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“現状を疑って採用を変える” 人事未経験だからこそ実現できた、ゼロベースの採用業務効率化

入社後、人事として採用活動を任された小林様。それ以前に、人事に関連する仕事はもちろん、アグリコネクト株式会社(以下、アグリコネクト(株))が携わる農業やコンサルティングなどの分野に関わる経験も一切なかったと言います。しかしながら、「ちょっと違うのでは?」というシンプルな違和感をそのままにせず、メスを入れて行ったことが会社全体の採用活動のボトムアップにつながります

今回は、現状に甘んじることなく、未経験だからといって尻込みすることもなく、人事としての「最適解」を目指し続けた小林様のあり方について伺いました。

小林様:
気づいたらこうして人事になっていました(笑)。新卒以来、イベントプロモーター、オーストラリアへのワーキングホリデー、専業主婦、そして専門商社でのアシスタントとやってきて、アグリコネクト(株)に転職するなんて本当に想像してもみなかったです。それでも入社したのは、大学時代のバンド仲間の紹介だったこともあるし、引き合わせてもらった社員・役員のみんなが熱い想いを惜しげも無く語ることに、いい意味で大きなショックを受けたからこそ。いままでそうした組織に出会ったことはなかったんです。

アグリコネクト(株)様のWantedly実績プロフィール

- Wantedly経由採用実績:24人
- 採用ポジション:戦略コンサルタント、コンサルアシスタント、Webメディア編集者、メディア事業ディレクター、ライター
- Wantedly利用期間:約2年7ヶ月(※2019年6月時点)
- 運用担当人数:1人
- ご担当者様が感じるWantedlyの特長:Wantedly経由メンバーの入社後のパフォーマンスが高い(ビジョンの共有ができるのでミスマッチが少ない)、その他(幅広い層にアプローチできる)

小林様の自己紹介プロフィール

- 入社時期と入社理由:2017年11月入社。学生時代、フィリピンの里子訪問をきっかけに「働く」について関心を持ち、大学法学部で国際労働法を専攻。ILO(国際労働機関)を通じ、カンボジアにて児童労働の実態を研究。労働条件や生活水準改善のための取組みの必要性を強く認識。日本の農業界においても、より良いディーセントワークを目指したいという思いから、アグリコネクト(株)へ入社。
- 入社から現在まで:人事・労務・広報を主としたコーポレート業務と、ときどき社内イベント企画担当とを兼任。入社1年目はとにかく採用活動に明け暮れ、組織のメンバー集めに従事。2年目に入った現在は、集まったメンバーと共にチーム力を強化するフェーズに突入している。組織・チームとしてのさらなる向上のため、環境や仕組みづくりに日々奮闘中。習得したノウハウで、ゆくゆくは農業界、社会に貢献していきたいと考えている。
- 座右の銘:ワーク・ライフ・シナジーを極める!

人事経験ゼロだからこそ、たくさんあった採用の「なんとなく」を徹底的に見直せた

こんな人たちと働けたら楽しそう、と心動かされた彼女は人事として同社の一員に加わることになります。所属するコーポレート部は3人体制で総務、労務、経理、法務、財務、人事を一手に引き受ける多忙な部署。当時同様、現在も人事・労務・広報を兼任しています。

小林様:
人事経験がなかったので、まずは今までのやり方を真似するところから始めました。そうしたら、素人目から見てもまだまだできることがたくさんありそう!という箇所がいくつも見えてきたんです。その最たるものが、紙面での情報共有でした。紙(履歴書、評価シート、説明会アンケート、職務経歴書)ですから管理がしにくくて、選考の度に何度も出力し直すこともしばしば。

そんなに昔の話ではなく、つい最近の、2017〜18年くらいの話です。エクセルの管理シートはありましたが更新漏れも頻発していましたし、5段階で評価判定することは決まっていたものの、判断軸や判定する項目が決まっていないなど、仕組みがざっくりでした。もう、とにかくできることから変えていかなきゃと思いましたね。

現状に危機感を覚え、早速紙作業を撤廃し、無料のオンライン管理ツールを導入。さらに、スケジュールの調整や評価軸の確立、利用する採用媒体の絞り込みなど、小林様なりの「採用への近道」を整備していくことになります。

小林様:
採用候補者と社内の面接官それぞれの調整を行うにあたって、あらかじめ複数の候補日をもらう人とこちらから日時を提案する人とを分けて、日時調整するようにしました。ありがたいことに、1日3〜4人からの応募はコンスタントにあったんです。

また、目的が不明瞭な面接や面接内容の重複を避けるために評価軸と評価項目を設け、愛嬌があるか、素直さがあるかの2軸で各項目をふるいにかけるようにしました。私が仲介しなくても採用が進むよう、面接官に評価入力まで完了してもらい、次の面接官も簡単にデータにアクセスができるようにしました。

また、面接の通過が確定したら、その場で次の面接日時も調整してもらうように社内の採用体制を変えました。チーム全体の効率を改善させるために、周りの人たちに協力してもらって一つ一つのプロセスを見直してきました。

小林様:
数十社利用していた採用媒体や人材紹介会社もまた、「なんとなく」繋がっているだけで、使いこなせていないことが見えてきたので、実際に使う採用媒体を絞り込みました。おおよそ3〜4ヶ月の効果測定期間で、各媒体の有用性を計測したんです。

選別する基準は、運営会社の特性をはじめ、媒体担当者と適切なコミュニケーションがとれているか、媒体に集まるユーザー層と弊社で求める人物像が合っているかなど。お金や時間、労力をかけて採用ゼロなんて媒体もありましたから、コストパフォーマンスの面から見るともったいないことですよね。

社外の性格分類研修を受けていたので、Wantedlyでも活用することに

業務仕分けのように社内の非効率なプロセスを改める反面、活用の余地があるものはどんどん採用に取り入れていきました。そのひとつが、外部研修で全員が受講していた性格分類の導入です。

小林様:
知っている人も多い「ソーシャルスタイル(ドライビング/エクスプレッシブ/エミアブル/アナリティカルといったコミュニケーションの分類法のひとつ)」を親しみやすくしたものがありまして、ゴリラ(=調和・秩序を重視)、オランウータン(=論理・納得を重視)、チンパンジー(=勝利・革新を重視)、ボノボ(=共感を重視)と分類しています。

自然界に存在する大型猿人類はこの4種類だけで、しかも、それぞれの性質は同じようにそれぞれの性格分類に当てはまると言われています。それぞれの判断は、感情を表に出す/出さない、革新的/保守的の2軸の組み合わせです。

入社後に全員が受けていた研修なのですが、せっかくなので、入社前からこの性格分類と求めている人物像(ポジション)とを掛け合わせて、採用にも活かすことにしました。共感でつながり、比較的自由な打ち出しができるWantedlyだからできる取り組みだと思っています。この取り組みを始めてから、社内の人と情報共有するときにイメージのすり合わせがしやすくなりましたし、採用してみたらちょっと違ったかも……というお互いに不幸になるシチュエーションが大幅に減りました

どういった伝え方がそれぞれの対象に響くかの知見も溜まり、ターゲットに向けた情報発信もしやすくなりました。例を挙げると、オランウータンに向けた募集ページであれば、入社後どんな変化があるかを数字的に示したり、どんなキャリアを積めるかを論理的に明示したりします。他方、チンパンジーならば、アイディアやカリスマ性を発揮してどんどん新しいことに挑戦できる環境について説明し、私たちも熱量をもっていることを伝えるような文面がより反響を呼ぶでしょう。

より精度を高めるために、書き終わった募集ページは社内のメンバーで、欲しい人材と同じ性格分類の人に読んでもらうことで微調整し、仕上げます。

チンパンジーに当てはまる候補者向けに書かれた実際の募集ページがこちら。「こんなことやります」ではチンパンジーに当てはまる社員様のインタビュー記事も掲載されている。

Wantedlyのメッセージは、押し付けがましくならないように

Wantedlyの自然応募に対するメッセージやダイレクトスカウトを送るときなど、プロフィールから性格分類がはっきりとわからない場合には、フラットな気持ちで、あなたが会社に入るとこんな良いことがありますよ、と候補者それぞれの視点から見た文章を書くように心がけているのだそう。決して、「〇〇な人歓迎」などといった、主語が採用する会社側である表現だけにならないように注意することがポイントだと言います。

小林様:
社外の友人にダイレクトスカウトの文面を見せた際に、押し付けがましくみえると指摘されて、これまでの文面を全面的に変えました。普段、口頭では楽しそうなのに文字にするとどこにでもあるような内容になっているよと。

他者からの意見を取り入れたダイレクトスカウトの効果はてきめん。現在、小林様の送るダイレクトスカウトの返信率は36.7%。取材当日までに154通中118通が開封され、そのうち56通に返信がありました。ターゲット別に効果的な内容を送りわけ、視点を変え、定型文ではない、その人だけに向けたメッセージがどれだけ魅力的に捉えられているのかがよくわかります。

小林様:
採用で求めている人物像については、「ペルソナ設計をしよう」とトップダウンで作ったのではなく、人事として何が良いかわからなかったのでとにかく採用の基準を設け、言語化していったところ自然と生まれたものでした。どんな人が欲しいかを聞いて、その条件を満たす人を獲得できているかどうかが、採用にとっての良し悪しだったんです。

何人兄弟の何番目とか、休日こんなことをして過ごしているなどの踏み込んだ設定も考えましたが、とはいえ、とにかく大事なのは、ターゲットに向けてちゃんと募集ページが書けているかに尽きます。対象が女性なのか男性なのか、年齢はどのくらいなのか。写真はどんな写真がふさわしいのか。小難しくペルソナを設定すること自体よりも、届けたい人に刺さる情報が表現されているかが大事なんだと思います。

とにかく、求めている要件とマッチしない方から応募が来てしまうとお互いに時間が勿体無いので、なるべく近道しようと思っていたらここにいたというのが事実です。

人事は直接の利益は生まない、でも採用で会社へのインパクトを生み出せる

適切な採用環境が整ってきてからは、実際に動いている選考プロセスそのものの改善に着手。小林様曰く、選考通過者は多すぎても、少なくすぎても一考の余地があるとしています。

小林様:
媒体、ポジション、月、選考フロー、応募とスカウト別に、どのプロセスで一気に絞られるか、もしくは絞られないかを数値データで追いかけています。あまりにも通過者が絞られる段階、たとえば、説明会には出るけれど本応募に進まない人が一定数以上いるというケースからは、説明会を申し込む段階で弊社のことを十分に理解していただけていないことが読み取れます。

一方、面接通過者が多すぎるならば、その選考フローがあまり機能していないことも見えてきます。もし、本当にいい人ばかり集まっているのであれば、人事としてしっかり仕事ができているということなので言うことなしなんですけれど(笑)。

そうではなく、その選考フローに納得する理由が見つからなければ、面接官や関係者に率直に意見を聞きに行きます。なにかわからないことがあるのか、やりにくいことがあるのかなど、人事側で善処できるのであればそれで解決しますから。

では、採用全体において、最適化と合理化に自然と意識が向いていく思考はどのように培われたのでしょうか。

小林様:
私個人ではなく、会社全体でチームとして動いている意識が強いんです。弊社のメイン事業であるコンサルティング部門ではコンサルタントひとりあたりの生産性を日々数字管理していて、それを隣で見ていると、そうやって稼いだお金を無駄遣いしないようにしなくてはと思うんです。人事は事業を回して会社に直接的な利益を出せるわけではないですから。人事だからこその喜びは、私以外のだれかが活躍して褒められているのを誇らしく思えること。本当に自分のことのように喜べます。その人の選考中の思い出が蘇ります。

人事の仕事は、マネージメント力・コミュニケーション力・営業力・信頼構築力・分析力・企画力などの様々なことを網羅してこそ前進できるものだと考えています。私自身が人間として成長していることを実感できてやりがいを感じられますね。

人事は売上には貢献できない特異なポジションではありますが、同時に、会社に貢献できるプレイヤーを発掘することで、会社へのインパクトを生み出すことができます。そのため、人事一人の働きは、ひとりのプレイヤーの貢献と同じくらい、会社全体の変化にダイレクトに影響するとも言えます。だからこそ、人事として独立しているのではなく、会社にあるリソースを最大限に生かし、一方でコストカットを進めることで、より大きなインパクトを生み出すことができるのかもしれません。

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