個人のスキルとチームを成長させる!コムデデザインチームの「課題共有会」とは | Designer's note
はじめにはじめまして。コムデのクリエイティブ事業部でデザイナーとして働いている上原です!未経験で入社し、働き始めてもうすぐ8ヶ月になります。もともとはスタイリストになりたくて服飾学校に通っていた...
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こんにちは。コムデのデザイナー西田です!
現在デザインチームでは以前紹介した「課題共有会」の一環として「UX設計強化課題」というものに昨年12月から半期に渡り取り組んでいます。
1人1人オリジナルでサービス企画を考え、UX(ユーザーエクスペリエンス)の5段階モデルの手法に沿って企画からデザインまで5つのフェーズに分けながら約半年かけて形にしていこうといった内容です。Wantedlyではフェーズごとに取り組んでいる内容について数回に渡って紹介していきます!
今回は第二フェーズの「戦略〜要件定義」段階です。
第一フェーズの記事をまだ読んでいないかたは「UX設計強化課題」になぜ取り組むことになったのか、まとめている前回の記事をぜひご覧ください!
「戦略/要件」の内容をお話する前になぜ「アイデア出し」と「戦略」を別々に取り組んだのかを先にお話したいと思います。
「アイデア出し」と「戦略」の工程は同時に行うべきではないか?と考える方もいらっしゃるかと思いますが、今回あえて工程を分けて取り組みました。
なぜなら、クライアントは形にしたい「サービス」や「アイデア」が何かしらある状態の場合がほとんど。
そのアイデアの種を持ち込んでいただいた段階を経て戦略がスタートするため、敢えて別フェーズで考えたということです。
これによって、実案件にできる限り近い形でサービスを作ることが可能になります。
ここからは第二フェーズ「戦略/要件」はどのように取り組んできたかを紹介したいと思います!
この「戦略/要件」は、より良いサービスやサイトを生み出すための根幹の部分を担うため、特に重要なフェーズです。
第一フェーズで考えたアイデア企画を形にするために、「戦略」を考えていきます。この戦略のフェーズで大事な目的は以下になります。
そして戦略を立てるためにやるべきことは
など、多岐にわたります。
具体的には「リーンキャンバスシート」「競合分析」「ペルソナ」「バリュープロポジションキャンバス」などの手法を用いて行います。
以下に戦略のためにやることと、その手法を一例としてご紹介します。
【ビジネスモデル明確化】リーンキャンバスシート
リーンキャンバスシートとは、ビジネスモデルの概要を作成するために使用されます。企画で立てたアイデアをこのシートにまとめることでビジネスの骨格を構築し、プロジェクトのビジョンと目標を明確にします。
【サービス/プロダクト理解】競合分析
競合分析とは、自社やプロジェクトの競合他社や製品と比較するために行われる調査活動です。競合他社の製品やサービス、顧客の要求やニーズ、市場のトレンドや動向などを評価します。自社の強みや差別化ポイントを特定し、競合他社に対して優位性を持つ戦略を策定します。
【ユーザー定義】ペルソナ
ペルソナとは、目標や行動パターン、好みなどを持つ架空のユーザーを表すツールです。
特定のターゲットユーザーグループを理解し、そのニーズや要求を把握するために使用されます。ペルソナを通じて、デザイナーや開発者はユーザーの視点を理解しより適切な価値を提供することができます。
【提供価値定義】バリュープロポジションキャンバス
バリュープロポジションキャンバスとは、誰が商品やサービスを使うのか、どんな問題を抱えているのかを明確にするためのツールです。ユーザー体験の特徴や顧客側のメリットを示し、成功を測るための評価基準を設定することもできます。
これらに取り組むことで、ユーザーのニーズや欲求、事業や要望の課題を理解し、ブランドのアイデンティティやコンセプトを反映した戦略を生み出すことができます。
戦略を立てたら、次に「要件定義」に移ります。
要件定義の目的は、開発チームやデザイナーがアプリの開発やデザインにおいて「何を実現すべきか」を明確にすることです。ユーザーのニーズや要求を理解し、必要な機能や要素を特定することで、開発プロセスを効率化し、価値のあるアプリを提供することが目的となります。
要件定義のためにやるべきことは
などです。
具体的には「ストーリーボード」「カスタマージャーニーマップ」などの手法を通して、ユーザー目線をサービスに取り入れられるようにします。
以下、その手法を一例としてご紹介します。
【ユーザーストーリー創出】ストーリーボード
UXを物語の形式で表現するためのツールです。
ユーザーが製品やサービスをどのように使用するかをストーリーとして描き、ユーザーの視点やニーズを理解しやすくします。ストーリーボードは、プロトタイプの開発や意思決定のサポートにも活用されます。
【ユーザーストーリー整理】カスタマージャーニーマップ
顧客がプロダクトやサービスを利用する際の「経験全体」を可視化するためのツールです。
顧客が特定の目標を達成するまでの旅路や感情の変化を段階的に示し、顧客の体験や接点を洞察することができます。
これらに取り組むことで、ユーザー体験に沿ったサイトやサービスの⽬標/⽬的を明確に定義し、情報や機能を洗い出すことで、伝えたいブランドのアイデンティティを明確にします。
実際の案件の場合は、サービスの定義付けをすることで、開発の手戻りを防ぐことができることや、メンバー全員でサービスの共通認識を持つことができるという意味でも重要なフェーズです。
本来であればシステムの組み立て方についてもこの段階で決めるべきですが、私たちの場合今回はあくまで課題ということで実現性の難易度については追求しすぎず、作成しています。
自分たちのサービスがどのように使われるのかを具体的にイメージできるようになるまで、サービス内容を深掘りしていくことが重要です。
もしこの段階で戦略が甘ければ、戦略からもう一度錬る必要があります。
今回の課題では「戦略」と「要件定義」のフェーズで段階を区切っていますが、「戦略」と「要件」を進んだり戻ったりすることで、より高いクオリティにしています。
また、今回課題に挑戦するメンバーはこのような上流工程に関わるのは初めてなので、通常よりも戻りが多めになることも想定されていました。
企画を考えてから約一ヶ月が経ち、私たちが考えた「戦略/要件」をマネージャーに発表する時がやってきました!
参加メンバーはそれぞれの企画内容を「戦略段階〜要件段階」まで詳細にまとめ、プレゼンしました。
同じ手段で資料を作成したのですが、それぞれの個性がまとめかたに出ており、面白いです!
発表を聞いた後、マネージャーからのフィードバックや他のメンバーからの感想をいただきます。
「こんなペルソナあるある!」「確かにこんなところがサービス利用の障害になるよね」と共感したり、ユーザーのニーズや課題について共通認識を持ちます。また、「こんなアイデアがあればアプリのダウンロードを促せるのでは?」と、初めのハードルに関してアイデアを出し合います。そこから、UXの向上に向けた改善策を模索します。
さらにマーケティングの観点を取り入れ「もっとマネタイズするにはどうしたらよいのだろう?」という視点から、収益化の可能性や方法についてアイデアを出し合います。収益モデルの改善や新たな収益源の発掘に向けて、全員で議論をかわします。
こうしたフィードバックやアイデアの共有を通じて、より良いサービスに向けた改善案が生まれます。チーム全体の知恵と経験を活かし、ユーザーのニーズを満たすサービスを提供するために取り組みます。
「戦略/要件」をまとめる過程では、順調に進まないことや頭を悩ませる場面が多くありましたが、それでも発表までたどり着くと、また前に進めるような感覚になるのは不思議です。おそらく、チームメンバーそれぞれが努力し合い、困難に立ち向かっている状況を見ているからこそ、このような気持ちになれたのかもしれません!
私の場合、ゴミ回収サービスアプリ(都内にゴミ箱が少ないことで不便を感じる方が多いため、都内に設置したゴミ箱にいつでもゴミを捨てられるサブスク)を作成していたのですが、戦略段階の詰めが甘く、戦略の見直しに多くの時間を要しました。
主に競合研究不足が原因で、ゴミ捨て「アプリ」にばかり焦点を当ててしまい、競合が見つからなかったため、需要がないかもしくはマネタイズが難しい領域を選んでしまったのではないかと不安になりました。
しかしその後、アプリという枠に囚われず、ゴミ・環境問題関連のボランティア団体や最先端のゴミ箱を作っている会社なども調査しました。同じ問題を解決するサービスを幅広く観察することで、業界全体の課題点が明らかになり、方向性が定まってきたことを覚えています。
戦略を見直せて良かったものの、要件段階の時間が不足して苦労しました。しかし、手戻りがあっても、次の工程に進むための基盤を築くことが重要であり、各段階を丁寧に考え抜くことは、次に進むための貴重なトレーニングになったと思います。
苦難だけでなく、そのぶん良い経験にもなりました。ユーザーの特徴や利用シーンが明確になる段階で、アイデアが具体的な形に変わっていく過程が興味深かったです。ユーザーの体験や行動を深く考えることができる範囲や、ユーザー目線でサービスを設計すると同時に、ビジネスの側面も考慮する経験は、チームメンバーそれぞれの視野を広げることに繋がったように思います!
実際の案件では、既にマネタイズの見通しが立っているプロジェクトをデザインすることが多いため、クライアントの視点を理解する貴重な経験を得ることができました。これにより、私たちのチームのメンバーそれぞれが成長する機会になったと感じています。
今回はデザイナーチームで取り組んでいる「UX設計強化課題」の第二フェーズ「戦略〜要件定義」についてお話しました。
コムデデザインチームではこのような取り組みを通して、0→1にしていく過程を学ぶ機会があり、領域に縛られず、制作のあらゆる場面に携われるよう課題に取り組み、ナレッジを共有しています。
コムデではデザインの領域を広げ、本質的な体験づくりにも関わっていきたい方のご応募をお待ちしております!
次回の「UX設計強化課題」の内容は「構造設計」の予定です。
デザイナー4人の奮闘はまだまだ続きますので、ぜひ次回の記事もお楽しみに!