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【メンバーインタビュー】家と暮らしをクライアントと一緒に共同設計するデジタル家づくりサービス『』NESTING co-build フロントアーキテクトの仕事とは?

昨年6月、EMARF事業部のメンバーインタビューに登場した中西さん。今年1月からはNESTING事業部へ異動し、現在はフロントアーキテクト(設計担当)として活躍しています。どんなことを担当しているのか?改めて話しを聞かせてもらいました。
VUILD株式会社は『「生きる」と「つくる」がめぐる社会へ』をビジョンに5つの事業を展開し、テクノロジーの力で誰もが作り手になれる世界の実現を目指しています。NESTING事業部では、自分で設計し、仲間たちと「ともにつくる」をコンセプトにしたデジタル家づくりプラットフォーム事業、NESTING co-build(コビルド)を展開しています。昨年12月、香川県直島に1棟目が竣工。現在、2棟目となる住宅を栃木県那須町にて施工中。


【プロフィール】
中西朱理/一級建築士
1992年大阪生まれ。京都工芸繊維大学、大学院で建築を学ぶ。2017年に設計事務所に入社し、4年間こども園や保育園の設計に携わる。その後、ポルトガルのポルトに滞在しながら、サステナビリティの観点から参加型デザインや建設手法を学び、エコファームで自給自足の暮らしを体験して2022年に帰国。帰国直前に募集をしていたVUILDに惹かれて入社。EMARF事業部にてカスタマーサクセスを担当、今年1月、NESTING事業部へ異動、フロントアーキテクトとして奮闘中。

突然きまった異動

異動や兼務をしているメンバーもいないわけではないですが(中には自ら手を上げて希望するメンバーも)、それほど多い事例ではないと思います。中西さんの異動のいきさつはどんなものだったのですか?

中西:毎年やっていることなのかわからないですけど、去年の秋、(代表の)秋吉さんと面談があったんです。雑談も含め色々話した中で、これまでのキャリア、建築設計の中で私個人が興味軸として持っていること、そして、これからどんなことをしたいか?等、話したのですが、そうしたら、秋吉さんに「VUILD内で中西さんが最も活きる場はNESTINGなんじゃない?」と言われて、「そうか…、そうかもしれないですね!」とスムーズに話しが流れていって、それが異動のきっかけです。

中西さんは、VUILD入社以前は設計事務所でこども園や保育園の設計をしていたし、一級建築士でもありますね。フロントアーキテクト(設計担当)へ異動になって、経験とスキルを活かせる仕事に就いたんだなと思いましたが、今はどんなことをしているんですか?

中西:設計事務所での経験だけだとフロントアーキテクトに完璧にフィットする感じでもなかったと思うのですが、ポルトガルで勉強したことはみんなでデザインを考えて、みんなで建てるみたいなことだったので、両方あれば何かしら役立てそうかなと感じるものがあったのと、あと、やってみたかったんです。異動になるまでの間はEMARFの仕事も続けながら、少しずつNESTINGにも関わるようになって、今年1月に正式に異動になりました。

NESTING co-buildは、お客さん自身が主体となって設計から施工までを行うのがコンセプトの住宅サービスで、設計担当といっても従来の設計者の仕事の仕方とは少し違ったところがあります。以前勤めていた設計事務所では、お客さんの要望をヒアリングして設計者がプランにして提案する流れでしたが、NESTING co-buildの主体はあくまでお客さん自身で、お客さんが理想の住まいを自ら構想し、形にしていくことを目指しています。フロントアーキテクト(設計担当)は、お客さんが設計する建物が実際に建築として成り立つよう、さまざまにサポートしていきます。

現在、栃木県那須町で2棟目となるNESTING co-buildの施工中ですが、他に10組ほど、受注の前段階で相談を受けているお客さんがいらっしゃいます。お話しをお伺いしていて意外だったし面白いと思ったのが、NESTINGのお客さんは家を建てることをゴールにしているわけではないんですよ。それよりもっと先の自分たちの生活や活動に具体的なイメージや価値観をお持ちなんです。例えば、「自分で建てたNESTING co-buildをエコをテーマにした活動拠点にしたい」とか、「お料理教室を開いて、地域の人同士のコミュニケーションを図れる場にしていきたい」とか、「地域の人が集まるコミュニティスペースやコワーキングスペースとして活用したい」といった具体的な計画をそれぞれ持たれています。自分たちの生活の拠点としてだけでなく、やりたい活動の拠点としてもNESTINGを活用するつもりだと聞いて、最初すごく驚きました。

フロントアーキテクトの仕事

中西:一番始めにするのは、暮らしや生活に対するビジョンをどのように描かれているのかを伺って、お客さんが目指す理想の暮らし像へ目線を合わせていきます。それが一致したところで、ようやくそれに伴ったプランやスペースについての検討に入り、一緒に考えながら同時に具体的なプランに落としていきます。
ここはフロントアーキテクトならではなところですが、ヒアリングをしたら一旦持ち帰って提案を練ってということはなくて、打ち合わせの中で一緒に考えながら、その場でアイデアを形にしていきます。プランにするのに足らない情報があれば打ち合わせの中で質問やアドバイスで補いつつ、プランニングシートにまとめていきます。
プランニングシートがまとまったら持ち帰って3Dにして、これ以降は3Dを間に挟んで、更に詳細を検討したり詰めたりしていって、建物として成り立つようサポートしていきます。法規関連や申請書類の作成・提出のあたりは、お客さんのサポートと並行して私の方で解決するようにしていて、お客さんには「つくる・建てる」の部分に集中してもらいます。

敷地を一緒に見に行って「ここにこういうのを建てて、このあたりはこうなって…」と、お客さんが身振り手振りを交えて説明してくれるのを聞いてイメージを共有したり、オンラインでもできるんですが川崎に来ていただいて、顔を合わせながらプランを練ることもあります。先日はお宅にお邪魔して、ネスティングの形に合わせたグリット上の何も書かれてない図面と家具や備品のパーツユニットみたいなのを準備していって、ワークショップのように一緒に動かしつつ、空間イメージを図ってもらいながらプランの検討をしました。今はこんな感じで進めているんですが、もうすぐ「設計アプリ」がローンチするので、そうなると設計は更にスムーズになります。

こういうものがあればお客さん自身が自分の構想を設計に落として試してみたり、触りながら検討することも簡単にできますよね。
アプリは、設計内容を反映させていくと、それがボタン1つで3Dになるので、タイムリーに設計に応じた空間を確認することができます。同時に見積額がわかるので、例えば、もう少し予算を抑えたいとなった場合、修正を加えて、修正後の3Dと見積額がその場で確認できます。
ただ、アプリが完成した後もフロントアーキテクトがお客さんをサポートしていくこと、一緒に考えてつくっていくこと、それがリアルタイムであるというプロセスは変わらないです。

家も暮らしも、一緒につくっていく

設計者のやりがいというと、お客さんから依頼を受けて、その期待を越える唯一無二のデザインを考えて喜んでもらうというイメージですが、NESTING co-buildの場合、構造体・形状は規格化されています。部屋割り、設備位置、内装、仕上げ、外壁等は自由に設計できますが、そこはお客さん自身がするので、設計者として純粋な意味で造形力やデザインセンスみたいなところは発揮するところがあまりないんですね…。代わりにあるのは、唯一無二の暮らしをお客さんと一緒に考えて、カタチにしていくお手伝いをするメンターとか伴走者みたいな感じですかね。

こども園や保育園の設計をしていた頃、ここを使う子供たちと一緒にデザインできたらいいのにとか、なぜそうできないのか?などと考えてたことがあって、そのなぞを深めていったら仕事を辞めてポルトガルへ1年留学することになったのですが、そこで学んだのは「使う人と一緒に考えること、つくること」で、フロントアーキテクトになって、設計士としての私個人の興味が仕事に交ざってきた感じはしてるんですよね。

練習中なところでいうと、お客さんと一緒に考えながらつくるという進め方をするので、コミュニケーションを図って色々なことを引き出しながら、同時にワンプランに落とし込んでいくのがとても重要になるのですが、ここはわたしもまだ模索しながら進めています。

仕事の進め方が違うといっても、設計職として共通する部分はあるので建築設計をやってきた人であれば経験もスキルも活かせるところがたくさんあります。NESTING co-buildは木造平屋住宅がメインなので、木造建築の経験はより活かせると思います。また、私もそうですがバックグラウンドが住宅以外の設計経験であっても設計士としての幅を広げるという意味では、NESTING co-buildを通して得られたり成長できるところはけっこうあると思います。

お客さんたちの自分の生活や暮らしを自らつくっていこうとする発想や姿は、自律的でエネルギッシュでもあって、とても刺激を受けます。お客さんのやりたいことの実現を設計の面から支援して、その夢の達成をわたしも一緒に目指していく!みたいに思っていて、それが楽しいし面白いと思ってやっています。

先週末、那須の現場で建て方があったので参加してきたのですが、すごく楽しかったです。前職のときから現場に行くのは珍しいことではないんですが、自分が施工に交ざることはなかったので、すごく新鮮でした。つくる側になると、やっぱり面白いなあって感じましたね。
お施主さんの友人やNESTING事業部以外のVUILDメンバーも何人か来ていて、みんな作る工程を楽しんでいるのが印象的でした。

NESTINGチーム

中西:NESTING事業部はまだ4、5人で、建築がバックグラウンドなのは共通しているのですが、みんな得意領域が違って、その得意を活かすポジションを専任で預かりつつ横にも繋がって、全員で「NESTING co-build」という、デジタル家づくりサービスを作り上げていっている感じなんですが、 担当者が一から十までを担う設計事務所の時の仕事とはまたちょっと違って面白いなと思っています。

VUILDはリモートワークが基本の環境で、川崎にはShopBotもあるラボスペースが、海老名には工場があります。普段はみんなそれぞれの場所から仕事していて、毎週の定例もオンラインですが、会って話した方が早いよねって時は川崎に集まったりもしますし、お互いに必要な時に必要な人に声かけて、話したり、ミーティングしたりしながら、横連携しつつそれぞれの仕事を前に進めていってます。

少し前のことですが、1棟目竣工後、住宅キットの価格をもっと抑えたいという少し大きな課題に取り組んだのですが、その時はみんなで海老名に集まって集中的にミーティングしました。今はチームとしてもスピード感を重視している時期なので、集中会議で解決の糸口をみんなで探るみたいなことはしばらくあるんだろうなと思いますし、工法含め今後もしばらくはアップデートが続くと思います。どんな場合にオフラインかという決まりがあるわけではないですが、テーマが大きいとか、特にスピード感を重視したいときなど、「これは!」というテーマの時は川崎や海老名に集まってます。今は施工中のプロジェクトがあるので、先週も先々週もメンバーとは現場で顔を合わせました。適度に会いつつ、オンラインでもやりつつという感じです。

はたらき方、わたしの場合

中西:私自身のことで言えば、週3日以上くらいはコンスタントに川崎に出勤してます。図面や作業など集中してやりたいことがある時は家で仕事するのですが、そうじゃない時はほとんど川崎に行ってます。NESTINGのメンバーは、いるときもいないときもありますが、他のチームのメンバーと話したりしながら仕事してます。わたしは人と話したりできた方が仕捗るタイプで、川崎にいると自然と他のチームの話しやメンバーがどんなことをしているのかが見えたり、聞こえてきたりするので、そうすると自分が今やってることや考えてること、モチベーションにも影響あるなと思ってます。Slackにチャンネルがあって、時間になると声かけあってよくみんなでランチに行くのですが、ちょっとした情報交換や世間話なんかもしたりして、特になにというわけではないですが、いい息抜きになってます。

川崎は元食品工場だった古いビルをVUILD設立以前の秋吉さんたちがリニューアルしたユニークなビルに入居してて、1FにはShopBotのあるラボスペースが、4Fにはオフィススペースとちょっとしたラウンジがあって、どこを使ってもいいことになっているのですが、私はだいたいラボスペースにいます。

那須の現場は5月中には竣工ですよね?次は決まっているのですか?

中西:そうなんです、月末までには完成予定です。着工からちょうど一か月くらいで、時間が経つのは早いですね。次のプロジェクトは、もう設計も始まっているのですが、今年1月に起きた能登半島地震で被災したVUILDメンバーの実家復興をNESTING co-buildすることになりそうです。それ以降も今、全部で10件ほどの話が進んでいます。一人では大変なので、新しいメンバーにぜひ参加してもらいたいです!

               

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