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アナログからデジタルへ、その先にある創造性の解放を目指して

私たちASIOTは、「アナログ設備のDX化を通じて、人々の労働を単純作業から解放し、よりクリエイティブな活動に集中できる社会を実現する」という大きなビジョンを掲げています。2025年の今、このビジョンは着実に現実のものとなりつつあります。

創業からの歩み:留学生が描いた産業変革の夢 

私は20年前、一人の留学生として中国から来日しました。北京のソフトウェア企業での経験を胸に、より高度なコンピューターシステムを学ぶため日本の大学院への道を選びました。そこで出会ったのが、ハードウェアとソフトウェアの機能分担方式を重視する「コンピューターアーキテクチャ」という考え方でした。

その後、日本の製造業で組込みエンジニアとして働く中で、2010年にソニーでアジャイル開発に出会います。ソニーの優れたアーキテクトたちから学んだコンポーネント指向フレームワーク指向の設計思想は、今日のASIOTの技術基盤となっています。 

ASIOTが見据える社会課題:なぜ今、アナログDXなのか

日本の産業界は今、複数の構造的課題が同時に顕在化する重大な転換点を迎えています。

最も深刻な課題は、急速に進行する労働力不足です。少子高齢化の影響により、今後約1,000万人規模の就業者数の減少が予測されており、特に産業インフラの維持管理を担う人材の確保が困難になっています。オフィスビル、商業施設、工場、プラントなど、あらゆる現場でメンテナンス作業員が不足しており、この傾向は今後さらに加速すると見られています。 

この人材不足に追い打ちをかけているのが、人件費の上昇です。最低賃金の継続的な引き上げにより、従来は「人手をかけた方が合理的」とされていた業務でも、コスト面での見直しを迫られています。人手による点検や検針作業は、もはや経済合理性の面からも持続が困難になりつつあります。 

さらに、インフラ設備の老朽化という時限的な課題も重なっています。高度経済成長期に一斉に整備された設備群は、その多くが耐用年数を超えて稼働を続けており、15年以上稼働しているアナログ設備が大半を占めているのが現状です。これらのレガシー機器の保守管理には、従来型の目視点検や手書き記録による管理では限界があり、自動化や遠隔監視への移行が急務となっています。

このような状況下で特に深刻化しているのが、熟練技術者の技能継承問題です。アナログ設備の適切な保守には、機器の特性を熟知し、わずかな異変も見逃さない経験に裏打ちされた判断力が不可欠です。しかし、ベテラン技術者の大量退職を目前に控え、その貴重なノウハウを次世代に伝承するための時間的余裕が失われつつあります。

これらのマクロな課題に加え、現場レベルでも深刻な問題が山積しています。例えば検針業務では、担当者が定期的に現場を巡回し、メーターを目視で確認して手書きで記録するという非効率な作業が今なお続いています。この過程では記録ミス転記ミスが発生しやすく、また移動時間のロスも大きいため、一人当たりの管理可能な設備数に厳しい制限があります。 

点検業務においても、高所作業や地下空間での作業など、危険を伴う環境下での作業が日常的に発生しています。さらに、設備の異常を把握するためには現場での確認が必須であり、リアルタイムでの状態監視ができないため、トラブル発生時の対応が後手に回りがちです。 

これらの課題は個別に対処すべき問題ではなく、包括的なDXによって解決すべき構造的な課題です。今こそテクノロジーの力で定型的な作業を自動化し、人的リソースをより付加価値の高い業務へとシフトさせていく必要があります。それは単なる効率化ではなく、産業インフラの持続可能性を確保するための必須の取り組みなのです。

私たちのアプローチ:HWコンパウンドSaaSという革新

 ASIOTは、これらの課題に対して独自の「HWコンパウンドSaaS」というアプローチで挑んでいます。これは、複数のハードウェア製品を統合的に提供し、アナログ設備のDXを包括的に支援する新しいビジネスモデルです。 

その第一歩として開発したのが、メーター検針・点検の自動化サービス「A Smart」です。このサービスは、カメラによる自動読み取り、エッジAIによる省電力・低遅延処理、クラウドでの統合管理を組み合わせた画期的なソリューションです。すでに150社以上の導入実績があり、市場からの強い支持を得ています。

しかし、これは始まりにすぎません。インフラメーターやアナログメーターの市場は日本国内だけでも15億台以上と推計されており、私たちの挑戦はまだ序章なのです。

未来へのビジョン:現場DXプラットフォームの構築

私たちが目指すのは、単なる自動検針サービスの提供ではありません。より大きな構想として、「現場DXプラットフォーム」の確立を掲げています。これは以下の要素で構成されます:

  • 汎用性の高い「センサーハブ」の開発・提供
  • エッジAI SDKノーコードツールによる開発環境の整備
  • 業種別のユースケースコンポーネント(テンプレート)提供

しかし、この実現に向けては、現場が直面している本質的な課題を深く理解し、解決していく必要があります。

現場DX推進における3つの壁

産業現場でアナログ設備のDX化を進める際、多くの企業が以下の課題に直面しています。

第一に、IoTセンサーの選定に関する障壁があります。設備の種類や用途に応じて最適なセンサーを選定する必要がありますが、この過程で莫大な時間とコストが発生します。また、選定後も設置場所や電源の確保、通信環境の整備など、様々な技術的課題が待ち受けています。 

第二に、システム統合の複雑さです。異なるベンダーのセンサーやデバイスを導入すると、それぞれに対応したシステム開発が必要となります。このため、導入時の開発コストが膨らむだけでなく、その後の保守運用も煩雑化してしまいます。

第三に、データ活用のためのアプリケーション開発の負担です。センサーから取得したデータを実際の業務改善に活かすためには、現場のワークフローに合わせたカスタマイズ開発が必要です。この開発には専門的な知識と多大な工数が必要となり、DX推進の大きな障壁となっています。

ASIOTが提案する包括的ソリューション

 これらの課題に対し、私たちは「現場DXプラットフォーム」という形で、包括的な解決策を提供します。

まず、汎用性の高い「センサーハブ」を開発・提供することで、センサー選定の負担を大幅に軽減します。このハブは、様々な種類のセンサーを接続可能な設計となっており、既存のアナログ設備にも後付けで容易に導入できます。これにより、導入時の初期コストと工期を大幅に削減することが可能となります。

次に、エッジAI SDKノーコードツールを提供することで、システム統合とアプリケーション開発の敷居を下げます。標準化されたインターフェースとAPI群により、異なるベンダーのセンサーデータを統一的に扱うことができ、開発工数を大幅に削減できます。

さらに、業種別のユースケースコンポーネントを用意することで、共通する業務プロセスの開発を効率化します。工場やプラント、商業施設など、業種ごとに最適化されたテンプレートを提供することで、個別開発の負担を最小限に抑えることができます。

 データ駆動型産業への進化

このプラットフォームは、単なる業務効率化にとどまりません。私たちが目指すのは、物理世界のデータをデジタル空間で統合的に活用する、新しい産業構造の確立です。

具体的には、センサーハブで収集した温度、湿度、振動などの物理データを、メタバース空間でリアルタイムに可視化します。生成AIがこれらのデータを分析し、設備稼働率異常検知エネルギー効率など、様々な観点から最適化された運用パターンを提案します。これにより、人間はより戦略的な意思決定や創造的な業務に注力できるようになります。

例えば、製造現場では、デジタルツインを活用したシミュレーションにより、生産ラインの最適化予防保全が可能になります。ビル管理においては、A Smartによる自動検針と遠隔監視システムの連携により、施設管理の無人化を実現し、管理者はより付加価値の高いサービス開発に時間を割くことができるようになります。

プラットフォームが実現する未来

このように、私たちの「現場DXプラットフォーム」は、単なるデータ収集基盤ではありません。それは、メタバース、ロボティクス、生成AIなどの最新技術を統合し、産業のあり方そのものを変革するインフラストラクチャとなります。 

物理世界のデータをリアルタイムで取得・分析し、AIによる自律的な制御を実現する。人間はその全体を俯瞰しながら、よりクリエイティブな判断や企画に専念できる。私たちは、そんな未来の実現に向けて、着実に歩みを進めています。

仲間との挑戦:有意味感を追求する場所として

ASIOTでは、多様な才能を持つ仲間を募集しています。以下のような方々との協働を心待ちにしています:

  • ハードウェアとソフトウェアの大局観を持ちたい方
  • 日本の産業をIoTで変革したいという情熱を持つ方
  • 最先端のエッジAI技術で新しいサービスを生み出したい方
  • 国際色豊かなチームで自身の力を試したい方
  • 経営戦略やグローバル視点で事業をスケールさせたい方 

私たちは、単なる効率化を超えて、人々が創造性を存分に発揮できる社会の実現を目指しています。生成AIやAGIが進化する時代において、人にしかできない価値創造に注力できる環境を作り出すこと。それこそが、私たちの挑戦の本質です。 

新たな章を共に描く仲間へ

 創業から5年、ASIOTは重要な転換点を迎えています。PMFを達成し、次なる成長フェーズへと移行する今こそ、共に歴史を創っていく仲間を必要としています。

特に、今このタイミングでの参画には、他にはない大きな機会があります。

第一に、産業用IoT市場が大きな転換期を迎えています。人手不足の深刻化、老朽化設備の問題、そしてDXの必要性が、かつてないほどの切実さで叫ばれています。すでに市場は動き始めており、この1~2年で主要プレイヤーが確立されると予測されています。ASIOTはすでに150社以上の導入実績を持ち、市場での強固なポジションを築きつつあります。今、この成長曲線の立ち上がり期に参画することは、産業変革の主役となるまたとない機会です。

第二に、技術的な転換点も重なっていますエッジAIの実用化生成AIの産業応用メタバース技術との融合など、私たちの事業領域は大きな技術革新の波を迎えています。これらの最新技術をいち早く取り入れ、製品化していく過程で、参画メンバーには豊富な経験と知見を得る機会が用意されています。

そして、組織としても重要な変革期にあります。直近1年間で売上高は前年比300%の成長を達成し、新規顧客獲得数は四半期ごとに倍増しています。このような急成長フェーズにある今、参画メンバーには経営の中核として重要な意思決定に関与する機会や、新規事業の立ち上げを主導する機会が用意されています。

ハードウェアとソフトウェア、その両輪を駆使して産業界のインフラそのものをアップデートする。その壮大なビジョンに共感し、「困難だからこそ価値がある」と信じて挑戦を続けられる方々のご参画を、心よりお待ちしています。

この歴史的な転換点に、共に新しい章を描きませんか?

もし私たちのビジョンに少しでも興味を持たれましたら、まずはカジュアルな対話からはじめましょう。


アシオット株式会社
代表取締役CEO
三上 楊平

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