医療マンガ大賞2023部門賞
医療マンガ大賞とは、「難しい医療情報をマンガで分かりやすく伝え、医療への関心を高めること」を目的として横浜市が主催している取り組みです。 応募者は、すでにテーマとして用意されたシナリオをマンガ化して応募する形式です。 私は「ホンネと科学的な正しさと」というSNSと医療リテラシーを取り扱ったテーマを選び、マンガ制作をしました。 制作時は、「これを文章ではなくマンガで伝えることのメリットは何か?」を考え制作しました。 個人的にはマンガ表現のメリットは、主に以下2点だと捉えています。 1)視覚表現ができること 2)キャラクターの心理状態を追体験することによって共感を高めること 一方、用意されていたシナリオ表現の課題は以下であると感じました。 1)SNSで起こっている現状(正しい医療情報がどれかわからない)が分かりづらい 2)登場人物のキャラクターが見えてこないために共感しづらい。 そのため、シナリオの内容をマンガに書き起こしただけでは、医療リテラシーという重要な問題を読者に自分ごととして受け止めてもらえないと考えました。 そこで、それぞれ以下のような工夫を追加しました。 1)SNSで起こっている現状の表現について SNSの表現をスマホ画面の描写だけで終わらせるのではなく、モンスターや無数の階段でできた心象風景にすることで、読者に直感的に不安や困惑の気持ちを伝えた。 2)登場人物のキャラクターの共感について ・医師が診察について反省するシーンを夜の自宅にすることで、一人の人間という身近な存在に見えるようにした。 ・シナリオにはなかった「ネットで見つけたストレッチを試して怒られるかも…と身構える」シーンや、患者の職業に言及するシーンを追加。 これらの工夫によって、シナリオだけでは伝わりにくかった部分を表現でき、医療リテラシーという重要な問題を読者に伝えられたのではないかと思っています。