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岡山のITエンジニア文化をつくりたい──リモートワークを中心に働くクラウドエンジニア

クラウドによるシステムはユーザー企業のインフラや運用だけでなく、開発会社の技術的・人員的スタイルも大きく変えました。最大手のAWSのシステムサポートを主要な業務とするクラスメソッドも、働き方に関する新たな取り組みを進めています。そんな中で働く岡山市在住の吉田貴文の働き方を紹介します。

ファミリーベーシックが原体験

子どもの頃に出会った、任天堂のファミリーコンピューターでプログラミングができる「ファミリーベーシック」。これがあればなんでもゲームがつくれる!──そう思い飛びついたのが、今思えばエンジニアとしての原体験かもしれません。

もちろん、小学生の自分には簡単にゲームがつくれる知識はありませんでした。なので、説明書やプログラム雑誌に出ていたコードをポチポチと入力して、遊び感覚でプログラムを動かしていました。

ゲームをつくる仕事が雑誌で特集されていたのを見たことがあり、漠然とですがいつかそういった仕事に就きたいなと思っていました。それで大学も情報系の学科に進みました。

その後、フリーターも経験しましたが、目指していたITの世界に飛び込みました。最初はVisual BasicやAccessといった、当時一世を風靡したビジュアル開発ツールに取り組み、クライアントサーバー構成で財務システムのサブシステムを構築しました。

社外エンジニアのコミュニティを知り、スパイラルが生まれる

転職した2社目では、Web系の仕事でJavaに触れるようになりました。ここで社外の世界、つまりエンジニアのコミュニティに参加するようになったのです。

ある日、当時流行していたJavaのフレームワークにSeasarというものがあり、オープンソースJavaアプリケーションサーバー「Seasar2」の開発者が岡山県に勉強会を行いに来るという話を聞きました。

ぜひお話を聞いてみたいと思い、参加したんです。すると、会社内にいる時には見えなかった客観的な自分の技術レベルが見えてきました。それだけでなく、社内の業務では接することのなかった技術に触れられることもおもしろくて……。

これがきっかけで、さまざまなイベントに参加するようになったんです。

岡山県近辺でもITエンジニアが集まる勉強会が何度も行われており、私も登壇するようになりました。登壇すると、観客として参加したときとはまるで違う人とのつながりができ、世界が一気に広がった気がしました。自分自身で事前にいろいろ調べて準備をするうちに以前より知識が増え、詳しくなります。

また、その内容に対して多くの人がディスカッションをしてくれるので、さらに自分の理解が深まっていきます。こうして、アウトプットとインプットと知識の向上が、アジャイルのようにグルグルとスパイラル状に向上していく──そういう感覚を覚えたんです。

そうしたエンジニアコミュニティを築くうちに知り合った方に誘っていただき、3社目の転職を決意しました。望まれて転職するのはエンジニア冥利に尽きますからね。そこでは、ショッピングセンター向けのグループウェアに携わりました。

コミュニティでの知り合いが務めている会社でもあり、ショッピングセンター向けのシステムとしては大手の企業だったため、エンジニアの技術スキルが高い会社でした。

リモートワークという働き方。リモートでの作業に向いている人、向いていない人

エンジニアは転職を繰り返しながら自分でキャリア設計をしていくものだと思っています。そうした考えもあって、この時点で新しいスキルを獲得したいと考え、情報収集をしながら多くの企業を吟味していました。そこで出会ったのがクラスメソッドでした。

クラスメソッドを知った当初は、AWSを活用したインフラ・ネットワークの企業で、アプリケーションエンジニアの自分にはあまり関係ないと思っていたんです。でも、モバイルアプリケーションのバックエンドにも取り組んでいると聞き、エントリーを決意しました。

前職で得たアプリケーションエンジニアとしてのスキル・クラウドの知識と経験は、クラスメソッドに転職するのことに大きな影響がありました。

これまでアプリケーション畑にいた自分でも、クラスメソッドならAWSを軸としたサーバーサイドのことも学べるし、岡山県にいてもリモートで仕事ができそうだと考えたんです。

あとは、自分より強いエンジニアがたくさんいそうだな、とも思いましたね。Javaコミュニティで知り合ったエンジニアが何人も在籍していましたし。

彼に任せておけば大丈夫──そういう信頼を得ている「強いエンジニア」がたくさんいると感じて……。

そして、2018年1月に入社。初めの1カ月間は東京のオフィスで、ほかのメンバーとともに仕事をしました。

その経験が生き、岡山県に戻りハングアウトでメンバーと顔を合わせるときには仕事がスムーズに進みました。岡山県でリモートワークをしているからといって、寂しさのようなものはありませんでしたね。

リモートワークを行うときは、主に自宅で仕事をしていました。集中して作業できるよう、ディスプレイには良い製品を選んだりしました。

遠隔地でリモートワークをしているうちに、その善し悪しも感じられるようになってきました。

子育てを重視している人には勤務場所を選ばないという点で、必須の制度と言えます。保育園の送り迎えだけでなくさまざまな家事を夫婦で分担するのが当たり前の時代です。ライフスタイルの重視ポイントにより、自宅勤務を選択したい人は少なくないでしょうし、そういう方には大切です。

一方、仕事場に来ないとスイッチが切り替わらないという人はリモートワークが向いていません。クラスメソッドでも2019年に岡山オフィスが出来て、スイッチの面で役立っていることもあります。

また、東京オフィスで働いているときにオフィスで働く良さを感じたことがふたつあります。隣の席に人がいるという安心感が大きいこと。もうひとつは、集中して一気に何かをつくる時には人が集まった方が良いということですね。

こうしたメリット・デメリットを踏まえ、今はその日の予定に合わせ、岡山オフィスに行ったり自宅で作業をしたりしています。

自由度の高い中で仕事をこなすことにより、1年で飛躍的に業務の効率が上がりました。AWSの認定資格も既に3つほど合格しています。学習するということについてはリモートワークであることや、岡山という土地であることのデメリットはそれほどないと言えるのではないでしょうか。

エンジニアが働きやすい環境を岡山に

まだ、岡山県ではリモートで業務をする企業文化があまり浸透していません。私はそうした文化を醸成する先駆けになりたいと思っています。

AWSのユーザーコミュニティグループにJAWSというものがあります。その岡山支部では登壇することもあります。

また、岡山オフィスができてから採用の申し込みも増えてきています。私のようにエンジニアコミュニティに属している人以外の方からも申し込みがあります。

今後もメンバーは増える予定で、2019年9月頃には岡山オフィスの新メンバーも加わり5、6名程度になる予定です。近いうちに10人くらいまで増えるといいですね。ゆくゆくは自社で勉強会を開催して、外にもアピールできるようになれば良いなと思っています。自分が「得る側よりも与える側になる」ことを意識するとリターンがいろいろ返ってきますから。

岡山県のクラスメソッドのメンバーも技術力は素晴らしく、私より若いエンジニアも私とは専門領域が異なっていて、そして優秀な人が多いです。若いエンジニアからもどんどん知識や技術を吸収して成長し続け、第一線のエンジニアであり続けたいと思っています。

また、岡山県のエンジニアコミュニティは人数こそ多くないものの、熱意があっていつも盛り上がっています。盛り上がるコミュニティの核になるメンバーがいて、その人と出会えたことは幸運でした。自分は本当に周囲の人に恵まれていると思っています。

そういう素晴らしいエンジニアの働きやすい環境が、岡山県にもっと増えれば良いと思います。仕事が自由であること、給与が良いこと、新しい社風を持っていること──時代に求められるそういった企業が増えてほしいですし、その1社がクラスメソッドであってほしいなと思います。

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