「食品ロス解消をビジネスにするなんて、難しいよ、うまくいかないよ」
「食品ロスの問題は、文さんが思っている以上に根深い。立ち向かうには、相応の覚悟が必要だよ」
ロスゼロを始める前、周囲の方からこんな風に言われることがありました。
でも私の中では「これはきっと、今後世の中に必要とされる事業になる」という、揺るぎない確信がありました。
これまで培ってきたビジネスの経験、
世の中の「もったいない」を実感し、現場に足を運び、自分なりに動いてきた肌感覚、
そして、世の中の風潮という追い風…
これらをもってすれば「食品ロス」という大きな課題に一石を投じられる、という未来が見えていた。
だからこそ、「難しい挑戦だ」と言われるたびに、「なんてやりがいのある事業なんだろう!私がやらなきゃ誰がやる!」という想いと覚悟がどんどん膨らんでいったのでした。(根っからの体育会系ということもあります笑)
あれから4年。
ロスゼロは今、テレビや新聞といったメディア媒体に数え切れないほど取り上げていただき、大手企業や百貨店から引く手あまた、急成長の真っ只中にあります。
毎日のように、業界のリーディングカンパニーの企業様と打ち合わせをし、新規プロジェクトを企画し、立ち上げを行うという、とてもチャレンジングな日々。
本当に本当に、有り難いことです。
ロスゼロは、2度目の起業
私にとってロスゼロは、2度目の起業となります。
2001年、31歳の年。私は、自宅で、パソコン1台で、ヘアアクセサリーに特化したインターネット通販サイトを開設しました。
これが、現在も経営を続けている、ヘアアクセサリー通販のリトルムーン(現:リトルムーンインターナショナル株式会社)の前身です。
WEBの知識はおろか、ネットショップ運営の経験も、お金も、人脈も、経営のノウハウも、何も無かった。
あるのは、勢いと、想いと、根拠のない自信だけ。
今思えば、「よくあんな状態でチャレンジしたものだなぁ」と怖くなりますが、それくらい当時は無我夢中でした。
私を駆り立てたもの
知識も、スキルも、お金も、何も無い。おまけに次男はまだ1歳。
そんな私を、そこまで駆り立てたもの…。
それは、「もう一度、社会の中で働きたい」という純粋な気持ちでした。
もともと私は、新卒で大手金融機関の総合職として働いていました。
当時はまだ女性総合職が珍しく、色眼鏡で見られるということもあり、性別関係なく評価してもらうために、がむしゃらに必死に働きました。
その後は、一旦退職し、結婚、出産を経て、数年間は専業主婦の期間を過ごすことに。
そして、次男を出産して1年ほどたった頃。
「そろそろ社会復帰したい、働きたい」と思うようになりました。
ところが、「金融機関で融資業務をバリバリこなしていたし、根性や体力にも自信がある。きっと雇ってもらえるだろう」という淡い期待は、見事に、完膚なきまでに打ち砕かれました。
…まったくもって、甘かった…。
面接では、スキルや能力の前に、
「ご主人は働くことについて賛成してくれているの?」
「お子さんがいて、本当に働けるの?」
という質問ばかり。
もちろん、私のスキル不足もあったかとは思いますが、応募した会社からの返事は、ことごとく不採用。正社員はおろか、アルバイトとしての採用すらしてもらえず…。
「子どもがいる母親の社会復帰の難しさ」を痛感した出来事でした。
…だからといって、このままで終わってたまるか…!
この出来事をきっかけに、負けず嫌いに火がついた私は、色々と考えを巡らせ、このような結論に至りました。
「誰も雇ってくれないなら、自分で自分を雇えばいい。それなら、クビになることもないじゃないか!」
思い立ったら即行動が取り柄の私は、その後、前述したように、自宅でインターネット通販ショップを開業するに至りました。
そして4年後には、インターネットだけで7000万円を売り上げるまでになり、楽天オブ・ザ・イヤーといった大きな賞も数多くいただき、海外に工場を開設するなど、会社は急速に成長していきました。
誰にも雇ってもらえなかった私でも、何とか、ここまでやってこれた。
小さな子どもを持つ母親だって、やり方次第でチカラを発揮できる。
思えば、この実体験が、世の中にある「もったいない」を感じた私の原点かもしれません。
急成長からの、どん底を経験
とはいえ、当然、全てが順風満帆だったわけではありませんでした。これまでに、数多くのうまくいかないことや、大きな挫折も経験しました。
最初は、サイトに掲載するヘアアクセサリーの写真の撮り方すら分からず、見様見真似。
当然、商品は売れませんでした。
「少ない金額でいいから、まずは買っていただこう」と、様々な工夫を積み重ね、やっとの思いで500円のヘアアクセサリーが売れた時の感動…。
今でも、はっきりと覚えています。
また、お客様が、届いたダンボールを開けた時の気持ちを考えて、梱包を丁寧に行うことはもちろん、私たちの感謝の気持を伝えるメッセージを同封したり、
まだモデルスタッフを雇う余裕のない頃、お客様にヘアアレンジのやり方を分かりやすく伝えるために、自らの髪を使って撮影をしたり…
小さな改善を一つ一つ重ねていくうちに、次第に売上が伸び、夫も当時の仕事を辞めて経営に参画し、扱う商品も増え、このまま順調に会社は成長していくかに思われた矢先、
…どん底を経験することになります。
とある出来事をきっかけに精神的に追い詰められ、会社に出社することはおろか、自宅から一歩も外に出られない状況にまで陥ってしまいました。
つづく…