京都から発信するグローバルUIデザイン。GyazoやScrapboxを開発するNotaのUIエンジニアに話を聞いてみた(後編)
開発メンバーに気軽に話を聞いていく企画、第2回は、UIエンジニアの吉原が登場!
前回のインタビューはこちら
https://www.wantedly.com/companies/nota/post_articles/116251
GyazoやScrapboxを開発するNota, Inc.の開発メンバーに気軽にCEOの洛西がインタビューしていく連載企画です。 第2回は、UIエンジニアの吉原にソフトウェアデザインの話を聞きました。
吉原建(Yoshihara Takeru)
NOTA Inc.のプロダクトデザインを担当。2010年までは家電メーカーでハードウェアデザイナーとして携帯電話のデザイン業務に従事。仕事の中でUIとソフトウェアの面白さに惹かれ、退職後に慶応義塾大学大学院の政策・メディア研究科にて修士号を取得。その後iOSアプリの開発業務を経て、現在はNOTA Inc.にてwebサービスのUI/UX周りを開発。ビジュアルワークとコーディングの両側面から質の高いプロダクトの実現を目指す。
ソフトウェアデザインの特殊性
建さんはハードウェアとソフトウェア両方のデザインの経験があるということで、このふたつはどういうふうに違うと思いますか。
動くか動かないか。変化するかしないかというところが大きいです。プロダクトデザインは1回作ってしまえば、それが形状として変化するケースはほとんどない。Webデザインだとか、アプリデザインを始めてみると、状態によってぜんぜん見え方なり使われ方が違うので、そこが一番大きな違いですね。画面のサイズであったり、使う場所であったり、デバイスの種類であったり、ブラウザで見るのかアプリで見るのかだとか、デザインした時と実際に使われる時の状態が違いすぎて愕然とします。
料理をするようにプログラミングを行う
建さんはプログラミングを頑張って学んで、内部の実装を知っている点が強くて、ソフトウェアをデザインしやすいというのはありますよね。
そうですね。ほんとに本番と同じ環境で実装してしまえば、実際に使われるコンテンツを使ってUIの検証をしたり、それぞれのデバイスで実際に試すことができて、あらゆる環境で見ることができるので、それは強いです。
料理でいえばグラフィックレベルでデザインしたものがレシピで、実際に実装された段階になると調理された料理みたいな関係性ですね。グラフィックだけでやっているとレシピしかできない。実際に調理してみると、味を確かめながらデザインができる。
なるほど。レシピと料理の間にはだいぶ差がありますね。
最初はそんなに遠いとは思っていなかったけど、学んでみるとやはり遠いんだなあと思います。けれども、繰り返しているとレシピ段階で料理の味が想像できるみたいな感じになります。
ユーザーは意外なコンテンツを持ってくる
GyazoやScrapboxはソフトウェアが動的な上に、さらにユーザーコンテンツが加わる。そういうUI作りというのはけっこう苦労したのでは。
デザイナーはみんな無意識に格好いいコンテンツを使ってモックアップを作る癖があると思うんです。そういうものを使って実装物を作ってしまうと、実際にユーザーがキャプチャしてくるコンテンツってぜんぜん違うんですね。ほんとに恰好悪いものだったり、回りが真っ白なものだったり、真っ黒だったり、想像のつかないコンテンツが上がってくる。最初はそういう実装物とデザインしたものの誤差にびっくりして、すごく苦労したんですけど、できるだけ実際の本番に近い状態でデザインするように心がけるようにしてからは、だいぶその誤差が埋まりつつあるんじゃないかという気がします。
##デザインの具体化に軸足を置く
建さんは前職はエンジニアでしたね。その前はデザイナーだった。自分の専門分野というのはどのように考えていますか。
ぼくはデザインするのが楽しいとか、エンジニアリングするのが楽しいというよりは、先に作りたいものがあるんです。それを作るためにはどういう手段を持っていればいいのかというところから始まったので、こんな感じになった気がします。
前職でも、たとえばプロダクトデザインをやっている時に、5年後、10年後の携帯電話のデザインをやりましょうという仕事がたくさんあったんですけど、デザインをやって終わりというケースがほとんどで、それを現実化するための仕組みは用意されていないんですよ。デザインをやりながら物を実際に作ってみせるということをやらなければいけないと思って進んできました。
今後の方向性は。
ある程度、自分が深めたいところに軸足を置く必要はあるという気がします。その軸足というのが、ぼくの場合はデザインの具体化みたいなところ。モックアップを作ったり、それを実際に見て判断してもらう。いいデザインを技術的に可能なものとして表現するというところにフォーカスして仕事している感じですかね。
すべてのデザイナーはコーディングを覚えるべしということですね。
体験してみるべきだとは思います。さっきのたとえで言えば、レシピを作ったら、やっぱり料理したいと思うじゃないですか。これを作って食べてみたい。その感覚とまったく同じ感覚で、ぼくは実装した時の楽しさを味わっています。
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