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板挟みのプレッシャーの中、自分なりの一手を考えるのが面白いーエンジニアからプロジェクトマネージャーに昇格して感じる仕事の醍醐味

プロジェクトを進める上で、顧客と会社、チームメンバーとの板挟みになることは少なくないでしょう。

アバナードの大規模プロジェクトにおける、Webアプリケーション開発案件のプロジェクトマネジメント(PM)や開発リードを担当する星野舜介さんは、そこで「次の一手を考えるのが面白い」と言います。

「映画・音楽・小説などのエンターテインメントの“栄養”を取ることが、エンジニアにとって必要」

エンターテインメントに触れることが仕事に役立つと語る星野さんに、リーダーとしてプロジェクトを遂行する達成感やコミュニケーションのコツを語ってもらいました。

星野 舜介(ほしの しゅんすけ)/テクニカルコンサルタント マネージャー
大学卒業後、外資系のITコンサルティング企業に就職。ソフトウェアエンジニアとして、メガバンクや発電会社など、大規模なプロジェクトでアプリケーション開発に携わる。2019年3月、アバナード入社。顧客企業のシステム開発を企画立案から要件定義、さらに実際のプログラム開発を経てデリバリーまで一貫して関わる。

板挟みのプレッシャーの中、自分なりの一手を考えるのは面白い

──星野さんは入社4年目ですね。現在は、どんなプロジェクトに関わっていますか

製造業の顧客企業に向けた、大規模な基幹システムのリプレースプロジェクトです。機能の大半はマイクロソフトのビジネスアプリケーション環境「Microsoft Dynamics 365」に移行するのですが、パッケージ製品の中には含まれていない必要な機能が周辺にいくつかあり、それらのカスタムアプリケーションを新規開発して充足させようと進めています。

私はパッケージ導入ではなく、Azureのクラウド環境を使ったソフトウェア開発の部分のリードを担当しています。

──星野さんはエンジニアとしてアバナードに入社後、すぐにマネージャーに昇格されています。苦労されたことも多かったのでは?

私たちが日々対面し、コミュニケーションしているのは、顧客企業の情報システム部門の方々です。「現場の業務をこのように改善していきたい」「もっとこうしていけば、効率化できる」といった熱い思いがそこにはあります。

そうした現場の思いを共有しながら、開発を進めるのですが、プロジェクトに対する高次の判断は、より上位のレイヤーの管理職、ときには経営層であることがほとんど。社内の合意をとっていただく困難さがありました。現場の声にすべて応えたくても、予算的に実現できない場合もあります。

もちろん私たちの役割として、売上や利益を最大化するために前進しなくてはいけないので、それらを調整しながら、顧客に可能な限り最大限のメリットを提供していかなければいけない。そこでのジレンマを感じることはあります。板挟みのプレッシャーというか(笑)、メンバーからマネージャーに昇格して、初めて経験する課題でした。

ただその中でも、自分が考える最善の一手を考えるのは、すごくクリエイティブなこと。これまでやってきた仕事とはまた別の面白さを感じますし、すごくいい体験だと思います。

「リーダーは常にそこにいる」──PMとしてのモットー

──メンバーとのコミュニケーションは、日々どのように進めていますか?

以前、大手IT企業でPMを担当されていた方が、リーダーシップの一つのあり方として「リーダーは常にそこにいることが大切だ」という話をされていた記事を読んだことがあります。その言葉は今、私自身のモットーにもなっています。

日々の業務連絡はもちろん、ソースコードやドキュメントのレビューでも、レスポンスを可能な限り速くすること。たとえ今は手が離せなくて、100%のレビューをすることはできなくても、まずは「受け取りました」という連絡だけでもする。「ざっとチェックした範囲ではここが気になるから、セルフチェック事前にしておいてね」と伝えるのでもいい。つまりメンバーとの接触、タッチポイントをいかに増やすか。これは常に意識しています。

これまでの経験でもフィードバックが遅いリーダーとは、あまり上手く仕事ができたことがないので、私自身はそうはならないよう自戒の念も込めています。


プロジェクトベースの仕事だからこそ、“素振り”を欠かさず準備する

──星野さんが仕事を通して最も大事にしていることは何でしょうか

「準備しておくこと」ですね。プロジェクトワークでは、必要な技術要素がプロジェクトによって変わることがあります。新しい技術が出てきた時に、「もう追いつけない」となるか、「これ最高じゃん!」となるのかは、それまで身に付けてきた基礎体力、筋肉があるかどうかで、捉え方は全然違ってくると思うのです。

例えば、コンピューターが動く仕組みを全く知らない人に、AIの面白さを語り尽くしても通じないし、興味を持ってもらえない。新しいものを受け入れるために常に準備をしておくこと、いつバッターボックスに立ってもいいように素振りを重ねることは重要です。エンジニアはよく自主学習が必要な職種だと言われますが、これも同じことではないでしょうか。

──次のプロジェクトで必要となる技術がわからない場合は、どう準備するのですか

やはり頼りになるのは、同僚や友人だと思います。使っている技術スタックや顧客の業種、プロジェクトスタイルが全然違う分野で活躍している人たちに、最近のトレンドや事例などを聞いていくことで、これから重要になる技術や知識などが掴めるようになります。

実際、アバナードでは社内SNSに新しい情報を発信している人も多いですね。最近もテクニカルコンサルタント内のカンファレンスで、VR空間内にアプリケーションを作るというメタバース関連のプレゼンをしていました。これまでのモバイル アプリケーションやWebアプリケーションと何が違うかといった解説はすごく勉強になりましたね。

エンタメに触れることは、仕事をする上でも必要だ

──星野さんの旺盛な好奇心は仕事だけに止まらず、エンターテインメントの世界にも広がっているそうですね

子どもの頃から映画音楽、アニメ、ゲームが大好きで、中学に入ると自分でも音楽を作るようになって、今もヒップホップの曲を作ったりしています。ドラマやアニメ、映画、音楽、小説など、エンターテインメントに関する趣味はビジネスにおいては意味がないと考える人もいるかもしれませんが、私はそうではないと思っています。

例えば、顧客が抱えている課題に接して、0を1とするアイデアを出す。この世に存在していない技術を作り出すことは、フィクションと似ている要素を孕んでいます。何もないところから、ものを作り出すエンジニアの想像力・創造力が問われることは多々あるのではないでしょうか。

エンターテインメントは自分の想像力を刺激してくれるし、それを作るクリエイターたちの精神性やクリエイティビィティに触れることは、技術者として新しい技術やスキームや考え方を提示する上でも、必要なことだと考えているのです。


技術の言葉を普通の言葉で。ボキャブラリーを増やす意味

──星野さんは、今後どのようなエンジニアを目指しているのかを聞かせてください

今後もPMとしての経験を積み、より成功確率が高く、再現性のあるプロジェクトを導けるようになりたいと思います。私たちは常にお客様へのコミットメントをするのですが、実際は絶えず不確実性との闘いです。

プロジェクト遂行のためには一定の気合や頑張りも必要ですが、今後は「勘・経験・度胸」だけに頼るのではなく、より確度の高いアプローチを見つけていきたいと思います。

アバナードでは、プロジェクトが終わったらチームは解散となり、基本的には同じプロジェクトに継続的に関わり続けることはありません。だからこそPMとしては、その限られた期間の中で何か一つでも「自分はここができるようになった」「ここのスキルを伸ばせた」「ここについては会社で自分が一番詳しい」という実感をメンバーには持ってもらいたい。

メンバーそれぞれが新たに組成したチームの中で、自分の強みを他の人に広めていってくれれば、アバナード全体の強度も高まります。その達成感を一人ひとりサポートすることもPMとしての自分の役目だと考えています。

また、メンバーに対してもお客様に対しても、コミュニケーションのレベルをより高めていきたいですね。私たちは技術者集団なので、お客様と話す時も技術的な専門用語が多くなってしまう。しかし、お客様はそれがきちんと理解できるとは限らない。

しっかりと理解を得ない状態で、プロジェクトを進めてもあまり幸せな状態にはなれません。だからこそ、私たち自身ももっとボキャブラリーを増やし、技術の言葉をわかりやすい言葉に翻訳して、コミュニケーションを密にする必要があります。

そのためにも、エンジニアはもっと小説を読んだり、映画をたくさん観たり、エンターテインメントを楽しんだ方が、ボキャブラリーが広がるんじゃないかと思っています。エンタメに触れることは仕事に役に立つ、と言っていたのはそういう意味でもあります。一見関係がなさそうで、意外とそうでもないんですよ。

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