大学を卒業して社会人になると、実は勉強が非常に重要であることに気がつきます。そんな方々が口を揃えていうのが「勉強する時間がない!」という言葉です。
そう、社会人は忙しいんです。そのため、いざ勉強をしたいと思っても「日々の業務に忙殺されて学びの時間は後回し」という方が大多数。つまり、社会人にとって「時間の確保」はそれだけ難しいということです。
しかし、勉強の時間を作ることのできる人のほうが成果に近いという理屈もあります。
BNGパートナーズ(以下、BNG)では、毎週火曜日に社内向けの勉強会を開催しています。今回の記事では、Wantedlyの記事を担当するライターが、BNGの社内向け勉強会に参加して得た学びを大公開いたします。
クライアントの情報共有だけだと思うことなかれ。1時間という短い時間の中で、驚くほど大量のインプットができました。
これから社会人になる大学生の方にはもちろん、現役で働いている社会人の方にとっても有益な内容をお届けしますので、ぜひ最後までお付き合いくださいませ。
社内勉強会とは?
まずはBNGの勉強会についてご紹介いたします。私が参加した勉強会では、27名の参加者が活発な議論を交わしていました。勉強会への参加は任意なのにもかかわらず、参加率は93.1%(全体29名)ということで、すでに驚きです…!
ーー勉強会の目的
BNGの勉強会は以下の4つの目的から実施されています。
- ①BNGの価値を最大化させるための研究を行う。
- ②対象企業に対する理解を深め、企業に成り代わり候補者へ推薦する。企業に対しても寄り添い、BNGだからこそ出来る経営への提言を行う。
- ③対象企業に対する貢献(売上・利益)がどこまで見込めるのかという結論まで導き、「企業経営への提案力」を参加者が付ける。
- ④コンサルタントとしてよりレベルアップするために「市場の動向、業界のトレンド」を抑え、マクロな視点を養う。
単に企業への理解を深めるだけに留まらず、参加者が実業務の中で使うことになる力(課題発見や提案)を培う場としても、勉強会が活用されています。
ーー勉強会のアジェンダ
BNGの勉強会は1時間で実施され、以下のアジェンダに沿って進められます。
- 担当者がクライアントに関してプレゼンテーション(25分)
- 講師とプレゼンターとの質疑応答(10分)
- チャットを活用してディスカッション(15分)
- 講師からのフィードバック(5分)
- プレゼンターからの気づき共有(5分)
- (各自、気づきや学びをチャットで共有 / 気づきに対して講師からフィードバック)
勉強会のベースにあるのは、クライアント紹介のプレゼンテーションです。これを軸にしてさまざまな議論がなされ、学びを吸収していく運びです。
プレゼンテーションの担当者は毎週変わり、勉強会の講師はベンチャー戦略に精通した、大手企業の研修に従事するコンサルタントが務めています。ビジネススクールで学ぶ知識をBNG流にアレンジし、全体に向けてアウトプットしてくださるので、非常にわかりやすくも、有益な情報が得られます。
ライターが勉強会で学んだことを大公開!
勉強会の内容は企業情報が含まれるため公表できませんが、私が勉強会で学んだことであれば公表していいはず!
特に面白いと感じた4つの知識に関してご紹介いたします。
ーーイノベーター理論・キャズム理論
マーケティングを行う上で抑えておきたい知識の1つに「イノベーター理論」と「キャズム理論」があります。
イノベーター理論とは、市場に商品・サービスが普及する過程を、5つの分類分け(イノベーター、アーリーアダプター、アーリーマジョリティ、レイトマジョリティ、ラガード)を用いて説明する考え方です。
市場全体への普及率を100%と置くと、イノベーター2.5%、アーリーアダプター13.5%、アーリーマジョリティ34%、レイトマジョリティ34%、ラガード16%と分布しています。
「イノベーターから徐々にサービスが浸透していき、ラガードへと普及が進んでいく」というのがイノベーター理論ですが、そう簡単にサービスが普及していかないことを示すのが「キャズム理論」です。
キャズム(chasm)は「溝」「割れ目」という意味で、イノベーター理論における「アーリーアダプター」から「アーリーマジョリティ」へと移行する際に発生すると言われています。
ここになぜ「キャズム」が発生するのか。それは、アーリーマジョリティ以降は消費における嗜好性が変化するからです。キャズム以前(イノベーター、アーリーアダプター)は商品・サービスの「新規性」を好んで消費を行います。しかし、キャズム以後(アーリーマジョリティ、レイトマジョリティ、ラガード)は商品・サービスが役に立ったり、費用対効果がよかったりと、商品・サービスへの「信頼」から消費を行います。
この「消費における嗜好性」に違いがあるがゆえに、市場での普及に滞り(キャズム)が発生し、キャズムを乗り越えなければ市場への普及は実現しないということをキャズム理論では示しています。
今回の勉強会で情報共有された企業は、「商品がアーリーアダプターに普及する前に、キャズムを超え始めてしまっている」という問題を抱えていました。キャズムを超えているのであれば問題ないのでは?と思われるかもしれませんが、実は大きな危険性を孕んでいるのです。
通常、イノベーターとアーリーアダプターへの普及を通して、商品・サービスのブラッシュアップが行われます。「成長段階である」とも言い換えられますね。しかし、ここでの普及が不十分な状態、すなわち商品が未成熟な状態でアーリーマジョリティに普及し始めると、信頼で消費を行うターゲット層にとっては「信頼のおけない商品である」という印象を持たれかねません。
当該企業の商品普及率に「イノベーター理論」「キャズム理論」を当てはめると、このような問題点が浮かび上がってきた、という流れです。
ーー物事を俯瞰して考える
心理学の中に「認知バイアス」という概念があります。これは「無意識的に収集している情報は、自分が正しいと信じているものをサポートするものである」という考えです。
BNGのコンサルタントの場合で申すと、「自分が担当する企業の、いいところだけを無意識で集めてしまう」といった感じでしょうか。
今回の勉強会においては、「認知バイアスだなぁ」と感じる部分はありませんでしたが、認知バイアスを回避するためにある手法を取り入れていました。
それがビジネスの「フレームワーク」に当てはめて考えることです。フレームワークに当てはめると、自分がフォーカスを当てていた部分以外の情報に目がいくようになります。
フラットに企業と向き合うことができ、その企業の悪い点も発見できる。物事を俯瞰的に考えることは重要ですが、それを実施するためにフレームワークを使うのは、非常に効果的だと感じました。
勉強会の中で講師の方が「いい考察をするには?」と題して、以下のようなフィードバックをしていました。
- ①考えるポイントが何かを考えて(対称のファクト、会話相手の関心事項、自分の関心事項)
- ②考えるべき枠組が何かを考える(何が言えれば良いのかを考える)
- ③それから実際に物事を考える
こちらは『イシューからはじめよ』でも触れられていた思考法です。ぜひ試してみてください。
ーー細かく定義づけをしていくことで、理想と現状から見えるギャップを把握する
勉強会の中で講師の方から飛び出したフィードバックで、とても印象的だったものがあります。
「新型コロナウイルスのワクチンなどではない限り、消費者がモノを購入する際にリプレイスが発生している。」
人間の消費活動には、必ず「予算」が存在します。どれくらいのお金を消費に使えるのか、ということですね。誰もがこの予算内でお金をやりくりし、生計(経営)を行っています。では、予算が上限を迎えている状態で新たに消費したい対象が生まれたらどうしますか?
「予算内で買おうと予定していたものを諦めるか否か」。これを検討するのです。
この検討の結果、新しい何かを買い、買おうと思っていた何かを諦めることになれば、リプレイス(代替)が発生したと言えるのです。
このフィードバックは、プレゼンターが「当該企業には競合がいない」と発言したことにより、講師から発せられたものです。ここで言えることは、以下の通りです。
「予算があらかじめ決まっている組織において、何かを購入するという意思決定が行われるのであれば、元々予算を割くと決まっていた商品(サービス)からリプレイスが起きている。つまり、競合がいないのではなく、該当商品を購入する際に、何からリプレイスが起きるのかを検討していない。言い換えると、競合を検討する際の視野が狭い。」
「該当のサービスと同じサービスを展開する企業=競合」と決めつけてしまうのは視野が狭く、他の企業からのリプレイスを狙うことができなくなる。だからこそ、そのサービスは何とリプレイスされるのかを考える必要がある、ということですね。
ここから、細かな単位で定義づけをしていくことにより、理想と現状(As is / To be)が整理される。そして、そこから見出されるギャップ(課題)を把握し、解決策を見出していくということを学びました。
ーー爆発的な事業拡大の裏には、組織体制の未成長が隠れている
今回勉強会で取り上げた企業は、創業して間もないにもかかわらず、事業の拡大が急速に進んでいました。一見、企業が爆発的にスケールしている状態はメリットだらけに思えますが、実はそんなこともないようです。
講師の方によると、事業が急速に拡大している企業に起こりがちなこととして、組織体制の未成長が挙げられるそうです。事業はスケールしているものの、それを回す力が確立されていないというケースですね。
つまり、BNGが同社に対して人材紹介を行うのであれば、「人が課題である」という答えが単純に導き出されます。明らかに人材育成、組織体制が追いついていないからです。
しかしここで注意しておきたいのが、その会社からすると「課題は人である」という答えに納得感が持てないということです。自明ですし、刺さらないからなのでしょう。
そのため今回のケースで言えば、「人」よりも本質的な課題を導き出すことが重要で、クリティカルな課題設定こそ、BNGがすべきことであると言えるのです。そういった視点が求められているんですね。
ライターが勉強会に参加して感じたこととは?
今回のBNGの勉強会に参加してみて感じたことを3つ挙げます。
ーー①参加者同士でしっかりとディスカッションがなされる
私もいくつかの「社内勉強会」というものに参加させていただく機会がありましたが、おそらくもっとも議論が交わされている勉強会だったのではないでしょうか。通常の勉強会といえば、司会(講師)がいて淡々と話して質疑応答して終わり、という印象だったので、とても驚きました。
27名が参加しており、わからないことや気づきがあればすぐにチャットへ。場合によっては、Zoomのブレイクアウトルームやホワイトボードといった機能を活用し、参加者が満遍なく議論を行えるよう細部にまで配慮。そういった参加者の意欲だけではなく、運営側の姿勢も新鮮でした。日頃から経営者の方々やCxO人材の方々とお仕事をされているからこそ、学びに対して貪欲であり、他人事ではないという状態が作られているのかなと感じました。
ーー②講師がすごい!
当たり前ですが、講師の方が本当にすごいなと感じました。これだけの人数が参加している勉強会を、滞りなく進行していく。そのファシリテーション能力に感服いたしました。
フィードバックも的確ですし、話の論点を常に一点に保ちながら進めている印象を持ちました。
ーー③議論に目的が存在している
それでは、なぜそのようなファシリテーションができるのか。おそらく、全ての議論に目的がしっかりと備わっていたからだと考えています。勉強会の中で講師の方からこのような発言がありました。
「この会社に必要なのはCFO。特にファンド出身者。」
これは「クライアントにおける課題などを分析し、事業内容の提案、それに合った人材のご提案をしていく」という目的意識が前提にあったからこそ、発せられた発言だったのではないでしょうか。
会社組織に所属していると、事あるごとに会議が開催されます。しかし、その多くは目的が欠如し、会議に結論が出ることはありません。「仕事をしている風」を作りたいだけなのでしょう。
そのような会議や勉強会が多い中でも、しっかりと目的意識を共有し、それを着実に実行できている点が、本当に素晴らしいなと思いました。もちろん、目的意識を持って会議や勉強会を遂行することは、すごく当たり前のことです。しかし、そういった当たり前のことができていない企業が多いからこそ、当たり前のことを徹底してやっているBNGでは実績が積み上がっていくのだろうと感じています。
また来週も参加したい!そう思える有益すぎる勉強会でした。
いかがでしたでしょうか?何か少しでも読者の方々の学びになっていると嬉しいです。
1時間という短い時間の中で、複数のパートに構成分けされていましたが、全てのパートにおいて、本当に実り多い時間だったと思っています。
BNGの採用担当者青野大さんに聞いてみたところ、以下のような回答をいただきました。
「初めて参加するメンバーは『何を言っているのかわからなかった…』と口を揃えて言います。しかし、勉強会を習慣化させ、3ヶ月も時間が経てば、プレゼンターとして立派に会に貢献できるようになっています。それだけ濃密な勉強会だと思っています!」
BNGでは、ベンチャー企業のCxO人材に特化した転職支援を行っていますが、経営やファイナンス、マーケティングなど、本当に多角的な知識を身につけることができます。勉強会だけでも、本当にこれらの知識が身につくと断言できるでしょう。
BNGには、こうした学びの時間に加え、成長に貪欲な人同士が刺激し合える環境も備わっております。このような環境を求めている方がいらっしゃれば、ぜひお気軽にお声がけください。