A1Aの採用において大事にしていること | A1A株式会社
みなさまこんにちは!A1A株式会社 採用担当の村田です。前回の阿部さんのブログに続いて、今回私からはA1Aの採用において自身と会社が大事にしていることについてブログを書かせていただきます。前回の...
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みなさまこんにちは!
A1A株式会社採用チームです。プレスリリースをきっかけに開催しておりますブログリレーですが、今回はプロダクトマネジャーの北野の投稿をお届けします!
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はじめまして。A1A株式会社にてプロダクトマネジャーをしている北野(@kojiquitous)と申します。ブログリレーということで、前回の採用担当・村田に続いて私が記事を書かせていただきます。
このnoteではA1Aに入社した私が「最初に携わった事業のピボット」や、「CSM→PdMという大きなキャリアチェンジ」などを経験する中で感じたことを振り返ってみたいと思います。
私はA1Aという会社で働く面白さは「製造業の調達」というドメインの複雑性・特殊性にあると考えています。
この難解なドメインにハードルを感じる人もいると思いますが、逆にキャッチアップする情熱さえあれば知的好奇心を刺激されるきわめて面白い世界が広がっており、さらにはどんどんプロダクトやサービスづくりの上流に関わっていけるチャンスがあります。
私の振り返りを通して、そうしたA1Aの面白さとやりがいについて知っていただければ幸いです。
5年前、「一度きりの人生、このまま大企業で安定したキャリアを進むなんてもったいない!俺はスタートアップでひとやま当てるぞ」という思いをもって転職活動をはじめた私は、「製造業の調達における見積業務を効率化するサービス」というマニアックな事業領域に魅力と将来性を感じてA1A社に入社しました。
前職では電子計測機器のテクニカルサポートをしていたこともあり、A1AではCSM(カスタマーサクセスマネジャー)として当時のプロダクト(RFQcloud)の導入活用支援やサポート体制の立ち上げに取り組むことになりました。
A1Aに入社し、お客様の支援をするようになって驚いたのはRFQcloudが対象とする「製造業の調達」というドメインの難しさ・奥深さです。
一言に「製造業の調達」といっても、その企業の扱う製品の生産形態、業界におけるTierやグローバルでの売上比率、その企業において調達機能が分化した歴史的経緯など、様々な要因によって調達部門の役割は大きく異なります。
また、ものづくりには調達部門だけではなく、営業・設計・生産などの社内各部署、また取引先のサプライヤーなど、様々な立場で働く人々が関わります。こうした様々なステークホルダーの存在が、調達部門の仕事の進め方に大きな影響を及ぼしています。
CSMとしてお客様と課題解決に向けた対等な議論をしていくためには、お客様を取り巻く複雑な状況を正しく理解し、共感することが欠かせません。
分からないことを率直にお客様に質問させていただいたり、社内のドメインエキスパートと議論させてもらったり、導入企業のIR情報を読み込んだり、業界に関連する書籍を読み漁ったり、工場見学でものづくりの現場を実際に見てみたり、様々な方法で製造業や調達業務に対する理解を深めていきました。
入社後から今に至るまでにインプットした大量の製造業関連・調達関連の書籍は
いまもA1AでPdMとして仕事をする上でのベースとなっています。
もともと好奇心・学習意欲の強い私は、この製造業という複雑なドメインに対するキャッチアップを進め、それをCSMの業務に活かしていく、というサイクルに楽しさと大きなやりがいを感じていました。
(注記)今ではしっかりとしたオンボーディング体制があるので、「製造業ぜんぜん詳しくないよー」という方でも入社後にすぐキャッチアップできるようになっています!
ところが、入社時から携わっていた事業(RFQcloud)はピボットという結果に終わります。当時の状況については、弊社CTO佐々木のブログにも詳しく書かれています。
2020年のA1Aは事業的にも組織的にも様々な問題がおきていました。
- プロダクトに対する顧客の低い満足度と見つからない打ち手
- CS組織の疲弊
- 営業時の顧客の期待とプロダクトで提供できる価値のギャップが大きく、顧客の期待に答えられないと気づきながらオンボーディングを進める心理的負担が大きかった
- プロダクト組織のモメンタム喪失
- 受注時に機能の開発がコミットされており、要求分析がままならないまま開発することが常態化していることに不満が募っていた
- 目指す方向性がなく、また仮説検証が会社として軽視されていることで、実行よりも議論ばかりに時間が使われていた
- 部門間(およびボードメンバー間)の信頼の欠如
以下では私の視点であらためて、当時のA1A・RFQcloud事業の状況を振り返って見ようと思います。
A1Aは当時から営業部隊の「売る力」が強かったのですが、それゆえお客様の導入目的が「ふわっと」したままでも受注してしまうことがありました。また会社にはそれを良しとする空気がありました。
また、ターゲットとなるお客様に対する社内の認識がバラバラであったため、「一見同じように見えるが、抱えている悩みや業務要件が全く異なる企業」に対してどんどん受注が決まっていっていました。
システムの導入プロジェクトを進めていくにあたっては、最初にお客様と導入目的や課題認識をすり合わせていく必要があります。ところが、いざ導入が決まったお客様と会話してみると「明らかにプロダクトの守備範囲とは異なる業務の改善を期待している」「いまのプロダクトの仕様ではお客様の業務要件に対応できない」といったようなことが頻繁に起きていました。
あまりにも導入目的や期待値がお客様によって異なるので、
私はRFQcloudを「玉虫色をしたプロダクトだな」と評していました
(評論家気取りを反省しつつ)
個社ごとのニーズに対応する開発で顧客単価を上げていくビジネスモデルであればまだしも、A1AはSaaSプロダクトの月額収益で稼ぐモデル。基本的には個別開発に頼らず、プロダクトの改善を通してお客様のニーズを満たしていかなければなりません。
ところが、製造業の調達部門が抱えるニーズは我々の当初の想像を超えて遥かに多様であり、それらのニーズを幅広く吸収していけるような開発のロードマップを引くことの難易度は極めて高いものでした。
目先の大型案件を成功させるためのコミット開発が相次いでいたこともあり、プロダクト改善は次第に行き詰まりの様相を呈してきていました。
受注した案件におけるお客様の期待値がバラバラであり、それに対応するプロダクトの改善が一向に進まない。そうした中で次第にCS部門の中では「オンボーディングの成否はすべてCSの責任であり、期待値調整と運用提案で炎上を回避・収束させるのが仕事」という雰囲気が生まれていました。
お客様の期待がプロダクトの提供する価値の範囲に収まるように説得&交渉(&謝罪)したり、どうしてもプロダクトで叶えられないニーズに対してCSV出力とエクセルをフル活用した運用方法を提案したり、あの手この手でプロダクトを活用してもらう方法を模索する日々が続きました。
個別の運用提案で無理やり業務を成立させ、プロダクトの利用を継続してもらう。ただし、利用を続けてもらったとしても、お客様の成功に繋がる未来が見えてこない。
そんな状況が続く中で、お客様に前向きな言葉を伝えながらプロジェクトを進めるのは非常につらい経験でした。ドメイン理解が進み、お客様のことを知れば知るほど「うちのプロダクトでこのお客様を幸せにすることは難しい」ということがはっきり分かるようになります。自分の仕事が世の中の役に立っている実感がなく、次第に心身ともに摩耗していくのを感じていました。
「このままでは絶対にこの事業は失敗する。CSが顧客の声をフィードバックしてプロダクトの改善に貢献するべきだ」という考えは頭の中にありました。お客様から受け取った内容をプロダクトチームも含めた場で共有するような試みもありました。それでも、実際に状況の打開につながるようなアクションを起こすことができませんでした。
そもそも当時の私はプロダクト開発についての理解がなく、どう関わればよいのか、そもそも関わってよいのかもわかっていませんでした。度重なるコミット開発で疲弊しているプロダクトチームの人々に対する遠慮もあったと思います。
そうこうしているうちに、他の要因も重なってRFQcloud事業は完全に行き詰まり、A1Aはこの事業をピボットすることになります。
事業ピボットのタイミングで、この先の厳しい見通しを伝えられ、自分の今後のキャリアを考える機会がありました。
しかし、私としては「もっと自分にできたことはなかったのか」という後悔や「自分の選択を失敗に終わらせたくない」という思いがあり、A1Aに残り続けることを決めました。
RFQcloudの事業拡大停止が決まった後は、しばらくはCSMとして既に受注したお客様の導入活用支援を続けつつ、兼務していたマーケティング業務への注力を続けていました。
積極的に売るべきプロダクトがなくなってしまったことから、「製品ではなくA1Aという会社に対する認知・興味を持ってもらおう」と考え、純粋にお客様に喜んでもらえるような情報発信系・共感系のコンテンツを企画したりしていました(このときに手探りで実践した体験設計のスキルは今も活きているように感じます)
また、これらの業務と並行して自分なりにできるプロダクトとの関わり方を模索していました。CSMの経験や知識を活かしてターゲット顧客のペルソナ定義に協力したり、新規事業のディスカッションに参加したりといったことをしていました。
また、社内の議論が行き詰まっているときに、メーカーで働く友人のツテを頼ってユーザーインタビューの機会を作ったりもしました(当時、快くインタビューに協力してくれた友人たちにはとても感謝しています)。
そんな折、弊社CTOの佐々木から私に「北野くん、新規事業のPdMやってくれへん?」と声が掛かりました。
自分自身のスキル・適性や今後のキャリア、RFQcloud事業のCSMをやっていた頃の葛藤など、色々なことが脳裏をよぎりましたが、最終的にはこのチャンスが訪れたのは何かの運命だと信じてキャリアチェンジを決意しました。
RFQcloud事業での反省を踏まえ、A1Aではあらためて明確なターゲット定義、解くべき課題の特定、製品コンセプトの策定を実施していきました。また、それらを裏付けるための膨大なユーザーリサーチや検証作業を実施しました。このときの様子は弊社COO西島のブログにも書かれているのでぜひご覧ください。
私個人としてはUI/UXデザインやエンジニアリングなど、Web開発の知識についてはほぼゼロからの出発となりました。バリューを発揮するために身につけるべきことは多かったですが、CTO佐々木や他のメンバーに助けてもらいながら、プロダクト開発の仕事にキャッチアップしていきました。
CSM時代と比べて特に大きな違いを感じたのは「課題への向き合い方」です。個々の導入企業とのプロジェクトにおいてテーラーメイドで課題解決することが求められていたCSM時代と異なり、プロダクト開発においては「個別企業の課題に共感しつつも、それらを適切なレベルに抽象化した上で取り組む」ことが求められます。「局所最適よりも全体最適を志向する」思考様式の転換については何度も意識させられる機会がありました。
その一方で「CSMとして培ってきた顧客理解・業界理解が大きな武器になる」と感じる場面も多くありました。
まず、CSM業務を通して得た知識や経験がプロダクトを構想・企画する上での直接的な発想の源になりました。新製品「UPCYCLE」のコアとなる機能には、RFQcloud事業において課題解決のネックとなっていた点を解消するアイデアがふんだんに盛り込まれています。こうしたアイデアのいくつかは私がCSMとして活動する中で温めていたものだったりします。
また、CSMとして実際にユーザーと向き合ってきたことに対する自信がプロダクト開発を前に進める原動力となっています。
プロダクトマネジャーは日々プロダクトについての意思決定をしなければなりませんが、正しい判断をするための情報が100%揃っているとは限らず、開発を進めてみて初めて分かることもあります。チーム内で意見が割れたり、不安を表出するメンバーがいたとしても、ひとまずは合意を形成して前に進める役割を演じる必要がしばしばありました。
そうしたときには「背景を共有して認識を揃える」「期間を決めて合意する」といったことを実践していましたが、何よりも「自分が一番お客様のことを理解しているのだから、自分が正しいと信じることは(少なくとも現時点での)最適解であるはずだ」という自信が大きな支えになったと感じています。
弊社の「UPCYCLE」のようなVertical SaaSは、Horizontalなアプローチでは解決できない複雑性・特殊性の高い課題に取り組むからこそユーザーに価値を提供することができます。
それゆえに、プロダクト開発を進める中で「一般的なWebアプリケーションで使い古された解決策が通用しない」状況に遭遇することが多い。
そんなとき、深いドメイン理解が解決策を編み出す突破口になると感じています。開発未経験でPdMに転身した私がプロダクトマネジャーの仕事を務められている背景には、こうした事業の特性とCSM時代からのドメイン理解の積み重ねが影響していると思います。
RFQcloud事業のピボット決定から4年、様々な試行錯誤や紆余曲折を経つつも、A1Aは新製品「UPCYCLE」をリリースすることができました。まず重要な第一歩を踏み出せたと思っていますが、まだまだ解決するべき課題が山積みで残っています。正直、考える頭が全然足りていない状況です。
最初にも書いたように、A1Aにはドメインに対する情熱や好奇心さえあれば、どんどんプロダクト・サービスづくりの上流に関わっていける機会があります。(最初から詳しくなくても、入社後にドメイン知識をインプットするオンボーディングが充実しています)
もし本noteを読んで少しでも興味を持ってくださる方がいらっしゃれば、ぜひお力になっていただけると嬉しいです。
製造業の調達というドメインにどっぷり浸かりながら、一緒に頭を捻ってプロダクトやサービスを磨いてくれる仲間を探しています!