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2060年「新京都」の誕生裏話<前編> 込めた思い

代表の姜(かん)です。僕の前回の記事「SFは未来の話なのか」でも触れましたが、僕はSFが大好きです。そもそもAtmophが作ってるのは「未来の窓」なので、会社自体がSFみたいなものです。Atmoph Windowからはオリジナル撮影の約1,500種類もの世界の風景映像が見れますが、空想の風景も自社CG制作でたくさん取り組んできました。DisneyモデルStar Warsモデルに始まり、DEATH STRANDINGモデルのようにゲーム内風景を撮影したものもあります。

自然な流れで、自社オリジナルのCG風景もチャレンジしようと、オリジナルCG第一弾として「オーストラリアの恐竜」の世界も今年3月にリリースしました。そして続く第二弾として、構想から1年かけ、2060年の未来都市「新京都」を6月にリリースしました。

この世界の設定をどうするか悩む

サイバーパンク風な未来都市を作りたいという僕の願望を元に、プロジェクトは2021年5月から開始しました。以前から、『ブレードランナー』や『AKIRA』、ゲームの『Cyberpunk 2077』など、そういったちょっとディストピア寄りの都市をイメージしていました。なので最初の頃はそっち系のちょっと荒廃感と近未来感のある都市ベースなどをモデルにしながら、実験的にCG制作を進めていきました。

そして、「新京都」の誕生

本当は映画やゲームのように、コンセプトや世界観、地形など細かく最初に決めていくべきだと思いつつ、あーでもないこーでもないと模索しながらいろんな都市やビルのCGアセットを組み合わせて自分が見たい世界を探していきました。それでも最初から決めていた設定もいくつかありました。

  • 場所は実際に存在する、日本がいい(看板も日本語使えるし)
  • 「第3新東京市」(エヴァンゲリオン)や「ネオ東京」(AKIRA)みたいな名前がいい
  • ある程度詳しい地域をベースにしたい(東京か京都の二択、、)
  • いまある都市がベースではなく、新しい都市ベースにしたい(自由にしたくて)

こうして考えていくと、Atmophのある京都には、まだ「新京都」がありませんでした。東京には新東京もネオ東京もあるし、横浜にも新横浜があるのに、京都にはラッキーにもまだなかったんです!(笑)

京都らしさと京都らしくなさ

「新京都」と名づけた途端、急にこの都市に愛着が湧いてきました。これまで迷子状態だったこのサイバーパンクシティが、名前をつけることで輪郭や性格が見えてきました。チームメンバー全員にも意見を聞きつつ、どうやったら「京都らしい」のか、どこを「京都らしくなく」したいかを考えていきました。

  • 京都北部の沿岸に位置する、離れ島の都市
  • 京都らしい伝統的な建物や寺社仏閣も少しあるべき
  • 京都といえば、東西南北に「四神相応」の風水をこの都市にも配置したい

こうしてだんだんと、世界観が出来上がっていきました。

どんな2060年になっていて欲しい?

一難去ってまた一難。SFが好きだったはずなのに、いざ作り手になってみると未来を描くのが難しい!そもそも2060年なんて40年後を見通せるなら、投資家になった方が確実ですよね。だいたい、SF映画って科学技術の発展を過大評価しすぎちゃう傾向があります。現実世界の2015年は『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』のように車は飛んでいないし、2019年でも『Blade Runner』のようにアンドロイドのNexusシリーズ達は歩いていない。(GoogleからAndroidのNexusは出たけど、そうじゃない。)

結局なんだって近道はないですよね。いろんな映画やゲームを思い出しながら、あらためて観ながらプレイしながら、世界のニュースと日本と京都のいまを感じて、「こうあって欲しい2060年 in 新京都」の方向を決めました。

  • 多様かつ自由でグローバル(この時代にダイバーシティとグローバルなんて死語だろうけど)
  • もちろん未来の技術を感じたい(行きすぎず、行かなすぎずのバランスで)
  • 宇宙旅行が一般的な時代(月面旅行が人気)
  • 世界の往来は、速度と簡便さが異次元になっているはず(飛行機なんてもうない)
  • 緑あふれる地球を取り戻す活動が都市レベルで義務(植栽、公園、研究、電源)

完成した「新京都」の世界観

こうしていろいろな試行錯誤を経て、2060年という未来の「新京都」が誕生しました!下に、完成した世界観を表す、「新京都」の風景説明文を貼っておきます。

2060年、グラビタの技術により車も人もロボットも空に浮き、宇宙旅行が一般的になってきた時代。新たな時代を象徴する三新都市計画に基づき、京都北部の海沿いに、新京都が誕生しました。Visa Free Cities(VFC)の加盟都市である新京都では、世界の加盟都市と月面都市にビザフリーで往来することができ、注目を集めています。

VFCは第1月面都市(Lunar City 1)計画の誕生と同時に発足し、新技術の発展と地球緑化、そしてボーダーレス・アースの推進を基礎としています。宇宙旅行文明を築きつつも、地球の自然、既存の文化文明とバランスよく共存する取り組みが活発化しているVFCの各都市。新京都もその理念に基づき、最新鋭の都市でありながら古来の思想である四神相応の風水を取り入れ、東方の山の五重塔を、四神の一つ「青龍」として位置付けています。

新京都の東部に位置する白いツインタワーはBonaグループのホテルで、間にはコンベンションセンターが繋がっています。Atmophタワーポートからは、わざわざスペースポートまで行かなくても市民が加盟都市やLC1に飛行できるよう、毎日定期便が運行されています。最先端のショップやレストランにも事欠かない新京都。最近住民の間で人気なのは、焙煎からこだわる珈琲屋MUNE(ミューン)です。

次回の<後編>では、CG制作の裏話をお届けします。AtmophはこれからもオリジナルCG制作にも一層力を入れていきます。それではまた!

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