こんにちは、アルダグラムCOOの渥美です。
アルダグラムは、2019年5月に「Full Commit Partners」から資金調達を行いました。以来、ご支援や助言などさまざまなかたちでサポートをいただいています。
今回はFull Commit Partners代表の山田優大さんをお招きし、CEOの長濱とともに座談会を実施。改めて、アルダグラムに投資を決めた理由や、マーケットの魅力について伺いました。
投資の決め手は経営陣のバランスの良さ
渥美:
本日はわざわざお越しいただきありがとうございます!私たちがはじめてお会いしたのは、2019年2月28日のインキュベイトファンドのイベントのときでしたよね。あのときは会社設立前で、当然プロダクトもない中で、パワーポイントでプレゼンしたのを覚えています。そのときの第一印象を教えてください。
山田さん:
ピッチイベントの場自体は10分くらいで非常に短いんですよね。そのあとに2回ほどMTGを行った後に、食事に行ったのが印象に残っています。
お話して思ったのは、長濱さんと渥美さんのバランスが非常にいいこと。長濱さんは語る力がすごくて。相手を引き付けて、自分の世界に持ってくる力がずば抜けているなと思いました。渥美さんは、合理的できっちりした方という印象で、順を経て物事を動かしていくのが得意なんだろうなとお見受けしました。
私の考えとして、人の能力は基本的に平等だと思っているんです。能力の中でどこが突き出ているかの違いです。アルダグラムの二人は、凸凹というか、2人が融合すればバランスがすごいい組織だなと感じましたね。
まあ第一印象としては、長濱さんめっちゃしゃべる人だなと思いましたね(笑)
長濱:
家庭の中ではわりと寡黙なんですよ(笑)
僕から見て山田さんの印象は、群を抜いて誠実な方だなと感じました。ピッチイベントにはさまざまな投資家がいらっしゃいました。様々な角度からアドバイスをしてくださる方もいれば、僕たちのようなまだ法人化もしていないスタートアップには興味がなさそうな方もいて。10人ほどいた投資家さんの中で、山田さんは圧倒的に誠実さを感じました。
一番印象的だったのは、山田さんご自身がベンチャーキャピタルは苦手だとおっしゃっていたこと。こんな投資家さんもいるんだと驚きました。投資をしていただいた後も、その印象は変わりません。アルダグラムの意思を尊重してくれます。意見を押し付けられたことは一度もないですね。
市場が大きくDXが求められている建設業界
渥美:
山田さんにご質問です。当時法人化すらもしていない私たちに投資を判断するのは難しかったのではと思うのですが、どのように決めたのでしょうか?
山田さん:
まずは業界です。建設業界は絶対に伸びる市場であり、注目していました。しかし業界におけるDXを変革するには、他業界から参入してもなかなか受け入れられません。長濱さん・渥美さんはすでに建設・不動産業界に長く携わっていたので、当事者の人たちから応援される会社になるだろうなと感じました。
私は水産業や農業のDXを推進する会社にも投資しています。水産業のマーケットは2兆円と言われています。農業でも6兆円です。一方で建設業界は60兆円もあります。不動産を加えれば100兆円を優に超える規模です。なかなかこんな業界はありません。しかも、DXの波が比較的早い業界です。同業他社においても、上場した会社がありますよね。それほど市場が求めているものであり、市場に対するインパクトは業界構造を一変させるくらいのものがあると感じました。
ー たしかに、日本で500万人の方が建設業界に従事しています。日本の労働者の10人に1人が建設業界で働いているんです。
山田さん:
改めて聞いても、すごい数字ですね。この市場の大きさは非常に魅力的でしたね。
競合他社はすでにあったものの、「職人の価値ある時間を最大化する」というミッションのもとで、マッチングに重点をおいているのも魅力的でした。低価格で提供することでネットワークを構築し、お客様がお客様を紹介するようなシステムを作っていこうというストーリーに腹落ちできましたね。差別化もできていると感じました。
長濱:
私たちのミッションとして、Unlock Your Valueを掲げています。建設業界の職人は高い技術を持っているにも関わらず、事務作業時間や移動時間など非効率な時間が多いゆえに、本来持っている高い能力を発揮できていません。人の価値を最大化するサービスを作りたいと考えたのです。
お互いにリスペクトし合えるチーム
渥美:
私としては、山田さんが「この段階で投資を決めるには人を見るしかない」とおっしゃっていたのが非常に印象に残っています。具体的にはどのような点を評価していただいたのでしょうか?
山田さん:
さきほどバランスがいいという話をしましたが、お互いにリスペクトし合っているように感じたんです。「ひかる君よろしく」「しょうご君よろしく」とか、ちょっとした言葉のキャッチボールでも、お互いにリスペクトしていることを感じています。
長濱:
そこはお互いに重視している点ですね。仕事をするうえで、リスペクトが一番最初にないと、うまくいかないと考えています。当然僕たちも意見がぶつかることはよくあります。でも長く議論し続けることはほとんどありません。お互いに意見をいって、合理的にいい方を選ぶようにしています。
山田さん:
役割分担がしっかりできているんだろうなと思いますね。営業の時にはひかる君が優先だね、とかプロダクトの時はしょうごくんが優先だね、とか。それぞれ阿吽の呼吸があるなと感じます。
長濱:
結構僕たちは、考え方がバラバラなんですよね。たとえば大事な営業の商談に遅れそうなとき、僕は信号が点滅していても急いで走っていくんですが、しょうご君は止まったほうがいいよと言っていたり(笑)。え!?と驚くことが多いですが、いい意味で牽制が聞いているなと思います。
渥美:
僕からすると、そこで行くの!?って驚きでしたよ(笑)。
メンバーにフィットした組織文化を作り上げる
渥美:
山田さんは多くのスタートアップの経営者に会っていらっしゃいますが、伸びていくベンチャーの経営者の共通点はありますか?
山田さん:
難しいですね。経営者はいろんなタイプがいるんです。めちゃくちゃ喋るのがうまい人もいれば、背中で語るような人もいて。それぞれの成功の要因は別だと考えています。
共通点は、いかにチームを同じ方向に向かせられるかだと思います。それぞれの会社に社員との距離感の在り方があるので正解はありません。1か月に1回1on1をしている会社もあれば、トップとして意思決定にフォーカスする会社もあります。どのタイプでも、適切な距離感を保ちつつ、メンバーが会社の方向性に向かっていけるようにしている会社が伸びていると思いますね。
長濱:
それでいうと、僕たちは両方を取り入れている会社かもしれません。今の組織体系としては、渥美がプロダクト開発とコーポレート、僕が営業を中心に見ています。渥美は各部門のKPIなどを数字に落とし込んで推進していくタイプです。一方で僕は、毎月1on1をするなど、メンバーとウェットにコミュニケーションするタイプです。ハイブリットに取り入れられているなと感じています。
山田さん:
組織文化については、コロナ禍で個性が出ていますよね。出社する/しないに正解も間違いもありません。カルチャーを浸透するための取り組みについてもです。僕が支援している会社では、社員が全員女性で、ママさんが多くて残業ができないから、お昼にお茶会を設けている会社もあります。別の会社では、全員業務委託で完全フルリモートでやっている会社があります。どちらも正解だと思います。事業のドメインと中にいるメンバーにフィットした組織をどれだけ作れるかが大事ですね。
渥美:
その観点では、組織文化はビジネスモデルとも関わってくるのではと思います。たとえばアルダグラムのようなバーティカルSaaSは総合格闘技のようなもので、エンジニアもいれば営業もいます。職種が違えば、考え方も異なります。人は大体、自分の意見が正しいと思っているけれど、別の立場からは理解できないこともあります。その人がどんな業界にいたのか、どんな思考プロセスを身に着けてきたのか、なんとなくでもわからないと「この人何考えているんだろう」となってしまいます。お互いの相互理解、相互信頼を培っていくのが大事だと考えています。
アルダグラムの場合は、規模が10人を超えたあたりから職種間で壁が出てきたように感じ始めて、10月から新たに2つの施策をスタートしました。1つ目はシャッフルランチで、職種を超えてコミュニケーションを取る場を作っています。2つ目はWinセッションです。メンバーが自分の成果を発表し、メンバー同士で褒め合う機会を作っています。結果的にポジティブな空気が作れますし、ほかのメンバーがどんな仕事をしているのかを知る機会にもつながっています。
山田さん:
そういった取り組みは、アルダグラムならではの組織文化につながりそうですね。組織文化を作るという点では採用活動も非常に大事だと思うのですが、どのような要素を見ていますか?
僕が投資先に面接を頼まれた時にに絶対に聞くのが、「どういうところに惹かれましたか」という質問です。ビジョンに共感したと答えた人は大体通過していますね。そこは明確に決めています。
ほかにもtoCの会社であれば、その会社の商品を使ったことがない人は落としています。toBだとなかなか判断が難しいと思うのですが、どうですか?
長濱:
僕らの場合、カジュアル面談→1次面接→2次面接と進むのですが、当社の3~4名が求職者と対面します。1人でも違和感を感じたら、採用しないことに決めています。感覚的な部分であっても、全員がフィットするのは大事だなと思っています。
聞く内容としては、将来の話よりも過去の話をしっかり聞きますね。過去にどんなチャレンジをして、どんな失敗をしたのか。悪かった時のことをしっかり伝えてくれる人もいれば、あまり話したがらない方もいます。そういった過去の仕事の経験を通して、チームプレーに対してどんな意識をもっているのか、把握するようにしています。
Unlock Your Value
山田さん:
アルダグラムとして、こんな会社になっていきたいという目標はありますか?
長濱:
アルダグラムのミッションであるUnlock Your Valueの「Your」とはお客様はもちろんのこと、従業員のことも含めています。アルダグラムに参画してくれるメンバーが、本来持っている才能を最大限発揮できる環境を作ることを目指しています。成長するためには、挑戦的な課題が必要です。壁を乗り越えたときに、一番才能を伸ばすことができると感じます。
現在のグロースフェーズは非常に魅力的な段階だと思います。例えば、営業において、今までセミナーを開催したことない営業が月に複数回のウェビナーを開催したり、コーポレートの社員が入社して1か月でオフィス移転プロジェクトをリードしたりなど、社員がさまざまなチャレンジをしています。職人さんはもちろん、社員の能力が余すことなく発揮される仕組みを作っていきたいですね。
山田さん:
本日はアルダグラムが目指す方向性や組織文化についても知ることができ、非常にいい経験でした。これから、Unlock Your Valueというミッションをどう体現していくのか、すごく楽しみです!これからも応援しています!