a-worksのようなベンチャー企業に求められるのは、スピード感を持って世の中の変化に対応すること。創業以来、事業・組織体制・社内ルールなど、あらゆる面において常に改善を続けてきました。
「大きな組織ではないからあらゆることがトップダウンで進むのでは?」と思われる方が多いかもしれませんが、a-worksでは、「組織の在り方」や「働き方」についてはメンバーの同意を得たうえで決定する、というプロセスを大切にしています。具体的にどのように意思決定をおこなっているのか?広報・石原が紹介します!(※こちらの投稿はa-works公式ブログからの転載です。)
組織改善ミーティングで方向性をすり合わせ、ガバナンスミーティングで全体の合意を取る
a-worksでは、組織の在り方や働き方の方針を決める際、全メンバーが参加できる組織改善ミーティングとガバナンスミーティングを開催しています。一方、経営方針や事業の方向性については社長やリーダー会が中心となって決定。ボトムアップとトップダウンそれぞれのメリットを見極め、バランスよく取り入れています。
組織改善ミーティングで示された方針を具体的な仕組みやルールとして運用する前には、ガバナンスミーティングを開いて詳細の説明をおこない、全体合意を取ってから実行に移されます。
「こう決まりました」とトップダウンで進めることもできますが、メンバーの納得度が低かったり、現場視点での課題が見落とされたていたりするとうまくいかないケースも…。そうした可能性を防ぐため、ガバナンスミーティングを通じて合意を取る機会を重要視しています。
新たな人事評価制度についても、メンバーの意見を聞きながら今まさに詳細を詰めているところです。
社外の方から驚かれることも多いこの取り組み。「会社のことはみんなで決める」を掲げるa-worksの企業文化はどのようにして生まれたのか?シャチョウの野山に聞いてみました。
【社長インタビュー】メンバーが自発的に「会社のこと」を考える土壌を育むには「情報開示」が不可欠
ーー現在の体制になる以前は、組織の方針はどのようなプロセスで決まっていたんですか。
野山:当時は、経営についても組織運営についてもバチバチのトップダウンでした。経営危機をきっかけに経営方針を含む会社全体のあり方を見直すなかで、経営や事業については僕を含む上層部で柱をつくっていくけれども、組織のことはメンバー全員で決めていきましょうという方針にシフトしていきました。
参考記事:【ベンチャー企業の採用戦略】採用活動を考えることは、会社がどうありたいかを考えること
そんなときに「野山さんがめざしてることが書いてあるからぜひ読んで」と人から勧められたのが、奇跡の組織 「最高の働き方」を導き出すセムコスタイル5つの原則という本でした。人や組織がどうあるべきか、という視点がものすごく参考になりましたし、僕が漠然と思い描いている思想を具体的に落とし込む方法が丁寧に書いてあった。これからの組織を考えるうえで、この本にはかなり影響を受けました。
ほかにも、うまくいっている組織について研究したり、組織改善を専門とするコンサルにも入ってもらって、a-worksにとってどんな仕組みがいいのかを整えていきました。
ーー「組織のことは全社で決定する」というプロセスを導入してから2年半ほどが経ちますが、率直な感想はいかがでしょうか。
野山:予想していたよりも、とてもよく機能しているのではと感じています。a-worksの社風に合っている気がしますね。以前よりも、みんなの才能や能力が発揮しやすい組織になったんじゃないかなと。
改めてまわりを見てみると、会社のルールが決まったり変わったりする際に、詳しい説明がされない組織がほとんどなんですよね。以前のa-worksもそうでした。フレックスや育休の推奨など、仕組みとしての働きやすい環境づくりには力を入れていたけれど、会社とメンバーとの信頼関係は築けていなかった。それは、会社からの情報開示が圧倒的に足りていなかったからだと今は思います。
ーーだから現在は、組織改善に限らず、財務や経営方針など会社の情報を常に開示しているんですね。
野山:そうです。会社同士でも個人同士でも、情報がないと信頼できないじゃないですか。財務情報とか経営方針とか人事評価とか、会社にまつわることについては従業員には全部オープンでいたい。どれかは見せるけどどれかは見せないっていうのも気持ち悪いし、すべてはつながっているのだから、何かを変えるときには全体で取り組むべきだと思うんです。
そしてこれは僕の最近の人生のテーマなんですけど…ばれてややこしくなるようなことをしたくない(笑)。だから常に、今はこういう状態で、こういう基準で、こういう財務で、こういう戦略で、報酬の基準はこれですよとしっかり明言しています。会社の責任として情報開示は惜しみなくおこなうので、それを受け止めたうえでみんなそれぞれ頑張ってほしいと伝えています。
※a-worksでは、売上、原価、販管費までを常に開示しており、半期に一度の総会ではPLを元に振り返りをおこなっています。社長とリーダーから次半期や来期の方向性を聞いたあと、チームに分かれて「自分は何をすべきか」を考える時間を設けています。
ーー「すべてをトップダウンで決定する」という方針から、ボトムアップの意見も取り入れるようになって、煩わしさを感じることはないですか?
野山:面倒さは感じないですね。以前の体制よりもメリットが上回っているという実感があります。何でもかんでもこちらから指示を出すよりも、まずは情報をしっかり開示して、メンバーそれぞれがしっかり考えたうえで動いたほうが結果的に早いことが多い。もちろん最初からうまくまわっていたわけではないけれど、2年間をかけて経営方針、組織、財務について話し合う場を多く設けてきたことによって、現場でも自然に戦略的な会話が生まれるようになりました。
個人的に今の体制になってよかったことを挙げるならば、メンバーに対して確かな期待を持てるようになったことです。…いや、期待をしていなかったわけではないんだけど、心のどこかで難しいだろうなとも思っていた。期待したいけどしきれない、という感じでしたね。だから、全部僕が決めなければ!と、トップダウンになっていたんだと思います。
けれど、会社組織として運営している以上、誰かに委ねることができなければ、僕が倒れたときに会社が立ち行かなくなってしまう。それに、自分の考えだけで物事を進めたいならば1人でやればいいだけの話だな、とも思いますし。
「a-worksが掲げる7つの経営方針」でも示しているように、今は、a-worksに関わってくれたみんなが幸せであり続けてほしいと思って会社経営に取り組んでいます。これからもメンバーの才能と価値観を最大限に尊重し、a-worksにしかできない新たなビジネスをつくっていきたいと考えています。
最後に
組織のルールづくりのたびに全社ミーティングを開いたり、会社負担でコミュニケーション機会をつくったり。
「なぜそんな面倒なことを?」
「なぜ会社の直接の利益につながらないことを?」
と、思われるかもしれません。私もたぶん、外から見ていたら同じことを言うような気がします。
でも、a-worksに入ってみてから知ったのは、こういった「会社の利益に直接的でないこと」の積み重ねが会社への信頼につながり、自発的に「会社のこと」を考える土壌が育まれているんだな、ということ。
もちろん、足りていないところや不備が目立つ部分、突貫工事でなんとかしているケースもまだまだたくさんあるのですが、ポジティブなこともネガティブなこともすべて全社で共有しているという事実は、結構すごいことだと思っています。
a-worksの社風や考え方に興味を持った方はぜひ、公式ブログで他の記事も見てみてください。