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「どんな状況でも風を起こす」逆境を成長の糧にブランド創りを目指す元テレビマン榎の挑戦

榎 浩大/Kodai Enoki(32)
京都府京都市出身 2023年5月入社
グロースマーケティング事業部 クリエイティブ課 クリエイティブディレクター
成功にとらわれるな、成長にとらわれろ
趣味は格闘技観戦、Youtube鑑賞、スーパー銭湯に行く

どんな困難な状況でも前だけをみて、ときに仲間を鼓舞して進みつづけてきた榎。クリエイティブの力で人の心を動かすことを生業にしているが、形がなくとも彼の言動に勇気づけられ、心を動かされた人はたくさんいるだろう。「35歳までの残り3年半、一から鍛え直したい」と、アンカーを修行場に選んだ彼。クリエイティブの終着点、ブランド創りを目指す榎の物語がはじまる。

愚直な努力で最速昇進

テレビマン時代、関西最大手の制作会社でスーパーADと呼ばれ、ディレクターに最速昇進した榎。当時の奮闘を聞いた。

テレビマンになれば憧れのダウンタウンと一緒に仕事ができる。幼少の頃からお笑いが大好きで、そんな安直な考えから高校生でテレビ業界を目指したのですが、決定打は大学時代の映像制作ですね。成人式後の同窓会で当時お世話になった先生方からのビデオレターをサプライズで制作したのですが、数々の映像制作のなかでもあのときの快感がとくに忘れられなくて。真剣な眼差しや中には涙する人もいて。たった5分で人の心を動かせられる映像の力に魅了され、映像でもっと多くの人を感動させたいと、テレビマンになることを改めて決意しました。

目標通り関西最大手のテレビ制作会社に入社できたものの、最初は苦戦しましたね。テレビ業界ってお笑い芸人の世界に近くて、おもしろい人や個性の強い人が強い特殊な業界で。個性派が先輩に可愛がられて昇進していくんです。芸人を目指していた個性の強すぎる同期たちに囲まれて、先輩からは「で、榎は何が強みなん?」と、白い目で見られていました。

面白さで勝負できないなら、実力と努力で認められるしかないと思って死ぬ気で働きましたね。ADってミスをするのが基本なのですが、スピードと業務管理を徹底してAD時代の2年間はほぼノーミスだったんじゃないかな。「明日の撮影までに犬2匹用意して」「前説芸人が来られないから代わりにやって」といった無茶ぶりや徹夜が当たり前の過酷な状況の中でも、どんな逆境も完遂していくうちに周囲の視線も変わって。いつしかスーパーADと呼んでいただき、同期の中でも最速でディレクターへ昇進を果たすことができました。

ディレクターに昇格してからはVTRを作成したり、ドラマの助監督に抜擢いただいたりしたのですが、「視聴率」というテレビ業界の評価軸に疑問を感じるようになって。というのもどんなに良い番組を作っても、天気や裏番組といった外的要因で視聴率は変わるし、そもそも計測方法自体が曖昧だと感じて。テレビマンが毎回死ぬ思いをして制作しても、クオリティに対して評価が比例しないことが当たり前にある。丸3年業界で働いて、テレビマンとして一通りの業務を経験できたこともあり、一区切りつけることにしました。

なんとかせなあかん

異業種で再スタートを切ったが、入社4年目で経営危機を経験。当時の様子から榎の熱意がうかがえる。

前職のフードテックベンチャーへの転職は友人からの誘いがきっかけです。映像業界の先輩からも一緒に映像制作会社を立ち上げようと熱いオファーをいただいていたのですが、「どうせ新しいことをやるなら、人も場所も業種も変えないと人生進歩せえへんのちゃう?」という友人の一言をきっかけに、後先考えず入社を決めました。ICT×食をテーマに、企業や個人に宅食を届けるサービスで、立ち上げ初期から携わらせていただいたのでセールスから広報、デザイン制作までなんでもやるスタイルでした。

デザインは全くの未経験でPowerPointすらまともにも使えない状態だったのですが、何かを「伝える」という意味では映像制作と一緒なのでできるだろうと思って。デザイン制作の専任がいない中、デザインソフトを独学で学び、ポスターやチラシ、HP、Web広告などつぎつぎ形にしていくうちに仕事が集まって、気づけばマーケティング部のクリエイティブ責任者になっていました。テレビ制作とは違い、アウトプットしたものがCVや売上などダイレクトに数字で返ってくることや、1つ1つのアウトプットが積み重なって中長期でブランドを築き上げていく行程にやりがいを感じましたね。

入社4年目には経営危機も経験。上司と2人で個人向けの新サービスを立ち上げていたときのことでした。資金難から広告費を捻出できず、広告なしで売り上げを立てる必要に迫られて。パートナー企業の開拓に方向転換し、部署も関係なくパートさんや管理栄養士の方々も巻き込んで、有志で結成されたテレアポ部隊を指揮することになりました。

会社がやばい、ということよりも意識は経営陣と同じだったので「なんとかせなあかん」という一心でしたね。テレアポなんてみんな嫌なのでゲーム性を取り入れたり、毎回反省会をしたりしてなんとか前向きに取り組めるように巻き込んで。結果、約1年間で1,000社のパートナーを開拓し、V字回復を遂げて年商約3億円のブランドに成長させられたことは大きな成功体験となりました。

一から鍛え直す

ブランドマネージャーとして活躍する彼が、デジタルマーケティング業界に飛び込んだ理由とは。

30代に突入し、プライベートでは結婚や子供の出産なども重なってライフステージが大きく変わりました。個人の能力開発の1つの分岐点と言われる35歳まで残り3年半。より高いレベルの環境に身を置いて、一から自分を鍛え直したいと思ったんです。

入社6年目で現場を離れ、社長直下の経営企画室でブランドマネージャーに就任。全社のブランドマネジメントを担当していたのですが、どちらかというと守備的なポジションでの業務が多く、このままだと将来的に自分がキャリアアップをしていく上での本質的な力が身に付かない気がして。名もなきベンチャー企業でがむしゃらに6年間走り続けた自分は社外でも通用する人材になれているのか?という思いもありました。重要な役職に就いている状態で会社を去ることにさまざまな葛藤もありましたが、次のステージへの挑戦を決断しました。

「マーケティング力」と「クリエイティブ力」を両軸で伸ばせる環境を求めてデジタルマーケティング業界に目を向けると、支援領域を点でしかみていない企業が多いと感じましたね。でもアンカーはグロースマーケティングをテーマに線で捉えていて、視座の高さを感じました。それに業界では珍しくクリエイティブの内製にも力を入れていて。自社サービスの立ち上げも視野に入れていることから、将来ブランド創りに携わるチャンスもあると思って入社を決めました。

※業界イメージ図

行動が文化をつくる

入社3ヶ月で月に1度の全社集会All Handsで一石を投じた榎。その背景とは。

本気のデジタルマーケティングを繰り広げるアンカーに、クリエイティブディレクターとしていまの自分が通用するのか懸念もありましたが、十分手応えを感じています。入社当時は新しい業務に向き合い日々学びの連続でしたが、前職でのブランド創りの経験を活かして、こうすればもっと会社全体のサービス提供価値を高められるんじゃないか?と気づくこともあって。入社3ヶ月目の全社集会で「アンカーがさらに上を目指すなら、こういう視点にも全員で注力していこう」と、魂のプレゼンをさせていただきました。

31歳で中途入社して、会社になんの風も起こせないのはどうなのか?という気持ちもありましたね。新参者が講釈を垂れるなんて批判覚悟でしたが、ディスカッションのあとも意見をくれる人がたくさんいて。提案した新たなマーケティング分析シートはひとつのカルチャーとして浸透して、行動次第で文化を創っていける会社だと実感しています。

将来的な目標はブランドをいくつも創っての世の中に価値を残すことですね。”自分のクリエイティブで人に感動を与えたい”という情熱の根幹はずっと変わっていません。ただ、これまで自分が創ってきた映像やデザインはあくまで何かを伝えるための1つの手段であり、突きつめるとクリエイティブの最上流である「ブランド」にたどり着くと僕は考えています。

つい最近携わった自社の新規事業の立ち上げでは、ロゴ制作から着手し、ブランドとしての戦略や方向性について議論する機会もありました。いまは修業期間として目の前にある一つ一つのどんな業務にも全力で向き合い、35歳になったときには一回りも二回りもレベルアップした状態で、自信を持ってブランド創りにもう一度チャレンジしている自分を目指したいと思っています。


「グロースマーケティング×事業創造」で価値を最大化する。代表千野が見据えるこれからのAnchorとは。 | MEMBER
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