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元高校教師がエンジニアに転向し、みんなのコードにjoinした理由/CTOインタビュー

こんにちは!「全ての子どもがプログラミングを楽しむ国にする」をミッションに、小学校プログラミング教育を推進してる、みんなのコードです。

メンバー紹介第三弾!今回はCTOの田中をご紹介します!



学校の算数の授業で使える無料プログラミング教材「プログル」を立ち上げ、約2年間ひとりで開発してきました。
プログルは「学校の授業ですぐに使える」ように設計されたプログラミング教材です。先生の意見を取り入れて開発されたシンプルな画面構成と、教科学習に特化したドリル型のコースで、誰でも簡単にプログラミング教育を実践することができます。




@IT「まずは普通の小学5年生にFizzBuzz問題を解かせる――みんなのコード、プログラミング教材「プログル」を無料で提供開始」


▶︎joinする前
教師を3年続けたが今後のキャリアを描けなかった。思い切って辞めてエンジニアの道へ。


――最初のキャリアは高校の世界史の先生だったとお伺いしましたが、その時のことを詳しく教えてもらえますか?

最初のキャリアは私立高校の世界史の教員で、3年間ほど続けていました。しかし、社会科の教員としてのキャリアの限界と、教員の働き方に限界を感じ、先生をやめてエンジニアにキャリアチェンジしました。

社会科教員を続ける上で、感じた課題は

・社会科の免許を持ってる人が多く、求人倍率が高い(10倍〜30倍以上はざら)
・勤めたいと思った学校(進学校や伝統校などの有名校)は、そもそも大学院を出ていないと門前払いのところが多い、もしくは大学院での研究内容について採用試験で問うてくる場合が多い

といったところでした。

このくらいの倍率になると、自分で行きたい職場を選ぶ…というより、運良く内定を貰った職場に勤める…くらいの気持ちが無いとやっていけません。

それに、大学院に行ってまで研究する欲求もなく、学校の先生を続けるというキャリアは描けませんでした。

また、教員の働き方に関しては、精神的・体力的に何十年もこの生活を続けられるのだろうかという不安が大きくありました。

睡眠時間は毎日4時間、朝6時に起きて8時前には出勤、1日授業が3〜5コマあり、お昼ご飯を夕方に食べる日もしばしば。夕方下校時刻になるとようやく自分の仕事に取り組める…と思いきや、生徒指導や部活指導が舞い込んでくることもあります。

夜自宅に帰ってから翌日の授業準備をして、ようやく2・3時に寝る…みたいな生活が続いていきました。

正直、この働き方じゃ身が持たないな…という思いがあって、2年目からパートタイムの非常勤講師となり、その時期に平行して、アイティメディア株式会社の@ITというメディアでアルバイトをするというダブルワーク生活をしました。

ーーなるほど。その後先生の仕事を辞めて職業訓練校でプログラミングを学んでそこからエンジニアになったんですね。職業訓練校ってプログラミング以外にもデザイン学ぶ等色んな講座があると思うんですけど、なぜプログラミングを選択したんですか?

もともと子どもの頃からコンピュータやインターネットが好きで、高校生の時の情報の授業でHTMLを学んだことがきっかけとなり、自宅サーバを構築して、簡単なホームページやチャットルームを作ったりしていました。自分の好きなことだから、その方向性でキャリアを選んでもよいかなと思って、Webプログラミングを学べるクラスを選択しました。


職業訓練校の授業が始まる前に先取りしてプログラミングをはじめてみたら、本当に面白くって。JavaScriptを使って文字や背景の色を変える…というサンプルだったんですが、それまでHTML・CSSを使った静的なサイトを作る経験しかしてこなかった自分には衝撃でした。大げさですが、とてつもない魔法を使えるようになった気分になったのを今でも覚えています。

エンジニアに転向後、テラスカイ→サイタ→ファンタラクティブ&みんなのコード、とエンジニアとしてのキャリアを積んだ


ーー半年間職業訓練校でプログラミングを勉強し、卒業して就活されたんですか?


はい、Twitterのフォロワーが誘ってくれた、株式会社テラスカイというSalesforceを扱うSI企業に入社しました。この会社には半年ほど在籍したのですが、そのときの取引先がラクスルで、そこで初めて現代表の利根川と話しました。


ーー半年という短期間で転職した理由は?


当時は職業訓練校を出たばかりで、ごりごり開発して技術スキルを高めたいという想いがあったんですが、あまりそのような案件にはつけず。その後、wantedlyで就活していて、サイタという習いごとのマッチングサービスを展開するコーチ・ユナイテッド株式会社(現在はクックパッド株式会社に吸収合併され、解散)に転職して、そこではじめてPHPメインでエンジニアとして開発デビューしました。
仕事の内容は、カスタマーサービスが利用する管理画面から、ユーザーが目にする集客側まで、一通り携わることができました。また、途中から新規事業の開発主担当にもなり、幅広い経験をさせてもらうことができました。


――その後、エンジニアとしてのキャリアを順調に積んでいく中で、みんなのコードに関わるキッカケはなんだったんですか?


ある日突然、利根川から「元先生だし、教育好きでしょ?Hour of Codeを日本に広めようと思ってるから、手伝ってよ」と言われて、まあよくわからないけど面白そうだなと思って、キックオフイベントのお手伝いをしました。

Hour of Codeとは1時間でもコンピュータに触れる機会をつくろう!という世界的なキャンペーンで、アメリカのNPO法人Code.orgがコンピュータ・サイエンスを世の中に普及する活動の一貫として始めたものです。

▼当時のdots(現在Tech play)で実施されたHour of Codeのイベントの時


このHour of Codeのイベントが終わった後もボランティアで手伝っていましたが、Web制作会社のファンタラクティブ株式会社に転職したタイミングで、週2日みんなのコードで働き、週3日ファンタラクティブで働くというダブルワークの生活をすることにしました。

この生活を1年半ほど続けて、2017年9月にCTOとしてフルコミットでjoinしました。

▶︎joinした理由
利根川と仕事がしたかった&公教育でプログラミング教育推進は必要だと思ったから。


ーーなぜみんなのコードで働こうと思ったんですか?

3つ理由があります。

1.利根川の思いに共感した

みんなのコードが立ち上がる前から掲げていた「公教育にプログラミング教育を広めたい」という利根川の思いに共感しました。

学校で働いた経験から、コンピュータに対してアレルギーがある教員が多いことは知っており、どうにかして学校現場のコンピュータアレルギーを解消していかないと、ますますコンピュータの影響力が高まる今後の世の中に、教育現場も子どもたちもついていけなくなるのではという課題感を持っていました。

プログラミング教育が、少しでもこのアレルギーを解消するきっかけになってくれれば…という思いがあります。

また、本気でプログラミング教育を世の中に広めたいなら、国の教育制度の根幹である公教育を攻めるべきだろうと教員時代から感じていたので、この利根川の思いを聞いたときは大きく頷いたのを覚えています。

2. 教員時代の知見を活かせると思った

利根川含め、立ち上げ時のメンバーは誰も先生や学校教育の知見をもっていなかったため、公教育という領域で事業展開をするなら、自分の元教師という経験を活かすことができるのではと思いました。

立ち上げ当時、利根川と一緒に先生向けの研究会を見学したり、仕事終わりに渋谷のカフェで、一緒に指導案を作ったのが懐かしいです。

3.利根川やプロボノメンバーと仕事をしたかった

立ち上げ当時から一緒にプロジェクトを進めて行くなかで、シンプルに利根川と一緒に仕事をしてみたいなと思うようになりました。仕事の進め方、アクションの筋の良さ、もちろん人柄も含めて、この人と仕事をすると面白いことができそうだな、自分自身も成長できそうだなと感じました。

また、ビジネス現場の最前線で活躍する、優秀なビジネスマンの方々がプロボノ(各分野の専門家が、職業上持っている知識・スキルや経験を活かして社会貢献するボランティア活動全般。また、それに参加する専門家自身 - wikipedia プロボノより)として参加していて、彼らと一緒に仕事できることも大きな魅力だと感じました。

▶︎joinしてから

「やりたい」を実現できる組織づくりと、エンジニアドリブンの組織を目指している


――プログルをリリースして2年経ちますが、よかったと思うことはなんですか?

広告宣伝費ほぼゼロで、体験者26万人を突破しましたし、学校関係者の方々からのご意見も好評で、リリース前の予想を遥かに超えた反響でした。

開発者視点で、リリースしてよかったなと思うことはたくさんありますが、大別すると3つかなと思います。

1.ゼロイチでプロダクトを作った経験が自分のキャリアに活きる

自分のエンジニアキャリアを考える上で、何もないところからプロダクトを作り、価値を生む経験を積めたのは非常に大きかったと思っています。プロダクト立ち上げの泥臭さは、なかなか経験するチャンスが無いと思います。

また、プログルを作ってみて改めて感じたことなんですが、特に立ち上げ時の、クイックにプロトタイプを作って検証を進めていくプロセスが本当に楽しくて。「自分は新しいモノを作るのが好きなタイプなんだな」という自分自身の気づきもありました。

2.子ども、先生、文部科学省など色んな界隈から反応がくる嬉しさ

繰り返しになりますが、リリース後の2年間で、約26万もの方に使っていただいたプロダクトになりました。様々なユーザーから反応がくるのがとても嬉しいです。

子どもたちや先生からは「プログルのファンです!」「いつもは算数が苦手な子どもが、プログルを使うと目の輝きが変わるんですよ!」というお声をいただいたり、文科省の方から「プログル応援してます」と激励の言葉をいただきます。

いずれ自分たちの子ども世代からのフィードバックが来るようになると思うと、すごくワクワクしますし、身が引き締まりますよね。それに、国の政策に関わるような方から応援していただけるなんて、そうそう無いことだと思います。

ちょっと大げさですけど、プログルは、日本中から期待されているプロダクトなんだなと勝手に解釈してモチベーションアップにつなげています

3. 世の中を動かす影響力があるプロダクトを作れていることのやりがい


2と重複するかもしれませんが、影響力があるプロダクトを作れているやりがいがあります。

プログルの利用者数を、対象学年の小学校5年生の年間人数100万人で割ると、約4人に1人が使っているという計算になります。小学校でのプログラミング教育必修化前でこの数字ですから、必修化開始によって全国で実施されるようになったら、どのぐらい伸びるんでしょうね。

定性的だけでなく、定量的な面で見ても、日本の小学校におけるプログラミング教育の基盤を作っているように思います。


ーーCTOとして気にかけていることはありますか?


今年新卒のエンジニアが1名入社し、数年続いたエンジニアひとり体制をようやく脱することができました。今はプロダクトの成長と若手の成長をいかにシンクできるか、若手のやる気の芽を摘まないようにしながら、仕事を自分事にできるよう促せるかを考えています。エンジニアチームの立ち上げが、難しくも楽しそうな課題として見えていると思っています。

エンジニア自分ひとりという時期から、職種に関係なく、若手のメンタリングに時間を使えるように意識してきました。若手の「やりたい」を引き出して、その人が一番やりたいと思うこと、楽しいと思うことにチャレンジできる環境を作り続けたいと思っています。

特にプログルの場合は、僕が言い出しっぺの、エンジニアドリブンで始まったプロダクトです。これからもエンジニアの「新しいものを作りたい」という想いを大切にしていきたいと思っています。

わたしはこんな人と働きたい

ーーどんな人と働きたいとか、どんな人に来てほしいという希望を教えてください。

繰り返しになりますが、エンジニアの「新しいモノを作る」という想いを大切にしたいと考えていますので、技術を用いて新しい価値を創ることが好きな方に来ていただけると、きっと楽しいチームになるのではと考えています。

その上で、現状のプロダクトや会社のあり方に満足するのではなく、自分の頭で考えて課題を探し、アクションに結び付けられる人は、みんなのコードのような一人ひとりの裁量が大きいチームにフィットすると思います。

また、みんなのコードの強みに社員の「多様性」がありまして、学校の先生・校長先生の経験があるメンバーや、上場ベンチャーの立ち上げ経験があるメンバーと、膝を突き合わせて一緒に働ける機会はめったに無いと思います。

エンジニアという立場を超えて、多様なバックグラウンドを持ったメンバーとコミュニケーションしながら一緒に仕事を進めていく、そんなチームで働くことを大事に出来る方とお仕事できたら僕も嬉しいです。


NPOと株式会社の違いは「課題解決」優位の意思決定があることくらい

僕自身、NPOで勤めていることを強く意識して働いているわけではないので、偉そうなことは言えませんが…

株式会社で働くこととのの大きな違いは、自分たちの活動の目的が「利益追求だけではない」ということではないでしょうか。

もちろん活動資金がなければ何も出来ないので、収支を意識することはNPOでも重要です。

しかし、重要な社会課題の解決につながるとあれば、時には採算性よりも課題解決を優先して意思決定をすることもあります。そこの意識の違いに、NPOで働くことの面白さがあるのではないかと、個人的には感じています。

普段開発していて、自分の書いたコードがどれだけ世の中の課題の解決につながるか、意識することは少ないのではないでしょうか。

社会課題の解決に向けて、真摯にプロダクトと向き合える。きっとエンジニアとしても面白いチャレンジの場になるのではと思います。


国の根幹に関わる、未来の子どもたちの教育基盤となるプロダクトを一緒に作りましょう



未来の子どもたちの学習の基盤を支えるプロダクトというのは極めて少ないと思うので、子どもの教育に関わりたいという方はぜひうちにきて、あなたの手腕を発揮してください。
プログルの新コースに関われたり、今までとは違った観点で新しい教材をつくるのを「やりたい!」などあればチャンスはいくらでもあるので、既存の枠を超えた教材の幅を広げていってください!



さらに田中のキャリアをもっと知りたいという方は下記記事をみてみてください!

@IT「ハードな職場を辞めてもいいですか? (1/3)」(CTO田中のキャリアについて掲載)


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