悟が決まった。
そして、2018年4月、ロスゼロはスタートした。
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今後もロスゼロは「もったいない」食べ物を資源循環させることで、持続可能な社会の実現にむけて、チャレンジを続けていきます。