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本日は、株式会社ストリーモの代表取締役CEOの森さんにインタビュー。
創業までの経緯から、現在の事業に着手した背景、そして今後のビジョンまで広く深くお聞きしました。「移動の課題」に向き合い、着実に解決を目指すストリーモについて詳しく知りたい方におすすめのコンテンツとなっております。
是非、最後までお楽しみください!
⑴本田技研工業で、日常に馴染むバイクの開発に明け暮れた日々。
⑵「命を預かるモビリティ」としての自覚と覚悟。
⑶既成概念に捉われない挑戦を続け、お客様との喜びを分かち合いたい。
本田技研工業で、日常に馴染むバイクの開発に明け暮れた日々。
本日はよろしくお願いいたします。まず初めに自己紹介をお願いします!
株式会社ストリーモの代表取締役CEOを務めております森と申します。本日はよろしくお願いいたします!
大学ではロボットの研究をしていて、災害救助ロボットの開発に取り組んでいました。実際に、所属先の研究室で遠隔操作可能な災害救助ロボットを日本で初めて現場に導入し、一時期脚光を浴びていた記憶もあります(笑)。一方、趣味では自転車で山下りをするレースにも参加していて、新卒で入社した本田技研工業(※以下ホンダ)でもその経験を活かして、自転車やメカトロニクスのプロジェクトに携わりました。
その後はアメリカでのレースサポートや世界一過酷なモータースポーツとも言われるダカールラリーの設計責任者としても経験を積みました。その中で、四苦八苦しながらも優勝を果たし、大きな達成感を得ました。しかし、自分の心の中では「機能性の高いバイクではなく、日常に馴染むようなバイクの制作に挑戦したい」という思いが強く残っており、倒れない二輪車の基礎研究に取り組みました。
その後、改めて二輪部門で新規事業のプロジェクトに選抜され、世界中を回りながら新規事業を立ち上げました。コロナの影響で一部中止になりましたが、その経験を活かして開発戦略や経営企画に携わっていました。しかし、やはり物作りが好きで、経営企画では満足できなかったため、自宅での研究開発を始めました。
その中でふと、自分自身、旅やバックパッキングが好きで、移動中の出会いや会話が思い出に残っていることに気付いたんですよね。そこで、倒れない二輪車の開発で得た知見を活かして、未だかつてない快適な移動ができるモビリティを開発することで、新たな価値を提供できるのではないかと思い、ストリーモの開発プロジェクトを始めました。
創業してから3年を経過した今、改めて過去を振り返り、心境の変化をお伺いできますか?
正直、あっという間でしたね(笑)。
最初は、登記して資金を集め、設計して、サプライヤーと交渉しながら、こじんまりと市場に出してフィードバックをもらい、走りながら改善していく形でした。2021年に創業して、2022年6月にプロトタイプを発表しましたが、その間は常に市場調査や試作を進めていました。6月の発表会までは、ホンダからのスピンアウトを大きく公表せずに進めていましたが、発表会では資金調達やプロトタイプの完成など、なんとか形にすることができました。発表会当日にはホンダの関係者やマスコミの他も含め沢山の方々が足を運んで下さり、良いフィードバックをもらえたことが何よりも大きな成果でした。翌日には、フランスで開催される展示会「*VIVA TECHNOLOGY(通称:ビバテック)」に参加するために、飛行機に乗って現地へ向かいました。展示会では、フランスの先進的なマイクロモビリティ環境を体験し、現地の人々の生の声を聞くことができました。これにより、製品の良い点や改善点が明確になり、非常に有意義な体験でした。
その後、日本でも試乗会を開催し、実環境での試験を繰り返すことで、さらに改良を重ねました。特に高齢者の方々が免許返納後の移動手段として興味を持ってくださり、実際に試乗してもらう中で、製品の変更点が明確になり、アップデートを重ねていきました。昨年の9月にはデリバリーを開始しましたが、その前の7月に法改正があり、電動キックボードのような新しいカテゴリーの乗り物が免許なしで乗れるようになったことで、非常にタイミングよく注目されました。デリバリー後も多くのお客さんからのフィードバックや賞賛を頂き、改良を重ねました。当初は、坂を上る性能が非常に低かったストリーモですが、生の声をもとに頭を悩ませながらも試行錯誤を繰り返し...。結果、坂の多い場所に住んでいるお客さんからは「ストリーモのおかげで毎日の買い物が楽になった」という声を頂くこともできました。安定性に感動したという声も多く、本当に日々嬉しく思いますね。
しかし、一部ではまだ電動キックボードと誤解されていることもあり、新しい乗り物としての認知を広げていく必要があります。前提、我々はサービサーではなく、メーカーのため、品質に非常に強いこだわりがある上に、他社には安全性で負けない自信があります。そのため、まだまだ認知の低いストリーモですが、もの作りへのこだわりを起点に、安全性に大きな強みを持つ次世代モビリティとしての存在を確立させていきたいと考えています。
最初は3人でスタートした会社も、今では12人のチームとなり、ようやく製品をお客さんに届けられるようになりました。これからは営業活動も本格化させ、次のステップに進んでいきたいと思っています。
*VIVA TECHNOLOGY
「VIVA TECHNOLOGY」は、仏大統領が例年登壇するなど、仏政府の強いバックアップの下、GoogleやLVMHグループなど仏国内外のオープンイノベーションを推進する大企業、各国の有力スタートアップ、イノベーションに関するキーパーソンが集まる世界トップクラスのテックイベントです。
「命を預かるモビリティ」としての自覚と覚悟。
市場の課題感も肌で感じてらっしゃるかなと思うのですが、その中で勝ち筋や今後の展望など、見据えていらっしゃるところはありますか?
我々は本当に困っている方々の課題を解決したいと思っています。
歩くことができる場所やバス、自転車が利用できる地域では、移動の問題はあまり深刻ではありません。しかし、山間部や坂の多い場所、バスが通れない細い道が多い地域、利用者が減ってバスの路線維持が難しい場所などでは、本当に困っている方々がいます。そうした場所で自由な移動を確保するために、B to C、B to B、B to G、ターゲット問わず様々なお客様のニーズに応えていきたいと考えています。これにより、少しずつではありますが地域の移動や暮らしの課題を解決していきたいと考えています。
次に、「株式会社ストリーモ」の代表として、日頃の従業員との関わり方で心掛けていることをお伺いできますか?
関わり方に関しては、気軽に声をかけて、やりたいことや気づいたことを話せるような関係を築きたいと思っています。そうすることで、自分1人では気づけないことも、10人いれば10人分の気づきを得られると感じています。互いに助け合いながら事業を成長させ、体験を共有できる関係を維持していきたいと思っています。
価値観や軸について言うと、やはり会社として最も大切にしているのは、命を預かるモビリティを作っているという自覚と覚悟です。そのため、社員にもその認識を持ってもらう必要があります。我々の価値観の軸にあるのは、安心と安全ですので、その部分は揺るがずにやっていきたいと考えています。
次に、経営者として今後「株式会社ストリーモ」をどのようにして拡大していくのかをお伺いできますか?
冒頭でフランスのビバテックに出展した話をしましたが、我々も元々はマイクロモビリティの本場である欧州での展開を計画していました。欧州は道路環境が整っているだけでなく、使用者や街の人々の馴染みも深い場所です。当初はグローバルカンパニーとしてスタートした弊社ですが、開発時期がコロナウィルスの蔓延やロシアによるウクライナ侵攻の影響を受け、日本を第一市場とすることに決めました。
日本では法改正で「特定小型原付」という新しいカテゴリーができ、それが追い風となり順調なスタートを切りました。目指すところは、当たり前のモビリティとして定着することです。そのためには、サービスやメンテナンスを含めたマイクロモビリティの世界標準をストリーモが実現する必要があると考えています。
また、モビリティは1つあれば誰にでも合うものではないという認識もしています。そのため、どのようなお客様にとって必需品となるかを見極めていく必要があると考えています。
この1年から1年半で日本で基盤を築き、今後はそれを欧州へと拡大する計画です。その一環として、今年5月に再びビバテックに出展しました。前回はプロトタイプを展示し、多くのフィードバックを獲得できましたが、今回は大幅に進化した現行モデルのストリーモを欧州の街でどのようにフィットさせるかを検証してきました。しっかりと、日本で確立した成功パターンをもって欧州、世界へとステップバイステップで進めていこうと考えています。
今後、「株式会社ストリーモ」を拡大していく中で、どのような組織集団を目指していきたいか、または目指していくべきかお伺いできますか?
我々の組織は、環境問題や持続可能な街づくり、コンパクトシティといった背景から、生活圏内の移動をより良くし、暮らしを豊かにすることを目指しています。私たちが意味する「移動」には単に目的地に行くだけでなく、散策や散歩といった生活の中での自由な移動を楽しんでもらいたいという思いがあります。そうした理念を実現し、移動を楽しめるワクワクするものに変える会社として、期待される存在になりたいと考えています。
お客様から「この会社なら何か解決してくれるかもしれない」「なにかワクワクするものを感じる」と期待してもらえるような組織が理想です。また、一人一人のメンバーがお客様に真摯に向き合い、信頼を培えるプロ集団になりたいと考えています。
既成概念に捉われない挑戦を続け、お客様との喜びを分かち合いたい。
経営者としての今後の目標や夢をお伺いできますか?
現在の一般的な乗り物といえば電車や飛行機、自動車やバイク、自転車ですが、これらはどちらかというと運搬手段に過ぎず、自由に手足のように動ける乗り物こそが本当の「乗り物」だと考えています。自動車やバイク、自転車以外に当たり前の乗り物が少ないのは、他の選択肢が人の自然な感覚から離れてしまうからです。無理に使う乗り物では、移動の自由さが損なわれます。その点、ストリーモは自然な感覚で乗れるように設計しているため、安定性や安全性を確保しつつ、散歩のような移動が楽しめるようになっています。この着想を基に開発されたストリーモは、自動車、バイク、自転車に次ぐ当たり前の乗り物になる可能性が十二分にあると考えています。
しかし、そうは言いつつも乗り物は人によって場面や求めるものが異なります。家族で移動する場合、1人乗りのストリーモだけでは不十分なこともあるかもしれません。その中でも、自動車や電車に引けを取らないストリーモならではのアイデンティティを確立し、選択肢の1つとして「ストリーモ」が選ばれる世の中にしたいと考えています。
ただその一方で、私自身は技術者としての一面も強い経営者です(笑)。そのため、新しい乗り物を世の中に送り出すことを探求し続けたいという目標があります。世界全体から注目を浴びるモビリティを目指すならば、事業展開や拡大が必須です。今後、経営に専念するのか、技術者としての道を続けるのかについては、環境を整えつつ経営も見ながら考えていきたいと思います。
また、中長期的な視点としては、ストリーモの普及を進めると共に、従来のモビリティの既成概念を覆したいと考えています。自動車や電車に取って代わる唯一無二の乗り物として、脱炭素社会にも貢献しながら自由な移動を提供し、街や暮らしの中で当たり前の存在を目指していきたいと考えています。
次に、現在のフェーズの中で、従業員に「どんなことを目指して欲しいのか」、そして「どういう役割を担いながら働いてほしいか」、お伺いできますか?
現在のフェーズとしては、お客様にある程度の数の製品を提供できるようになり、事業拡大の段階にあります。この中で大事にしたいのは、製品を購入し利用してくださるお客様の笑顔や喜びの声を聞き、一緒に喜べる関係を築くことです。これからは、この喜びを会社全体で共有し、お客様とも分かち合っていきたいと考えています。
私たちがフォーカスしているのは生活圏内、具体的には5キロ以内の移動です。そのため、メンバー1人1人に「この範囲でどのような価値を提供できるのか」を常に考え、各々が自分の貢献方法を見定めて行動し、その価値を検証しながら他の地域にも広げていく役割を担ってほしいと思います。
それでは、改めてストリーモにどのような方に来ていただきたいかお聞かせできますか?
まずは、命に関わる製品を作っているという自覚と覚悟を持って取り組んでほしいと思います
その大前提として、3現主義が重要だと考えています。現場、現物、現実に基づいた考えと行動ができる人材が必要不可欠です。お客様の声を聞き、それに基づいて確実なものを積み重ねて行動することが大切です。
ただその一方で、好奇心と冒険心も必要です。試行錯誤を恐れず、好奇心を持ちつつも、無駄なことや無茶なことはしない慎重さも求められます。その上で、自分たちが生み出したサービスや製品に自信を持ち、お客様と喜びを分かち合える方々に来て欲しいなと思います。
皆様からの沢山のご応募をお待ちしております!
本日はありがとうございました!
こちらこそありがとうございました!