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デブサミ2018関西で「LINE Bot導入事例」について話してきました

Developers Summit 2018 KANSAI(通称デブサミ関西)が9月28日(金)に神戸国際会議場で開催されました。

今回は、スピーカーとして「LINE Botの導入事例」を話す機会を頂いたので、その内容を紹介しようと思います!

テーマ「未来をはじめる」

今年のデブサミ関西のテーマが「未来をはじめる」ということで、僕にとっての「未来」とは何か?
考えてみました。

iPhoneが誕生して10年、
スマホの普及によってトレンドが「Web Interface」から「Mobile Interface」に移り変わりました。

これにより多くのネイティブアプリが誕生して、その中でもモバイルと相性の良い位置情報やカメラを軸にした有名なサービス(Google Map, Instagramなど)を多くの人がインストールしていると思います。

そこで、次の10年はどんなインターフェイスが来るのでしょうか?

会話型インターフェイス

僕にとっての「未来」は「Conversational Interface(=会話型インターフェイス)」ではないか、と考えています。

「AI」「Chatbot」「IoT」「Smart Speaker」「RPA」「XR(VR / AR / MR)」

これら近年のトレンドと「会話型インターフェイス」がとても相性良く。これらのコアとなりうる可能性を秘めているからです。

「AI」(なかでも「NLP(Natural Language Processing = 自然言語処理)」の分野)が牽引することによって、「Chatbot」「Smart Speaker」でヒトが入力したテキストや音声データをデジタル領域で理解する処理能力が大幅に成長しています。

自然言語処理の代表サービス
・Apple - Siri
・Google - Google Assiatant, Dialogflow
・Amazon - Amazon Alexa, Amazon Lex
・IBM - Watson
・Microsoft - りんな, Cortana

テキストや音声というインターフェイスを通して、「IoT」化された家電には従来のリモコンが必要なくなるかもしれませんし、「RPA(Robotic Process Automation = ロボットによる業務の自動化)」が進んだ社会ではヒトと会話している感覚でデジタルレイバーに対して「会話型インターフェイス」を通して指示を出しているかもしれません。「XR(VR / AR / MR)」によって物理キーボードが無くなる未来もそう遠くないでしょう。

というわけで、今回のセッションでは僕が思う未来「会話型インターフェイス」をはじめるというテーマで、「ChatBotの導入事例」の話をさせてもらいました。




ところで、なぜ農業なのか?

京都で野菜の宅配サービスを手掛けている坂ノ途中さんとご縁があったのが、キッカケです。

坂ノ途中
百年先もつづく、農業を。坂ノ途中は、無農薬・無化学肥料・有機栽培など、環境負荷の小さな農業の普及を目指す野菜提案企業です。野菜の通販宅配をはじめ、農業を未来につなげるためのさまざまな活動を行っています。
https://www.on-the-slope.com/

坂ノ途中さんと時間を過ごす中で、野菜の流通フローのある課題が見えてきました。

まず野菜の流通フローを大まかに示すと、《農家→流通業者→消費者》となっています。

最近スマート農業と呼ばれるIT導入(ここでも「AI」「IoT」がトレンド)によって、生産工程の効率化や生産量増加への取り組みが少しずつ出てきています。

機械学習(TensorFlow)を活用したキュウリの等級判定

流通工程の課題

しかし、いくら上流の生産工程が進歩しても、流通工程の部分が追いつかないとボトルネックになり、供給過多になる可能性があることが分かりました。

実際、バイヤー(坂ノ途中さん)から出てきた課題を挙げさせてもらうと、
・毎週、50件以上の農家さんから受け取った出荷情報を受発注システムに全て手入力している。
・日々電話での対応も多く作業時間が奪われている。今後取引農家件数が増えるとボトルネックになる可能性も。

そこでこれら解決のため、以下を提案させて頂きました。
・出荷情報を手入力なしで受発注システムに登録できるインターフェイスを用意する。
・農家さんとバイヤーが非同期にコミュニケーションがとれるツールを導入する。

ソリューションとしては、農家さんには日頃から使い慣れている「LINE」とバイヤー側は業務で使っている「Slack」を繋げてコミュニケーションをとる+「Bot」で出荷情報を登録してもらうように進めました。



UI/UX設計

今回の重要な設計ポイントは、「農家さんに簡単で使いやすいインターフェイスを用意して、出荷情報を登録してもらうか?」でした。

入力してほしい出荷情報は、野菜の{ 品目 / 品種 / サイズ / 価格 / 数量 / 出荷可能日 }

{ トマト / 桃太郎 / 1玉200g / ¥100(税抜) / 50玉 / 月,木 }と入力してもらいたいのですが、
実際は、「来週もうちのトマト、月木50玉出せるよー」と簡略化されたやり取りが行われていました。(品種や価格などは一度聞いたら変更することが少ないため)

ということで、「いかに一度入力してもらった内容を省略できるか」が肝となりました。

「会話型インターフェイス」をテーマにしているので、当初はLINEのトーク画面上で「対話形式の入力」を考えていたのですが、肝となる入力省略が難しかったため、最終的には「Webフォームで入力」する設計になりました。

ただ、よくある縦並びのWebフォームではなく、「対話形式のWebフォーム」にデザインしました。(この発想のヒントをくれた弊社フロントエンドチームには感謝デス👏)

 アーキテクチャ

・Ruby on Rails
・Vue.js
・MeCab
・Heroku

「Vue.js」は 、LINE内のWebViewでフォームを表示するので、「SPA(Single Page Application)」にして動作をシームレスにする目的で利用しました。

「MeCab」は、あまり馴染みがないかもしれませんが、形態素解析エンジンです。
{ ほうれん草 / ホウレンソウ / 法蓮草 }などのユーザー入力のブレを統一するために利用しました。


導入後の反応

当初は、農家さんがITリテラシー低いのでうまく回らないのではないか。
という意見も頂きましたが、使い方が分からない等のトラブルも無く、すんなり導入することに成功しました!

成功した要因としては、坂ノ途中の取引農家さんが新規就農した若めの方が多いということや、YouTubeにチュートリアル動画をUPしてLINEのトーク画面上で確認しながら作業できるように工夫しました。

出荷情報の登録に加えて写真で出荷品の状況を共有してくれたり、栽培ノウハウの共有の場としても活躍しています!

以上が今回話した内容となります。

「会話型インターフェイス」は発展途上の分野なので、ぜひ皆さんもいろいろ触ってみて盛り上げていきましょー!

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