「VR環境における自然なユーザ体験を妨げない視線誘導手法」の研究
私の研究テーマは「VR環境における自然なユーザ体験を妨げない視線誘導手法」です。VRでは、制作者が見てほしいものを体験者が注目するとは限りません。VR環境で視線誘導する手法は既にありますが、どれも表現として自然に組み込む工夫が制作者に必要となるものや、VRによるユーザ体験を妨げるものになっています。そこで私は、視線誘導のために制作者の表現を制限することなく、またユーザ体験を妨げない視線誘導手法の提案を目的として研究を始めました。現在は、誘導先以外の領域を徐々にぼかしたり、徐々に彩度を下げていく手法と、誘導先の明度や彩度を徐々に上げ、ユーザが誘導先を注目する時に変調を止める手法に着目し、検証実験の準備を行っています。 また、HMD上でのユーザの視線の新しい再生手法についての研究にも取り組んでいます。視線追跡機能が搭載されたHMDの登場により、VRコンテンツ視聴時のユーザの視線を記録し、そのデータの再生、可視化が可能となりました。しかし現状の手法は視線位置を表す点の表示や、視線ヒートマップなど、視線位置を見づらくしています。そこで、視線位置以外の領域を変調することでユーザの視線位置を再生するシステムの検討を行っています。システムの活用方法に合わせ、変調手法やパラメータを変更し、新たな再生手法の提案を目指しています。私はこのシステムを、単なるユーザの視線の可視化のみならず、VRコンテンツ体験中のユーザの視線の追体験システムとしての活用の可能性も探っていきます。