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THE YARUKI SWITCH'S EPISODE

#01 「先生、手を握って」

とある教室に父子家庭の女の子が通ってくれていました。
かれこれ3年以上通ってくれています。

講師の私が授業担当の日。
彼女が暗い顔をして教室のドアを開けました。
ただ事ではなさそうだったので、「なんかあった?」と聞きながら席へ座らせました。

すると彼女は一言。
「先生、手を握って」
私は黙ってその子の手を握りました。
その間、その子はハラハラ静かに涙を流していました。


5分以上が経ち、「話したい?」と尋ねてみました。
「話した方が楽なら話して。聞くことしかできないけれど。
でも、無理には話さなくていいよ」
その投げかけに、その子はしばらく考えてから、
「友達のことなんだけれど、話しても何も変わらない。
だから、話さないけれど、このまましばらく手を握っていて。」
そのまま20分、私は黙ってその子を手を握り続けました。
すると、「少し落ち着いた。勉強できそう。」
と少しすっきりした表情で彼女は言いました。

今でも嫌なことがあると時々「手を握って」と言われます。
本当に1,2分の時間なのですが、心が落ち着くようです。

後日、お父様から
「ここでは、勉強以上のものを与えて頂いているので…」
と言って頂きました。
お父様も私と話しながら、目にいっぱい涙を溜めていました。

これからも勉強だけではなく、彼女の心の居場所を作ってあげたいと思っています。


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