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【The LEGENDS】自身の提案論文が優秀賞受賞。仕事と研究を両立した先に見えてきたこととは?

AGESTにはQAを究めし者たちがたくさんいます。『The LEGENDS』は、彼ら彼女らのQAとの歩みを振り返り、AGESTを中核から支える社員インタビューシリーズです。QAに夢中になったキッカケから、今後目指すべきエンジニア像をお話します。

1人目は、これまでソフトウェアテストや市場サポートの業務にチームリーダーとして従事しており、ソフトウェアの品質管理業務やソフトウェア設計書の監査業務もご経験されてる飯沼真一さん。AGEST Testing Lab.*の研究員としても活躍しています。

*AGEST Testing Lab. … 株式会社AGESTが設立した先端品質テクノロジーを活用したソフトウェアテスト技術を研究し、学術と産業の両面からソフトウェアの品質と安全性を高めることを目的とした研究組織

この度一般財団日本科学技術連盟(SQiP研究会)が主催する「ソフトウェア品質管理研究会」の第38年度(2022年度)成果発表会において、飯沼さんの提案論文「探索的テストの学習基盤の構築 - 探索的テストプロセスの定義 -」が優秀賞を受賞しました。業務の傍ら研究に発表に論文作成に…ハードな状況下で彼が挑戦したキッカケと目的は何だったのか?学べる環境は如何にして作られたのか?受賞の裏側に迫ります。

飯沼さんの提案論文・資料はこちらからご覧いただけます。

自身のエンジニアスキルを試し、飛び込んでみた世界とは

ーこれまでのご経歴を教えてください。

大学を卒業後、SIer企業にエンジニアとして就職しました。QA部門に配属され、そこから僕のQAエンジニア人生がスタートしました。最初は「品質と言われても…何からやるんだ?」という右も左もわからない状態で、チェックリストを参考に業務をひたすら覚える日々でした。懐かしいです(笑)その後、転職をして、OA機器の市場サポートの業務に就きました。業務内容は想像より多岐にわたっていて、お客様からのクレーム対応から、システム不具合の原因分析や再発防止案の提案などなど…。直接的にエンジニアリングな業務に携わることは少なく、「市場サポートってこんな業務までやるの?」と驚きもしましたが、原因分析の観点では前職で得た知識が活かされていたと思います。プロジェクトの中には、海外のお客様に対しても商品サポートを行うこともあり、現地にいる営業担当と英語でやりとりして状況を把握し、「この不具合は仕様上の問題か?はたまたバグなのか?」という分析を行ない、根本から解決することに重きを置いていました。振り返ると、2社目では品質保証というより、検証という側面が大きかったかと思います。AGESTに入社したのは、この会社との経営統合がキッカケですが、テストを専業とする会社で働くのは長いエンジニア人生の中で初めての経験です。

―SQiP研究会に興味を持ったキッカケは?

QAエンジニアとして、7年間テスト業務に携わってきて多少の自信はあったこともあり、自身のスキルを試してみたい気持ちがありました。いろいろと調べていく中で「テスト設計コンテスト」というものを知り、エントリーしたのが全ての始まりでした。自信はあったつもりが、結果はボロボロ…。(笑)悔しくて当時の上司に相談したところ、「まずは学び直すべきだ」というアドバイスと共にSQiP研究会の存在を紹介してくれました。SQiP研究会は自身の学びたい学問に対して基礎・研究・実践の3コースから選択するのですが、多少の自信が残っていたのか、私はソフトウェアテストの研究コースから始めました。「学んだ内容を現場に持って帰ったら業務効率化にも活かせるかも!」と意識は高くスタートしたものの、当初はカリキュラムに全くついていけず、結局基礎学習をやることとなり…。ここで完全に自信はゼロになって「このままではまずい!!!」と思い、心を入れ替えました。自分の足りてない部分を実務以外で知る機会は滅多にないので、「やっぱり知らないことを知るって楽しいな~!!」と、改めて学ぶ楽しさを身をもって感じ、勉強にもどんどん熱が入っていきました。

本業と研究の両立。1人で立ち向かって気づいたこと、その先で得たこととは

―仕事と勉強の両立の苦労はありませんでしたか?

2018年から2019年の1年間で研究コースに参加したときは、一緒に取り組むメンバーと切磋琢磨しながら学ぶ楽しさの方が大きかったです。自信もゼロになっていましたし、「スポンジのようにどんどん吸収してやろう!」という勢いでした。ただ、2021年〜2022年の実践コースの1年間はかなりハードモードでした。というのも、実践コースでの取り組みは研究コースのチーム制とは違って、1人で行なうからです。研究テーマの選定から、研究の進め方、論文への着手などなど、これまでは知識はもちろんのこと、本業のスケジュールに合わせて各々が補完し合うように進めていたのですが、進捗は全て自分に掛かっているという変化で苦労も増えました。

ー1人でやり遂げようと決心したキッカケはどんなことでしたか?

理由は大きく2点あります。1点目は、チーム制は良くも悪くもメンバーに甘えてしまい、自身のためにもあえて厳しい道を選択しようと思ったからです。論文を書くにせよ、チームでやっていると文章構成が上手いメンバーがリードして完成を目指していきます。もちろんチーム体制にはチーム体制の良さがあります。しかし、テスト設計コンテストで感じた悔しさを払拭するには、もう少し自身に負荷をかける必要性を感じたのです。2点目はソフトウェアテストを学んでいるのに、本格的なテスト研究に携われていなかったことが挙げられます。我々の世代的にも役職に就いているメンバーが多く、コンピテンシーモデル*作成など、マネジメント関連の研究が大半を占めていました。どんな分野であれ、自身にプラスになる知識ではありますが、本格的にソフトウェアテスト研究を極めるには自らテーマを検討することから始めなきゃいけない!と奮い立ちました。

*コンピテンシーモデル…仕事で成果を上げる従業員(ハイパフォーマー)の行動に見られる特性を洗い出し、「理想の社員像」を策定すること。

―今回の優秀賞受賞に至るまで、どのようにモチベーションを維持していましたか?

今振り返ると、モチベーションは上がったり下がったりの繰り返しでした。もちろん本業の傍らで研究しているので、繁忙期に差し掛かるとどうしても本業以外に割ける時間が少なくなり、研究のことを考える気力もどんどん下がっていって、余裕のなさからモチベーションも一緒になくなってしまうことはありました。(笑)ただ、そういう時は自身が何のために勉強・研究を始めたのか思い出すようにしています。「今学んでいることは現場を楽にすることに繋がるんだ。諦めたら本末転倒だ。」と自分自身を鼓舞することで、目的を見失わないようにしていました。また、研究コースを経て実践コースに挑戦しましたが、全ての始まりであるテスト設計コンテストの出場も毎年継続しています。あの時の悔しさは今でも学ぶ糧になっていて、そういう意味ではモチベーション維持のためには大きな出来事だったに違いないです。また、本業の実務・SQiPでの研究・テスト設計コンテストへの出場、私のPDCAはこのトライアングルで成立しているんです。やはりSQiPでの研究は応用も交えているので、そのまま現場に展開するのは難易度が高いです。そのため、一度テスト設計コンテストでアイディアを審査してもらって客観的な評価をもらい、自身のテスト設計を見直します。その上で確かな情報を現場に持って行き、新たな課題は研究題材へ…という循環が自他共に成長を与えていると実感できることもモチベーションには大きく関わっていると思います。

1人の知識は皆の知識に、学びを広めていくカルチャー

―自身の取り組みに対して、社内での反応はいかがですか?

今回の受賞をキッカケに、AGEST社内でも「こういうことやってる人いるんだ」と少しずつ認知が広がっているようです。コンテストへの出場や、SQiPを含む技術研究会への参画を検討する方から、何かと声をかけてもらう機会が増えました。誰しも未経験のことに不安を抱くのは当然ですので、先人として自身の経験談を交えたアドバイスをしています。少しは自身の努力が周りにも良い影響を与えることができているのかな、と感じます。

―自身の学びを社内にシェアする機会はどのように設けていますか?

定期的に勉強会を開催しています。この勉強会には、私の他にもコンテストへの挑戦やSQiPでの研究をしているメンバーはもちろん、「社内のメンバーが集まってやってるなら、ちょっと参加してみようかな」というグループワークの気軽さと、仲間も一緒に参加する安心感から、勉強会や研究に高いハードルを感じていたメンバーの参加率が非常に高まっています。小さな興味が大きな学習意欲に繋がっていることに、これまで学び続けてきた身として非常に嬉しく思います。エンジニアは学び続けることも仕事の一環だと思っているので、こうして勉強会が開かれること自体が非常に良いカルチャーだと感じます。私が講師をする機会もあれば、私が尊敬する上司が講師を務める会もあります。上司の背中を追いつつ、自分自身も学ばせていただいてます。インプットとアウトプットの場があることの大切さが浸透しているのは、エンジニア主体の会社だからこそかもしれません。

学ばざる者エンジニアになるべからず。学べる環境下で常に最先端なアンテナを

―今後学びたいことや目標はございますか?

変わらずソフトウェアテストの研究を継続しつつ、AIの知識も高めていきたいと考えています。個人的な「AIを知りたい」という欲求と、一エンジニアとして「今後のAIの発展を知っていなければならない」という使命感の二軸で学びを深めていきたいです。そういってる間にも新たな技術はどんどん登場してくると思っているので、常に新しい技術にアンテナを張り、高い目線で色んな事に触れていきたいなと思っています。

―最後に…飯沼さんにとって「学ぶ」とは

「エンジニアには欠かせないことであり、エンジニアだと自負できる行動」だと考えています。少し大袈裟な表現かもしれませんが、「技術を学ばざる者エンジニアになるべからず」と常々胸に留めています。勉強することで自身の考えを現場で行動に起こすことができ、仕事を創造できると感じております。そういった考えを抱くことができるのも、企業の風土が少なからず関係しているかなと思います。この心地の良いカルチャーがある環境で、これからも学びに邁進していきたいです。

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