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地理的なハンデのない世界へ。CPO安里が抱く大志

安里さんはATOMicaで現在、執行役員 CPO(Chief Produrce Officer)を担当しています。共創拠点とは、ATOMicaが自社のコワーキング運営で培ったノウハウを提供しながら、パートナーの方々と共創型(共同運営型)で出店する拠点のことです。

安里さんはどのような思いで共創拠点のプロジェクトに取り組み、地方出身者としてATOMicaの事業にどのような価値を感じているのでしょう。インタビューを通して本音に迫っていきます。


安里 喬泰郎|執行役員 CPO

沖縄出身。筑波大学卒業後、新卒で広告会社に入社し、4年間PRプランナーとして活動する。その後事業会社の広報に1年間出向したのち、ATOMicaに入社。現在は共創拠点のCPOを務める。


原動力は、学生時代に抱いた地方コンプレックス

安里さんとATOMicaを繋ぐきっかけになったのは嶋田さんでした。インターンシップのグループワークで知り合って以来、二人の間ではゆるい繋がりが続いていたそうです。

「『ATOMicaの仲間になってほしい』と嶋田さんに声をかけてもらったのですが、当時の僕は新卒入社から3年目。自分一人でできることが増えて、仕事が楽しくてしょうがない時期でした。ただ、ATOMicaへの興味はずっと消えなかったので、転職を考えたタイミングで選考を受けることに。嶋田さんに初めて誘われてからもう2年が経っていましたね」

そこから、入社に至った理由を聞きました。

「1000名規模の広告会社に勤めていた自分からすると、カオスなATOMicaは刺激的に映ったんです。広告会社で培ったスキルを生かしつつ、挑戦し続けられる環境のように思いました。それに、何よりもチームが素敵で。メンバーみんなが幸せそうに働いているのを目の当たりにして、自分もここで働きたいと思うようになったんです」

ATOMicaのミッションに自身の境遇を重ね、強い共感を抱いたことも決定打になったといいます。

「僕は沖縄出身で、高校卒業後は茨城県にある筑波大学に進学しました。社会人になるまで地方に住んでいたわけですが、就職活動をきっかけに地方在住者であることにコンプレックスを抱くようになったんです。東京に住んでいる学生が話すのは、『テレビ局でアシスタントをしている』『新聞社でアルバイトをしている』など、キラキラした経験ばかり。地方にはそんなチャンスは滅多にないので、なんだか負けているような感覚になりました。同じ世代なのに生きている世界線が全然違うんだと思って、すごく悔しかったです」

地理的なハンデを無くせるような場所や機会が、地方にもあったなら。学生時代に感じた猛烈な悔しさが、ATOMicaで働く原動力につながっています。

ATOMicaイズムを広げながら、地方の夢を叶えるサポートがしたい

安里さんは現在、共創拠点のPMを担当しています。今回のインタビュー直後には、九州工業大学との連携によって生まれた施設がオープンとなりました。大学内にあった体育館を大胆にリノベーションした施設です。

そもそも、共創拠点は何を叶えるための事業なのでしょうか。

「地方には、その地域を盛り上げるために頑張っている方々がいます。ATOMicaはその方々を裏方でサポートして、夢を叶えるお手伝いをしていきます。我々の考えを各地に押し付けるのではなく、あくまで最優先するのは地域の人々の想い。その上で、ATOMicaイズムをさらに広げて、日本中にハッピーな人を増やせたらと思っています」

安里さんが考えるATOMicaイズムとは、「for you」の視点。相手はどう感じるんだろう、目の前にいる人はどう考えているんだろうと想像して、相手にとってベストな選択をすることを指しています。

ATOMicaイズムを広げる上で大事になってくるのは、各地のコミュニティを牽引するCMT(コミュニティマネジメントチーム)の存在だと安里さんはいいます。共創拠点における採用はATOMicaがすべて担い、人材の見極めと育成に全力を注いでいるそうです。

「コミュニティを担う各拠点のメンバーはみんな、共創拠点のパートナーが雇用するのではなく、ATOMicaが社員として雇用しています。人の採用は絶対に譲れないポイントだとパートナーにもお伝えし、理解を得てきました。ATOMicaスタッフの特長は、人の相談事を集めて、ある種おせっかいかもしれないけれど、懐に入り込んでいけるところ。しかも、ただ会員様と仲良くなって終わりではなく、『あなたとAさんが繋がったら面白いからおいでよ!』と繋げられるところです。ATOMicaイズムを持ったメンバーの力で、for youの精神を全国に広げていきたいですね」

安里さんは、「僕自身も『for you』を体現できるような人間になりたいです」と力強く述べました。

超絶泥臭くて、超絶幸せな仕事

現在は共創拠点のPMを務める安里さんですが、最初はマーケティング職として仕事を開始しました。これまで、さまざまな仕事を柔軟にこなしてきたそうです。

「マーケ、セールス、PM、またマーケ…と、毎日のようにポジション配置が変わっています。これもATOMica社の面白いところだと思うんですけど、嫌な人は嫌でしょうね(笑)。この会社では予想外の事態を楽しめることが大事で、逆に自分の思い通りにやりたいタイプの人は向いていないと思います」

フィットする人物像について、安里さんは率直な意見を述べます。

「共創拠点のプロジェクトは、必ずしも順調に進むことばかりではありません。パートナーとのコミュニケーションが不足した結果、急な予定変更が生じることもよくあります。そんなときでも、『よし、やるか〜!』と前向きでいられる姿勢が大切です。カオス耐性みたいなのは正直必要になってくるかなと。泥臭い部分があることを、ATOMicaに興味を持ってくださった方には知ってもらいたいですね」

裏表なく、ありのままを伝える安里さん。苦労もあるようですが、すべての出来事を引っくるめて「超絶泥臭くて、超絶幸せな仕事」と表現しました。

「仕事で一番気持ちのいい瞬間は、パートナーやお客様に喜んでもらえたり、感謝してもらえたりしたとき。価値を感じてもらえたのが分かると『頑張ってよかった!』と思えます。目に見える対価があるのはこの仕事の醍醐味ですね」

安里さんのイキイキした口調から、仕事を心から楽しむ心情が透けて見えました。


カメレオンのように色を変えながら、自分らしい価値を発揮したい

共創拠点のPM以外にもさまざまな経験を経た今、ATOMicaでどのようなキャリアを描こうとしているのでしょうか。

「現時点で『こういう方向でいきたい』というのは正直なくて。僕はこれまでプランナー職や企業広報の経験があって、どの仕事にも生かしやすい汎用的なスキルを持っているほうかなと思います。その瞬間その瞬間で、会社にマッチする働きをすることが、一番自分の価値を発揮する道なのかなと。カメレオンのように色を変えながら、自分らしい貢献がしたいです」

安里さんがPMとして推進する共創拠点。今後、全国で120を超える拠点のオープンを目指していきます。

「テクノロジーも活用し、目の前の人たちだけではなく、全国の会員様同士を繋げていく予定です。沖縄で悩みを抱える学生の相談事を、鳥取にいるおばあちゃんが解決するとか。そういう世界が作れたら超ハッピーだなって思うんです。そうなればもう、地理的なハンデを無くせるんじゃないかな」

安里さんが学生時代に切望した世界は、近い将来きっと実現できるはずです。


取材・執筆/早坂みさと

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