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エンジニア橋本が描く“でこぼこ”な開発組織

橋本さんは、ATOMicaのエンジニア第一号。前職では設計から開発までのすべてを一人で担当することもあり、技術力の高いエンジニアとしての呼び声が高かったといいます。そして、今はATOMicaの執行役員 CTO(Chief Technology Officer)として、さまざまなプロダクト・サービスの開発をリード。今後は開発組織の拡大も見据えているそうです。

エンジニアとしてたしかな能力を持った橋本さんが、なぜ創業わずかのATOMicaに入社したのか。そして、今後どのような開発組織をつくっていきたいのか。インタビューでお聞きしました。

橋本 順歩|開発責任者

ヒトと関わることが好きで、大学在学時にはヒッチハイクでの日本一周やアフリカ縦断を経験。 新卒で大手ERPパッケージ企業に入社し、システム開発を担当。ATOMicaでは複数のサービスを立ち上げ、現在は『KnotPLACE』と『Yosemal』の開発責任者として従事。



オンラインの出会いを創出するのがエンジニアの役目

橋本さんはATOMicaのエンジニア第一号として、プロダクト開発を一手に担ってきた人物です。入社のきっかけは、代表取締役Co-CEO嶋田さんからの誘いだったといいます。

「前職ではエンジニアとして一通りの経験をさせていただきました。そのおかげで十分やりきったという思いがあって。次の環境を考え始めたのですが、ちょうどそのタイミングで嶋田くんに声をかけてもらいました」

橋本さんと嶋田さんは前職の同期。同じチームで働いた経験もありました。

「同期が800人もいる中で、彼は一際目立つ存在でした。嶋田くん、同期からコミュニケーションおばけって呼ばれていたんですよ(笑)。人としての魅力がある彼と働きたいという思いと、新しい挑戦をしたいという思いの両方があったので、ATOMicaに入社することを決めました」

入社後は、新規プロダクトの開発を繰り返しました。アイデアを出して、作って、検証して、路線変更して、また作って。ひたすらPDCAを回す中で形になったのが、『KnotPLACE』 と『Yosemal』です。

「『KnotPLACE』はコワーキングスペースのDXアプリです。入館の受付管理をはじめとした機能的な便利さはありますが、特徴的なのは会員様の“願い”や“相談”を登録できる点。会員様同士を繋ぎ、さまざまなWILLを叶えることを目指しています。『Yosemal』は、寄せ書きを通してコミュニティを活性化させるアプリです。寄せ書きというと退職時や卒業時に書くものという印象が強いと思いますが、『Yosemal』はもっと気軽に書ける点がメリットです。イベント開催時などにも活用して、会員様の感想や思いを記録していきたいですね」

『KnotPLACE』は人と人が繋がるアプリですが、SNSとの違いはどこにあるのか聞きました。

「SNSだとオープンに公開されている環境なので、コミュニケーション強者の人には使い勝手がよい場所です。ただ、誰しもが積極的に発信したり、話しかけられるわけではありません。『KnotPLACE』では、発信が得意じゃない方同士でも繋がりやすいような仕組みや文化を作っていきたいと思います」

『knotPLACE』は既に5つの拠点で利用されています。最近では、1拠点あたり1日の利用者が100名を超える日もあるそうです。しかし現在は入館管理など基本的な機能の提供のみで、会員様同士を繋げる機能は実装中とのこと。本格稼働を見据えて、数ヶ月後に実証実験を行う予定です。

「会員様同士を繋げる機能が活用されるようになってはじめて、ATOMicaがやりたかったことがひとつ実現します。テクノロジーで出会いを創出できるように、オフラインだけじゃなくてオンラインの価値も高められるように、エンジニアとして取り組んでいきます」

プロダクトは、メンバーみんなで作っていくもの

橋本さんは前職でオフショア開発の傍ら、主にフロントエンドとバックエンドの開発を担当していました。しかし現在は、インフラや情報システムといったさまざまな業務を担っています。これまでの専門領域以外に取り組めるのも、橋本さんとしては楽しいポイントだと語ります。

「自分のできることも、これまで経験しなかったことも、まるっと任せてもらえるのは面白いですね。エンジニアとしての技術力や担当できる領域の拡張という意味でも、自身の成長を感じられています」

社内効率化ツールを含めると、今までに50個ほどのレポジトリを作成したとのこと。さらに、社内のエンジニアは橋本さん一人であるため、10名を超える外部エンジニアの進捗管理もすべて橋本さんが見ているそうです。日夜多忙な姿を想像してしまいますが、不思議と橋本さんからは苦労の色は見えません。

「毎日楽しいんですよね。メンバーと隣同士に座って、ああでもないこうでもないと言いながら、ものを作っている瞬間が好きです。自分の作ったプロダクトを社内で実際に使ってもらえるので、宮崎や北九州のメンバーからフィードバックをもらって、みんなでプロダクトを磨いていけるのも面白いです。前職は大規模開発だったのでお客様がすごく遠いように思っていたのですが、今はお客様の顔が見えやすく、現場の声をリアルに聞ける近さです。エンジニアとしては開発の手応えを感じやすい環境じゃないですかね」

エンジニアの社員は一人とはいえ、孤独な感覚はないそうです。

「日々やりたいこと、改善したいことは山積みなんですけど、メンバーと話して優先順位をつけながら一個ずつ解消しています。ATOMicaのみんなのおかげでプロダクトがよくなっているという実感があるんです。自分一人じゃ難しくても、みんなの力を借りればできないことはない。そう心から思えています」

一生懸命な人を応援できる、多様性のある開発組織をつくりたい

ATOMicaの開発組織は、これからターニングポイントを迎えます。

「エンジニアの仲間を増やそうと思っています。これからATOMicaの拠点はどんどん増えていきますし、会員様も順調に伸びていくと想定しています。現在注力している『KnotPLACE』 と『Yosemal』も、さらに機能改善が必要です。盤石な開発組織が必要なタイミングになってきました」

どういったエンジニアがATOMicaにはフィットするのでしょうか。

「具体的なスキルでいうとReactが必要になりますが……正直そういったスキルは入社後に伸ばしてもらえれば十分です。どちらかというと、性格や人格を重要視していますね。スキルだけが必要であれば外注でもいいですし。そういう意味では、むやみやたらに採用するというよりは、ATOMicaに合う方をじっくり採用したいという思いです」

その理由は、現在のATOMicaのカルチャーにありました。

「今のATOMicaは、一生懸命な人を応援できる人ばかりなんです。ちょっと落ち込んでいる人がいたら、時間をかけて話を聞いて、寄り添える人たちです。意識的にしているというよりも、無意識的にしているように思うので、根っからの性格なんでしょうね。でも組織によっては、モチベーションを下げることを言ったり、足を引っ張るようなことを言う人もいると思うんです。ATOMicaにはそういった空気は生みたくないので、やっぱりスキルよりもマインドを重視したいと思っています」

譲れないポイントを聞いたあと、最後に理想の開発組織について問いかけました。

「トップダウンな開発組織にはしたくないんですよね。エンジニアには、新技術に積極的に取り組みたい人がいたり、ひたすらコーディングを極めたい人がいたり、マネジメントをやりたい人がいたり、いろんな人がいます。そういった、“でこぼこ”を大事にする開発組織にしたいです。やりたいことが叶った上で、チームとしても成り立っている。それが、本当の意味での働きやすい組織だと思います。これから仲間になるエンジニアの方には、文化や組織を一緒に作っていく気持ちで入っていただけたら嬉しいですね。組織づくりを『楽しみ』と捉えられる方と出会いたいです」

求めるエンジニア像に手繰り寄せるのではなく、その人が持つ個性、多様性を大事にしたい。穏やかな瞳の中に、橋本さんの強い意志が滲んで見えました。


取材・執筆/早坂みさと

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