「教育」を深める
これまで主にボランティアという(任意参加のため、ある種責任が伴わない)立場で、1日ないし数日の単発的なプログラムに携わってきました。しかし、ここでは「仕事」としての責任を持ち、1年半という長期的なスパンで生徒と関わることで「教育」への視座を一段階高めることができたのではないかと考えています。中でも、結果を想定しながらすべての言動に意図を持つこと、生徒をよく観察し、今後の変化のロードマップを引いた上で関わるという姿勢は、大きな学びでした。 町営塾「じゆうく。」には「19歳、未来が動き出す。」というスローガンがありました。それは生徒が高校(ないし塾)を卒業して1年後、自分の人生を、自分の軸と行動で切り開いていくことを意味します。そうした大きな目的に沿って考えると、例えば「親が地元で就職しろと言うからその通りにする」という生徒、「先生に無理だと言われたから大学は諦める」という生徒に対して、どんな関わりが彼らにとっての「19歳、未来が動き出す。」に繋がるのか、意図をもった行動が必要です。自分の体面を気にして生徒の言葉を100%肯定するのではなく、時には、直前までE判定で大学合格した自分の経験を伝えたり、現実的な勉強方法を徹底的に調べて提示したり、本当に納得しているのかを問い続けたり、「自分では生徒の心に響かない」と判断した際には他のスタッフや外部の適切な方に面談を依頼したりと、共通の目的を見据えてその時々で判断と行動を重ねてきました。こうして、これが本気で「教育」に関わることであると、何度も失敗しながら、(まだまだ未熟ではあるものの、)少しずつその感覚を得られたのではないかと思っています。