能登半島地震・奥能登豪雨 復興にむけて、いまできることを考える|能登半島ボランティア活動・ノベルティ購入レポート vol.1 | 株式会社ワンパク
2024年1月1日に発生した能登半島地震、さらに9月に発生した奥能登豪雨により被災された皆さまへ、心よりお見舞いを申し上げるとともに、亡くなられた方々のご冥福を心よりお祈りいたします。2024年...
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こんにちは。ワンパク エンジニアの鈴木です。
「能登半島ボランティア活動・ギフト購入レポート vol.1」では、ワンパクのメンバーがボランティア活動に参加することになった経緯や能登の現状についてお伝えしました。
今回は、ボランティア活動の流れ、現地で実際にどのような支援をおこなったのか、そして現地の方々との交流を通じて見えてきたことについて、具体的な体験談を交えてお話ししたいと思います。
※ 所有物などの写真は住民の方から許可をいただいた上で撮影しています。
ボランティア1日目はあいにくの雨。
金沢駅に朝の10:00に集合し、レンタカーを借りてボランティア拠点へ向かいます。
金沢駅に集合
道中のスーパーマーケットに立ち寄り、カップ麺や即席味噌汁、野菜ジュースなど災害NGO結の「ほしい物リスト」に載っていた支援物資を調達。その後、七尾市奥原町にある『洋食屋レストGorge(ゴルジュ)』にて腹ごしらえです。
地元の方が集う洋食屋さん「レストGorge」
そそり立つエビフライが特徴の日替わり定食
メニューの種類が豊富で何を頼むか迷いましたが、スタッフが頼んだのはボリューム満点の日替わり定食。
大満足の美味しさで、ボランティアに向けてより一層士気が高まりました。
このように、現地にはしっかり食事できるお店が営業していますので、ボランティアに行かれる方は安心して活動に臨んでください。
ランチを終えた後、約20分ほど国道249号を北上し、今回お世話になる『災害NGO結』の拠点である「にしぎしベース」に到着しました。
この拠点は、七尾市のご厚意により旧西岸小学校を利用して運営されています。
『災害NGO結』 代表の前原土武さん
拠点で説明を受けているワンパクメンバー
まずはじめに、阿部が今年5月に能登半島の各地の状態や、ボランティア活動の状況について話を伺った、『災害NGO結』 代表の前原土武さんから、被災地の復興状況と『結』の活動内容について説明を受けました。
『結』は、国内で災害が発生した際、迅速に現地に駆けつけ、被災地への初期段階の支援を行うことで、その後の復興がスムーズに進むよう「0→1」のプロセスをサポートしているNGO団体です。
能登半島の各地にスタッフが滞在し、日時で必要な支援を把握した上でボランティアや専門チームを適切に調整して、水害や土砂災害などそれぞれの状況に応じた物資や人材を派遣することで、被災地が自立して動き出すきっかけを提供しています。
主に以下のような活動をされています。
「助かった”もの”を救う」という活動理念を掲げ活動されています
お話を聞く中で震災によって直接亡くなった方よりも、「被災後に亡くなってしまった方の方が多くいらっしゃる」という事実があることを知りました。それを防ぐために「助かった”もの”を救う」という活動理念を掲げて『結』は活動をされています。
日ごとに変わる現地のニーズに合わせたボランティアの派遣、生活再建に向けた手伝いや物資の提供など、被災者の生活を少しでも早く安定させるためのサポートを行い多くの被災者の支えになっています。
そのような『結』の活動内容、ボランティア活動の注意点などを教えていただき、早速、ボランティア活動場所に出発しました。
石川県輪島市町野町にある唯一のスーパーマーケット「もとやスーパー」
1日目にボランティア活動で訪れた場所は、支援物資配布・炊き出しの拠点である『もとやスーパー』です。
もとやスーパーは2024年1月1日の震災直後から地元の方々を救うために、炊き出しやサポートをおこない、心の拠り所となった場所です。
9月21日の記録的豪雨の影響によって休業を余儀なくされてしまいましたが、店舗スペースを支援物資の保管場所として提供しています。
「組手什」を組み立てるスタッフ
建物内には多くの支援物資が保管されていましたが、ブルーシートの上に直接並べられているため、スペースを圧迫している状況でした。
そこで、物資を整理・収納するために、釘やネジを使わずに組み立てられる「組手什(クデジュウ)」を使って棚を作成しました。
組み立て作業は初めての挑戦で、パーツ同士の差し込みがうまくいかず苦労する場面もありましたが、現役の大工さんの丁寧な指導のおかげで、スムーズに作業を進めることができました。
棚が完成し、床一面に広がっていた支援物資が綺麗に収納されると、空間が驚くほどスッキリしました。
その光景を見ながら、各地から届けられた支援物資の数々に、多くの方々の優しさや思いやりの気持ちを強く感じることができました。
完成した棚
棚に整理された支援物資
作業を終えたところで、もとやスーパーの右手に設置されている炊き出し・カフェスペースで紅茶とカステラを振る舞っていただけることに。
その際、近隣住民の方々に「ここへはどのような目的でいらっしゃったのですか?」と伺ったところ、「話をしに来ているだけです。ここでみんなと話していることが楽しい」と笑顔でお応えいただきました。
その一言には、被災後の不安や孤独感の中で、誰かと話すことの大切さが詰まっているように感じられ、ボランティア活動は力仕事だけではなく、被災された方々とのコミュニケーションを通じて心を支えることも、欠かせない役割であると改めて実感しました。
作業終わりに近隣住民の方と会話するメンバー
そして現在、もとやスーパーは冬に入る前に地元の人々の生活支援の拠点となるために、2024年11月30日に営業を再開しています。
さらに、新たな動きとして、もとやスーパーを能登の復興拠点にするためのクラウドファンディングもおこなわれていますので、ぜひ支援頂ければ幸いです。
2日目は朝から夕方までボランティア活動をおこないました。
午前6時に起床し準備を整えて、活動場所である農家のお宅に向かいました。
ボランティア1ヶ所目は輪島市門前町にある農家のお宅です。
2024年1月1日の地震で建物の地盤が40cmもずれてしまい、全壊判定となってしまいました。しかし、建物の解体を依頼するためには家財の撤去が必要で、作業が進められない状況の中、高齢な家主さんと息子さんの二人ではどうにもできずに、『結』に支援を求めたそうです。
とても立派な家屋
今回の作業では、大型の家財を家屋からいくつか搬出しましたが、中でも特に大変だったのが想像を超える大きさの仏壇を納屋へ運び入れる作業でした。
私たちは引越しのプロではなく、専門的な運搬方法に詳しいわけではありません。しかし、「誰がどこを持つか」「どの角度や順序で運び出すか」などの搬出方法をメンバーと事前にしっかりと話し合い、段取りを確認した上で慎重に作業を進めました。
仏壇の運び出し開始
仏壇を軽トラックに載せて納屋へ移動
納屋は天井が低いので仏壇が傷つかないように慎重に運び入れる
「大切な仏壇を傷つけるわけにはいかない」そう言った緊張感の中で、皆が声を掛け合い一丸となって、無事納屋への移動が完了しました。
他にもタンス、食器棚、ベッドなど全ての大型家財を納屋に移動し、こちらでの作業は終了しました。
この搬出作業のボランティアにより、家の解体依頼が可能となり、農家のご主人からは「ようやく一歩前進できました」と安堵と感謝の声をいただきました。
無事に納屋へ移動できました
最後はお宅の前で写真を一枚
搬出のプロではない我々なので運び方に迷うところもありましたが、ボランティアに来たメンバーでチームワークを発揮し、家主さんの期待に応えられて大きな達成感がありました。
2カ所目の活動場所は、輪島市門前町のお宅です。
9月21日に発生した記録的豪雨による川の氾濫で床上浸水の被害を受けたとのこと。今回の作業は、その浸水によって溜まった泥の掻き出し作業になります。
床下にまで侵入した泥をスコップで掻き出す作業を、20名ほどで分担しておこないました。
泥は水分を含んでおり非常に重いのですが、泥が乾いてくると硬くなりより作業が難しくなるため、今の時期が勝負とのこと。皆で必死になって掻き出しました。
掻き出した泥は、テミと呼ばれるちりとりのような道具に乗せ、リレー方式で屋外に運び出します。
床下の木枠(根太)同士の間隔が狭く、スコップがギリギリ通る状況で重い泥を掻き出すという作業は想像以上に大変でしたが、全員が協力し合ってかなり綺麗な状態にすることができました。
根太の間から床下に溜まった泥を掻き出す
皆で協力して作業進行中
バケツリレー方式で泥を屋外へ運び出します
家の目の前は、川の氾濫の影響で流された土砂や流木が未だ残り続けている
全ての作業を終えた後、家主さんとお話をする機会がありました。
今回の水害は、9月20日に地震で壊れた屋根の修理を終え、瓦をすべて載せた直後の翌日、9月21日に起きたそうです。
被災当日、家主さんと奥様は川の氾濫に巻き込まれそうになり、近所の家の2階に這い上がって命からがら避難されたと伺いました。
現在も流木が残る状況を目の当たりにしながら、その凄まじい水害の影響を改めて感じました。
家主さんにとって初めてのボランティアによる支援だったとのことですが、「本当に助かりました」と感謝の言葉をいただき、支援の意義を実感しました。
このように被災されて困っている方はまだまだ多くいらっしゃるため、今後も継続的な支援をおこなっていきたいと感じました。
作業を終えて皆ドロドロに
能登半島の各地ではまだまだ支援を必要としています。
特にこれからの冬の時期はボランティア人数が減少する傾向があるため、『結』のトムさんは「春に種まきや苗付けができるように年内で田んぼや畑の泥をかき出しておかなければ、現地の方々の心が前向きにならない。この時期こそ力を貸してほしい」とおっしゃっていました。
今後、ボランティア参加を検討されている方へ、今回の経験をもとに注意点や心構えなどを共有できればと思います。冬場は寒さや天候の影響もあるため、万全の準備をして参加してください。
装備のご参考に
以下のような装備を準備していただくと良いです。
なお、ヘルメットや他の装備も必要に応じて『結』で貸し出しています。
ボランティアの際は以下のような配慮が大切です。
この記事をご覧になっている方の中には、「ボランティア支援をしたいものの、何から始めれば良いか分からない」という方もいらっしゃるかと思いますが、『結』のような復興支援のプロを頼ることで初めの一歩を踏み出すことができます。
また、地震や台風被害は毎年各地でおこっています。みなさんの住んでいる場所が、いつ災害に巻き込まれるのか分かりません。もし被災すればボランティアの方々に助けてもらうことになる可能性のあることを想像してみてください。
最後に繰り返しになりますが、能登の復旧、復興はまだまだ続いていきます。ボランティア、物資支援、能登半島の観光、どんなかたちでも良いので、みなさん、一人一人が出来ることを考え、行動してもらえれば幸いです。
次の記事では、デザイナーの塩屋が能登でのギフト購入の様子についてご紹介します。