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クルージングヨット教室物語47

Photo by Buddy Photo on Unsplash

「瑠璃ちゃん、そっちのお野菜を切ってくれる」

麻美子は、ギャレーで瑠璃子に料理の指示を出していた。

新島の街からヨットに戻って来たラッコのメンバーたちは、キャビンのギャレーでお料理大会を始めていた。隆までもが、お米を洗って、お鍋で焚いていた。

新島のお魚屋さんで買って来たお刺身を中心に、アラ汁を作ろうということになったのだった。

アクエリアスのメンバーたちは、ラッコのメンバーのお料理が作り終わるまでの間、ラッコのパイロットハウスのメインサロンでお酒を飲みながら、先に宴会を始めていた。

「雪ちゃん、飲んでる?」

「いただきます」

ラッコのメンバーの中で、雪だけが夕食の料理はせずに、アクエリアスのメンバーたちと一緒に、メインサロンに座って、アクエリアスのお酒の相手をしていた。

「さあ、夕食ができましたよ」

麻美子が2つの大皿にそれぞれ盛り付けたお刺身とアラ汁をメインサロンの皆が飲んでいるテーブルの前に出した。もう1つの大皿は、パイロットハウス一段下のダイニングサロンに出した。

人数が多すぎて、全員が一緒にメインサロンのテーブルで食べるのは無理なので、メインサロンの方でアクエリアスのメンバーと雪、残りのラッコのメンバーがダイニングサロンで食べることになった。

「麻美ちゃんは、飲んでる?」

麻美子は、アクエリアスのメンバーに呼ばれて、お酒の入ったコップを持って、雪の隣の席に座って、アクエリアスのメンバーたちと一緒に夕食を食べることとなった。

隆は、ラッコのオーナーなのに、アクエリアスのメンバーとの飲みは年長組の麻美子と雪に任せて、ダイニングサロンの陽子の隣の席で、夕食を食べていた。

ダイニングサロンのサイドに付いている棚の扉を開くと、その中に、先週、ヤマダ電機で買って来たばかりのテレビが設置されていた。一緒に置かれていたリモコンのスイッチを入れると、テレビの電源が入って、地上波の放送がきれいに映っていた。

「ちゃんと、スプレッダーに付いているアンテナが機能しているじゃん」

ちょうど日曜の夜で、テレビではサザエさんを放送していた。

「おっ!こちらはサザエさんを見ながらの夕食で、家で食事している時のような食事風景だな」

フォアのトイレに立って、帰って来た中村さんが、サザエさんを見ながら食事しているダイニングのメンバーたちに話しかけた。

「上の人たちも、テレビを見るのならば、パイロットハウスのナビのモニターにテレビ機能が付いているので、それを点けたらテレビを見れますよ」

隆が、中村さんに伝えた。

「いや、いらないでしょう。上の連中は、皆お酒を飲むのが中心だからテレビなんか見てないよ」

中村さんは、隆に答えた。

「食事も終わったし、花火しに行くか」

隆は、瑠璃子に聞いた。

「うん、行こう!」

瑠璃子の手には、既にさっき新島の店で買って来た花火を持っていた。

「ちょっと待って、食べ終わったお皿だけ洗ってしまうから」

「お皿洗うのは後でいいよ。花火から帰って来てから洗おう」

隆は、陽子に言った。

それから、ダイニングにいたメンバーは、キャビンを出て花火をしに出かけた。

「火事にならないように、バケツに海の水をすくっておけよ」

隆は、瑠璃子に声をかけた。

花火しに出かけたといっても、自分たちのヨットを停泊している漁港の岸壁の目の前で、そこの場所で花火をしようということになったのだった。

バケツに海の水をすくって、空きボトルに打ち上げ花火を差して、火を点け打ち上げた。

「タマヤー!」

メインサロンでお酒を飲んでいたメンバーも、いつの間にかラッコのデッキに出て来て、そこから瑠璃子たちの打ち上げている花火見物をしていた。

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