こんにちは。広報の加藤です。本日のインタビューはCTOの山口さんです。山口さんがエーテンラボに入るまで、入ってからチームができあがっていき、どんなことを心がけてメンバーと接しているのかなど、エンジニアチームの清田さんがインタビューを行いました。
登場人物
山口信行(山口)
取締役CTO
元ソニー。「みんチャレ」草案者である現代表の長坂に誘われソニーの新規事業育成プログラムから習慣化アプリ「みんチャレ」の開発に従事。
清田恭弘(清田)
入社5年目。自称なんでも自動化するエンジニア。3歳の愛娘がいる。好きな Vim は Vim。
加藤真帆(加藤)
2年前にエーテンラボに入社し「みんチャレ」の広報PRやマーケティングに携わる。現在は採用をメインで担当、Wantedlyのインタビュー記事作成に励む日々。
ソニーでは画像信号処理アルゴリズムの研究開発を行う研究所に配属。経験のない分野のためハードな日々を過ごす
(清田)山口さんはエーテンラボの前はソニーで働いていましたね。新卒で入社して初めての部署が研究所だったそうですが、そこでのご経験についてこの機会にお聞きしたいです。
(山口)「真面目なる技術者の技能を、最高度に発揮せしむべき自由闊達にして愉快なる理想工場の建設」という「東京通信工業株式会社(現ソニー株式会社)設立趣意書」に惹かれて、2001年にソニーに新卒で入社しました。
入社前の配属面談では、人と人のつながりというものを大切にしたい、つながりをつくることでより多くの人が幸せを感じる世の中にしたい、そういうデバイスをつくりたいという想いがあって、今で言うスマートウォッチのようなコミュニケーションデバイスの開発に携わりたいと話しました。
ところが、まさか画像信号処理アルゴリズムの研究開発を行う研究所に配属されるとは全くの予想外でした。その研究所には学生時代にコンピュータサイエンスを学んだ人が沢山いて、画像信号処理アルゴリズムについて全く知らない私はかなり遅れをとっている状態でした。
(清田)かなりのハードモードですね。遅れを取り戻すためにどうしましたか。
(山口)朝から晩まで誰よりも研究に没頭し、必要な知識、スキルを都度アップデートしました。
研究テーマの問題設定の仕方、アプローチ方法、データの取り方・見方、考察など、優秀な上司・先輩・同僚がどのように取り組んでいるのかを観察して、自分とは何が違うのかを考えて取り入れていきました。
上司への質問もよくしていました。質問の時間は貴重なので、自分で考えを整理してから臨むようにしていました。上司や先輩、同僚からは、仮説の立て方や仮説の検証方法、データの解釈について、たくさんアドバイスをいただきました。
今の自分があるのは、努力したこともあるとは思いますが、周りの方々が育ててくれたおかげだと思っています。本当に感謝しかありません。
(清田)研究所時代に貴重な経験を積んできたのですね。
(山口)本当に貴重な経験でした。研究所長が言葉にできないくらいとにかく凄い方で、所長からはエンジニアにとって大切なことを学ばせていただきました。
未知の技術を創ることは、砂漠の中でダイヤモンドを掘り当てるようなもの。闇雲に地面を掘っても見つかるはずがなく、仮説を立てながら戦略的に掘っていく必要がある。
仮説をうまく立てられれば少ない回数で掘り当てる事ができるので、仮説構築と検証方法、データ分析・考察の良し悪しがエンジニアとしての腕の見せ所だということ。
所長には「その本質はなんだ」とよく問いを投げかけられました。
人生に寄り添えるサービスを考えていた矢先、長坂さん(現エーテンラボCEO)との出会い。プロジェクトに声がかかったときは素直に嬉しかった!
(山口)そんな感じで7年半ほど研究に取り組んでいたのですが、組織再編で研究所が閉じられることになりました。
そして、その後はビデオカメラの事業部に異動して6年ほど組み込みソフトウェア開発に従事しました。
発売日と販売台数が計画され、その日に向けて全てのステークホルダーが動いていきます。
ハードウェア機器の開発を経験されたことがある方はわかると思いますが、生産が遅れることは大損失で確実にスケジュールを守ってプロジェクトを進める必要があります。
カメラの中の1機能をつくるだけでも20-30人のエンジニアが関わることもあり、大規模な組織でのソフトウェア開発を通じて、ソフトウェアの設計・実装の技術はもちろん、ソフトウェア・ハードウェアの開発プロセス、品質管理、プロジェクト管理、リスク管理などなど、研究所時代とは一味も二味も違った経験が得られました。
(清田)1機能で30人とはすごい規模ですね...。そこからどのようにしてみんチャレの開発に携わることになったのでしょう。
(山口)2013年に当時の平井社長から全社員に向けてソニーに変革をもたらす提案の募集が始まったので応募したんです。書類選考は通過したものの採用とはなりませんでしたが、この時の応募者同士のコミュニティーの中で長坂さん(エーテンラボ代表)と出会いました。
当時の長坂さんから「小さなメダル」(みんチャレの前身となるアプリ)の話を聞いてワクワクしたのを今でも覚えています。
それからエンジニアとして世の中にどのような価値を作り出したいのか考えるようになり、日常的に人の人生に寄り添えるサービスを作りたいという想いが沸々と湧いてきて、自分で事業案を計画したり外部のビジネスコンテストに参加したりしていました。
そうした中、SAP(ソニーの新規事業育成プログラム)でみんチャレが採択されることになって、そのタイミングで長坂さんから声をかけてもらいました。
「ぜひやりたい」と即答でしたね。テクノロジーで人を幸せにしたいという想いや事業構想にとても共感しました。
当時はアプリ開発の経験がなかったので、Android も iOS も Rails も AWS も全て死ぬ気で勉強しました。
毎週一人あたり30分、1対1での対話「1on1」で、個人の成長をサポート
(清田)山口さんは開発メンバー7名と毎週1on1をしていますが、はじめたきっかけはなんですか。また、続いている理由もお聞きしたいです。
(山口)1on1は、創業して2年ぐらい経った2019年1月に始めたのですが、「ヤフーの1on1」(※ヤフーの1on1―部下を成長させるコミュニケーションの技法)を読んだのがきっかけですね。
自己組織化されたパフォーマンスの高いチームを目指していたので、メンバー一人一人とより良い信頼関係を築き、経験による学習をサポートして成長を促したかったというのと、ちょうどアプリの大改編があって、OKRも導入し、組織としてのトライを色々と行っていた時期でもあったので、一人一人がどのように考えているのか、今後どうしていきたいのか、きちんとコミュニケーションを取る必要性も感じていました。
「ヤフーの1on1」にも書いてありましたし、私自身もそう信じているのですが、組織とは人であり、人の成長が組織の成長につながるので、個人の成長をサポートするため、また組織としてのアウトプットを最大化するために続けています。
(加藤)週に一回は私からすると頻繁で、そんなに話すことがあるのかなと思ってしまいますが何を話しているんですか。
(山口)仕事のことやプライベートのこと、トピックは色々あって、話が尽きてしまった、なんてことはこれまでになかったですね。
(清田)一人30分と決まっていますが、だいたいみんな時間オーバーしますよね。私はもともと話すのが好きですが、そうでない人も、山口さんは聞き上手なので自然に話すことが出てくるのだと思います。
今日は話すことないなと思った日でも、山口さんから、今日はこれを聞きたいんですけど、という風に話題をふってくれるので自然に話せますね。
それから、私が話したことを「こういう解釈ですか?」と山口さんの自分の言葉で置き換えてくれるので、改めて自分の言っていることは筋が通っているのか、まだまだ考えが甘いのかを確認できます。
(山口)はじめてみて、一人一人がどう考えているのかをより良く理解することでよりチームメンバーを信頼して仕事を任せられるようになり、仕事がしやすくなったと感じています。
チームメンバーも1on1を通じて仕事がしやすくなったと感じていたらいいなと思いますね。
もしやっても効果が感じられないのであれば、やり方を変えるか、そもそもやめるのかちょっと考えた方がいいですよね。
(加藤)人数が増えてきていますが、この先もずっと続けますか。
(山口)人数が増えたとしても、開発チームメンバー全員との1on1は続けたいですね。
今の形で続けることが難しくなったとしても、時間を短くしたり、人によって頻度を調整するなどして継続したいと考えています。まだまだ先の話だとは思いますが。
(清田)1on1は組織の成長のための手段の一つだと思いますが、CTOとして他にどのようなことを意識していますか。
(山口)「振り返りの習慣」が重要と考えています。なにか狙いを持ってトライして、その結果から学ぶことの繰り返しが成長につながると思っています。
それができるようサポートすることを意識してメンバーと接しています。
(清田)そういう環境を提供するにあたり必要なことはなんでしょうか。
CTOとして個人が積極的にトライできる雰囲気を作ること、自分自身で考えて行動できるようにサポートすることを意識
(山口)「失敗してもいいよ」というスタンスですね。安心してトライできるような職場の環境づくりが重要だと思っています。
失敗したときに、「なんで失敗したんだ!?」と問い詰めてプレッシャーを与えられると、萎縮してしまいトライができず結果的に成長がストップしてしまいます。
失敗したときは、その先どうしたらいいのかに目を向けられるような雰囲気作りを心がけています。問い詰めずに、なるべく事実に目をむけることです。
(清田)最近、新機能のリリースが遅れてしまったことがありましたが、それがどうして間に合わなかったか、どうすべきだったかという振り返りをする際に、必ず山口さんは一歩引いたところにいるんですよね。
開発メンバーの議論に耳を立てて、要所要所でアドバイスをしてくれるような、オブザーバーの立ち位置にいるという印象が強いです。
(山口)そうですね。オブザーバーになろうと意識しているわけではなく、基本的にチームメンバーのことを信頼しているんです。
それと、自分たちで考えて、成長する機会にしてほしいという想いもあります。結局なにかに取り組む時に、どれだけ自分ごととして考えたかどうか、その積み重ねで成長すると思っているので、そういう機会があったらどんどん任せた方がいいと考えています。
(清田)確かに、山口さんから「こうした方がいいよ」とか、「こんな風にすすめていこう」という話はあまりないですね。
もちろん、分からなくて相談したら話してくれますが。
ルールをなるべく作らず、自己管理で進めることが裁量につながる
(清田)裁量についてはどう考えていますか。
(山口)自己管理ができることが大事だと考えています。それができると裁量が得られます。
私自身、細かく管理されることは好みではないので、メンバーにもそうしないようにしています。エーテンラボのメンバーは基本的に自己管理ができるので、「自由に仕事をできている」と感じている人が多いのだと思います。
(加藤)もし、自己管理ができない人がいたとしたら、山口さんはどのように接しますか。
(山口)仕事の目的までしっかり理解をしていれば自ずと自分で優先順位をつけて管理できるようになるはずなので、「なぜそれをやるのか」を理解できるように努めますね。
(清田)山口さんはよく「なるべくルールは減らしたい」とおっしゃていますがその理由はなんでしょう。
(山口)小さなルールでも「このルールちょっとめんどくさいな」というのが積み重なってくると、仕事をするのにストレスを感じるようになったり、自由を奪ってしまうことで力を発揮しづらくなってしまうのでそうした状態を避けるためですね。
組織が大きくなっていってもなるべくルールは多くならないようにしたいです。そのためには自己管理ができてないといけませんが。
(清田)まさに「真面目なる技術者の技能を、最高度に発揮せしむべき自由闊達にして愉快なる理想工場の建設」ですね。
(山口)その通りです(笑)
(加藤)最後に、エーテンラボのエンジニア職にはどんな方にきてほしいですか?それから一言メッセージをお願いします!
(山口)裁量を持って自らの技能を最高度に発揮してユーザーにとって価値のあるプロダクトを開発したい方、そのために自ら技能を磨いていく成長意欲がある方にきていただきたいです。
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