はじめに
お名前.comからGoogle Domainsへのドメイン移管はネット上に情報がいくつもありますが、その逆のGoogle Domainsからお名前.comへのドメイン移管に関しては情報がないため紹介したいと思います。 また、ドメインやネームサーバなどに関する基礎知識も簡単にまとめます。
ドメインやネームサーバなどに関する基礎知識
本編に入る前に、簡単にドメインやネームサーバーの基礎知識も改めて解説をいたします。
Whois
Whoisとは、IPアドレスやドメイン名の登録者などに関する情報を、インターネットユーザーが誰でも参照できるサービスです。
Whoisで提供される情報は以下のとおりです。
- 登録ドメイン名
- レジストラ名
- 登録ドメイン名のプライマリおよびセカンダリネームサーバ
- ドメイン名の登録年月日
- ドメイン名の有効期限
- ドメイン名登録者の名前および住所
- 技術的な連絡の担当者の名前、住所、電子メールアドレス、電話番号
- 登録に関する連絡の担当者の名前、住所、電子メールアドレス、電話番号
ドメイン移管前後で情報が更新されることを確認します。
レジストリ
「.com」や「.jp」などのトップレベルドメイン(ドメインの一番最後の部分)毎に1つのみ存在する管理機関のことです。 各トップレベルドメインに関するデータベースを管理していて、どのドメインが登録済みかを調べるのに使われています。
ドメインはインターネット上の住所のようなものなので、重複しないようにしっかり一元管理されています。
レジストラ(登録事業者)
ドメインをレジストリに登録する権限を持っている事業者をいいます。 Google Domainsやお名前.com(会社名はGMO INTERNET, INC.)がレジストラです。 ドメインを取得するためには、いくつもあるレジストラの提供しているサービスを利用して購入費用や、更新費用を支払ってドメインを利用できるようにします。
ドメイン
インターネット上の住所のようなもので、サーバにひも付きますが。例えば google.comのように人間にとって見やすいように文字列で構成されます。
IPアドレス
こちらもインターネット上の住所のようなものですが、数字やドットなどで構成されています。 そのため、人間には見分けがつきにくくて不便なのでドメインとIPアドレスを紐づけて、わかりやすいドメイン名で目的のサーバにアクセスできるようにされています。
IPアドレスには、古い規格であるIPv4と、新しい規格のIPv6がありますが、現在はどちらも平行して使われています。
- IPv4(2の32乗≒43億個くらいしかアドレスを作れない、現在では数が不足してきている)
例えば2023年8月2日時点のでgoogle.comに紐づいているIPv4アドレスのひとつは172.217.175.110
- IPv6(2の128乗個という膨大な数のアドレスが作れる)
例えば2023年8月2日時点のでgoogle.comに紐づいているIPv6アドレスのひとつは2404:6800:4004:80c::200e
ネームサーバ
ネームサーバは、ドメイン名とIPアドレスを関連付ける役割を持つサーバで、インターネット上の通信を円滑に行うために重要な存在です。
具体的な手順
それでは実際にドメイン管理業者の移管を行ってみましょう!
ここでは、対象のドメインをhogehoge.comであると仮定して進めます。
このドメインは現在、Google Domainsで取得されて管理されており、ネームサーバもGoogle Domainsが提供しているサーバを使用している前提です。
Google Domains を別のサービスに移管する方法
- Google Domains にログインします。
- 移管するドメインの名前をクリックします。
- 左上のメニュー アイコン メニュー次へ [登録の設定] をクリックします。
- [ドメインのロック] でドメインがロックされていないことを確認します。
- [Google から移管] の右側にある [認証コードを入手する] をクリックします。
- [別のドメイン登録事業者へ] を選択して [続行] をクリックし、必要に応じてログインします。
- 認証コードをコピーして移管先の事業者に提供します。
- ドメインロックの設定を変更する
Google Domains はデフォルトでドメインをロック状態にするようなので、ドメイン移管するために解除する必要があります。
追加の注意点
ドメインの管理をGoogle Domainsから他社へ移管するとGoogle Domainsで提供されていたサービスが使えなくなります。
とくにネームサーバは事前に他に事業者に移しておかないとドメインを使ってサイトにアクセスすることができなくなってしまうため最初にネームサーバを別のサービスに変更しておきます。
移管が完了すると、Google Domains のサービスが停止されます。(Google Domains のサービスには、メール転送、ドメイン転送、ネームサーバー、リソース レコード、非公開の登録などがあります)
実際の作業
- ネームサーバを変更する
今回はAWSのRoute53に変更します。
1. Route53でhogehoge.comゾーンを作成。
2. Google Domainsのネームサーバで登録されているhogehoge.comゾーンのレコード
※上記をRoute53に登録。(NSとSOAレコードは変更しない。これらはRoute53のhogehoge.comゾーンに自動作成されているのでそのまま残して使用する)
3. Google Domainsのhogehoge.comのDNS設定画面で、ネームサーバとしてRoute53のhogehoge.comゾーンに設定されているネームサーバ名を入力して保存。
※この作業の前にRoute53のNSレコードのTTLを300など短くしておくと、不具合があったときにGoogle Domainsのネームサーバにすぐ戻せるので安心。(問題なく移行できたらTTLをもとに戻す)
4. whoisのネームサーバ情報や、digコマンドなどでネームサーバ情報が更新されたことを確認。
5. hogehoge.comドメインのサイトへのアクセスやメールの受信などが今までどおりできることを確認。
図1: hogehoge.comゾーンのネームサーバ変更
- ドメインロックを解除して移動できるようにする
Google Domainsの画面からドメインロック設定のボタンを押してロックを解除する
図2: hogehoge.comドメインのロック解除
- Googleから移管するための認証コードを取得する
ドメインロック解除ボタンの下にある"認証コードを取得"リンクをクリックして認証コードを取得する。これがあるとドメイン移管できてしまうので、他者に知られないように注意する。
- お名前.comのサイトでドメイン移管申請をする
お名前.comへのドメイン移管申請画面から、hogehoge.comを入力して次の画面で認証コード(AuthCode)を入力する。
移管料金を確認して、申込みを完了させる。
図3: お名前.comへのドメイン移管申請画面
図4: 認証コード(AuthCode)入力画面
- 移管完了とドメイン登録情報の確認
1. 無事にドメイン移管が完了すると、お名前.comから移管完了のメールが届きます。
2. ほぼ同時に、"登録情報確認のお願い"というメールも届きます。
3. whoisで公開される、ドメインの登録者情報が正しいか確認して、異なっている場合は修正します。
もしくは自分の登録情報を公開したくない場合は、Whois情報公開代行サービスを申し込んで、お名前.comの情報がドメイン情報として公開されるように設定します。
これで完了です!
終わりに
今回はGoogle Domainsから、お名前.comにドメイン移管をする手順を紹介させていただきました。 運用中のドメインを移管する手順の中では、ネームサーバを切り替える工程が一番重要です。 なぜなら、ここでミスがあると運用中のサイトが見れなくなったりメールが受信できなくなってしまう可能性があるためです。そのため慎重な作業が要求されますが、作業を行う方はぜひ参考にしてみてください!