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ブランド刷新は何をもたらしたのか——リブランディングから紐解く、アバナードが目指す姿とは

2020年7月、15周年を迎えるアバナード株式会社。この特別企画コンテンツ「15周年記念特別インタビューシリーズ」では、15年間の成長や軌跡を振り返ります。

第2回目となる今回は、2017年4月に実施された、アバナードのロゴやコーポレートカラー変更などのブランド刷新に焦点を当てます。

いまから約3年前、なぜブランド刷新が必要だったのでしょうか、そしてそこに込められたメッセージはいかなるものだったのでしょうか。

日本のアバナードのマーケティング マネジャーを務める梅野 絵美子さんに話を聞きました。

梅野 絵美子(うめの えみこ)/マーケティング マネジャー
大学で習得したエンジニアリングスキルと帰国子女の強みを活かし、新卒より外資系企業にて活躍。これまで、プリセールスエンジニア、プロジェクトマネジャー、プロダクトマーケティングなど幅広い領域でキャリアを構築し、2017年2月アバナードに入社。現在、アバナード株式会社のマーケティング マネジャーを務める。

SIerではなく、パートナーとしてイノベーションをもたらす企業であるべき

— アバナードは、2017年4月にグローバル全体でブランド刷新を行っていますが、まずはその背景を教えてください。

アバナードは2000年に米国シアトルで誕生して以来、最新鋭のマイクロソフトテクノロジーと、アクセンチュア仕込みの卓越したスキルで、これまで1200社を超える企業のイノベーションをサポートしています。

創業時から2017年までは、旧ロゴマークに記されている「Results Realized」というメッセージとともに、「お客様のアイディアを実現する」ことがアバナードのミッションでした。

ところが、世界各地に拠点が次々と誕生し、アバナードがグローバルカンパニーとして成長していくにつれて、次第にお客様が抱くアバナードに対するイメージと、アバナードが自ら描く企業イメージとの間に、解離が生じてきてしまいました。時間の経過と共に市場の変化スピードも速くなり、アバナードが持つべきミッションも徐々に変わってきたんですね。

そこで2016年、2020年に向けた3ヶ年計画を立てる際、そのイメージ解離や市場変化にどう対応していくべきか、そしてアバナードはどのような企業であるべきかと議論を交わし、ブランド刷新する決断に至ったと聞いています。

ブランド刷新プロジェクトがスタートし、約18ヶ月の期間を経て、2017年4月にコーポレートロゴやカラーをはじめとする、ブランド刷新が実施されました。

▲左:旧ロゴ、右:新ロゴ

4つのキーワードを軸にブランドを構築

— 具体的にどう変わり、どのような企業姿勢が現れているのか教えてください。

生まれ変わったアバナードのブランドは、4つの重要なキーワードによって構成されています。その4つが、「Bold(大胆に)」「Fresh(新鮮に)」「Passionate(情熱的に)」「Optimistic(楽観的に)」であり、これらはアバナードが企業として目標とした性格です。

このキーワードを軸に、ロゴやロゴマーク、コーポレートカラーをはじめとして、働くオフィス、パワーポイント資料に至るまで、アバナードのブランドに関わるすべてが刷新されました。

以前のロゴは、90年代のドットコムブームの名残を持つような、太文字で小文字、かつ黒い字で、どっしりとしっかりとした印象のものでした。それが、新しいロゴのavanadeという文字には、コーポレートカラーのオレンジが反映され、洗練された明るいイメージになっています。

よくよく見ると、そのオレンジにも変化があるんです。


新しいロゴには同じオレンジでも、以前より明るいトーンのオレンジが採用されています。

創業からある「アバナード=オレンジ」というイメージカラーを壊さず、同じオレンジを活用することで、17年間育ててきたイメージに継続性を持たせながら、重要キーワードである、大胆さやフレッシュさ、そして情熱的でありながらも楽観的であることを感じさせてくれます。

さらに、avanadeという文字の左にあるロゴマークには、アバナードが担う役割を表す、大きなメッセージが含まれています。

avanadeという言葉は造語で、「avenue(アベニュー)」と「promenade(プロムナード)」という2つの言葉の組み合わせで成り立っていて、どちらも「道」を表す言葉です。

4本の線を繋ぐ始点と終点の間には、線が大きく波打っており、これは様々な道を表現しています。どんな道をお客様と共に進むにも、まっすぐな一本道ではなく、山があり、谷があります。それがいかなる道でも、アバナードは “パートナーとして” 最初から最後までお客様に寄り添っていくという姿勢が反映されているんです。

パワーポイントの資料には、デザインとしての曲線が描かれていますが、曲線の起点となる山の箇所に必ずロゴが配置されます。それは、「自ら波を起こす」というメッセージです。まさに、デジタルイノベーターとしての企業姿勢の表明なんですよね。


▲メッセージが込められた、パワーポイントのデザイン

すべての活動の根幹にあるブランドメッセージ

— 梅野さんはマーケティング マネジャーとして、そのアバナードのブランドを伝えていく大事な役割を担っていらっしゃいますね。

そうですね。私はアバナードにおけるフィールドマーケティングの役割を担っているので、このブランディングの意味の理解に努め、大切に考えています。

実は、私のアバナード入社はブランド刷新が実施される2ヶ月前の2017年2月。そしてアバナードで最初の仕事が日本でのブランド刷新の実行でした。いきなりブランド刷新の実行という大役を担って、プレッシャーもありましたが、はじめて新しいブランドを目にした時も、ブランドガイドラインの説明をいただいた時にも、非常に納得感があり、その納得感をもって、ブランド刷新アナウンスという最初の仕事に望めたことを、今でも覚えています。

ブランディングというのは、企業からステークホルダーに対してメッセージを伝えていく際の根幹となるものです。全てのメッセージに一貫性を持たせられるかどうかで、アバナードがどんな企業に見られていくのかが変わってきます。

その点、新生アバナードのブランドはメッセージが明確です。明確なブランドメッセージを軸に、さまざまなイベントの実施、ウェブやカタログやグッズ制作、メディア対応、お客様対応などができるのはとても楽しく、やりがいを感じますね。


▲主催国として梅野さんが指揮をとった、2018年の国際女性デー(IWD)。アバナードのブランドイメージを反映させたお菓子や料理は「かわいい!すてき!」と大好評に


アバナードは、通常のお客様のサポートとは別に、社内のクラブ活動や勉強会が非常に盛んです。そこには面白いプロジェクトがたくさんあって、以前メディアでもその勉強会の一つである、TECHBEERの取り組みを取り上げていただきました。ラズパイとAzureを活用してビール(アルコール度数1%未満)をつくるプロジェクトなのですが、IoTとクラウドでビールをつくるなんて、それを聞いただけでも興味が湧いてきませんか!?

他にも、3Dプリンタを用いて新しいものづくりを始めたプロジェクトもあり、そこでは思いがけず、CADエンジニアだった経験を活かして私がCADの講師を務めました。お客様のプロジェクトでも、プライベートに近い社内プロジェクトでも、いろんなメンバーの知識や経験を組み合わせてイノベーションを起こしていく会社がデジタルイノベーターとしてのアバナードです。

どの活動も、その根幹には「デジタルイノベーターとしての役割を担う会社だ」という信念がありますから、マーケティング活動を通して、アバナードというブランド確立のためのサポートができればいいなと、いつも思っています。


ブランド刷新から3年、着実に次のステージへ

— ブランド刷新して約3年。社内の活動からも、アバナードが目指す姿に着実に進んでいっているのが見えるのですね。

そうですね。ブランド刷新で目指した姿通り、Slerからパートナー企業へと変わっていくのが見て取れます。

昨今の新型コロナウイルス感染症の影響で、多くの企業が変革に迫られましたよね。お客様からは、これまで以上に多くのお問い合わせをいただきサポートをさせてもらっているのですが、そこに3年間の変化が反映されているように感じます。

というのも、そのお問い合わせ内容が、「セキュリティ対策をしたい」「電子承認ができるようにしたい」というような単なるテクノロジー導入の実行依頼ではないんです。

「リモートワークを計画に入れていたけれど、それを加速するにはどうすればいいか」や、「リモートワークをうまく機能させるためにどう啓蒙していけばいいのか、アドバイスをいただきたい」など、テクノロジー導入以前の上流の相談が多くなっています。

今すぐどうするかももちろん大事なことですが、withコロナ時代の働き方を、どういうプロセスで、どのように取り入れていくのがベストなのか。アバナードはそれにお応えできるプロ集団に育っていますし、我々自身も一緒に変革していることを、問い合わせ内容からも実感しています。

ですから、この3年間を振り返ると、SIerとして「これを作ってください」ではなく、パートナー企業として「なぜそれを作るのか、先を見据えてどうするか」と相談していただけるようになるための準備期間であり、ブランド刷新だったのだと思います。

— 最後に今後の展望を聞かせてください。

実は、私がアバナードに入社する前、「avanade」という会社名を英語で見た時に、「アバナード」と正しく読めなかったんです。英語と日本語で発音が異なることもあるという言い訳をしたいところですが(笑)、私としては、まずは会社名を知ってもらい、誰もが「アバナード」ときちんと読めるくらいブランドを浸透させることが、自分自身の重要任務だと思っています。

アバナードは今後、さらなる成長を続けていく会社です。

オレンジのロゴを見た時に、「このアバナードという会社にサポートをお願いしたら大丈夫」、そう思っていただけるようなブランドイメージの定着をさせたいですし、その成長に貢献していきたいですね。


▲オンラインインタビューの様子

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