幅広い業界のベンチャー企業に触れられるのがベンチャー広報の魅力。社員インタビューVol.3
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PRコンサント・Sさん
新卒でアパレルの営業を経験したのちに美容商材に特化したPR会社に転職。ここから広報のキャリアをスタートした。2015年にベンチャー広報に転職し、在籍8年目となる。
ベンチャー企業のPRに特化したプロフェッショナル集団
ーーこれまでの経歴をかんたんに教えてください。
新卒でアパレル企業の営業を経験したのちに、前職のPR会社に転職しました。そこには3年ほど在籍し、2015年からベンチャー広報に勤めていて、今年で8年目になります。
ーーベンチャー広報のみなさんはどんなキャリアの方が多いのでしょうか。
ベンチャー広報には様々な経歴のスタッフが集まっていますが、大きくは3パターンに分かれると思います。1つめは事業会社の広報担当、2つめはPR会社、3つめがマスコミ関係です。
事業会社の広報出身者といっても、元々はマーケティングや営業をしていた人もいます。また、PR会社出身者でも、大企業向けのPR専門だったり、私のように業界特化型のPR会社に在籍していた人もいます。マスコミ関係者も、テレビディレクターや新聞記者などさまざまです。
ーーベンチャー広報のメイン業務はどのようなものになるのでしょうか。
広報の仕事は、社外広報・社内広報・危機管理広報など、目的やコミュニケーションターゲットによって大きく3つに分類されます。社外広報とは、株主や消費者など社外に対して行う広報のことです。社内広報は自社の社員に対して社内の情報を発信したり社内エンゲージメントを高めるための広報のことをいいます。そして、危機管理広報は、災害やテロ、事件や不祥事などが発生した際に事態を収束させるために行う広報のことです。
ベンチャー広報で行っている業務は、ほとんどが社外広報です。その中でもメディアを通して広く情報を届けるためのマスコミ広報に特化したサービスを提供しています。
ーー事業会社の広報担当とPR会社では業務範囲が違うのでしょうか。
事業会社の広報担当の場合だと、広報業務だけでなく、マーケティングや広告、SNSを使ったデジタルマーケなどさまざまな業務を兼任していることが多いと思います。一方で弊社のようなPR会社は広報業務に特化しているため、他の業務と兼任になることはありません。
さまざまな業界の広報を経験できるのがベンチャー広報の魅力
ーーPR会社だと社外から広報PRに必要な情報を把握しないといけないと思いますが、ベンチャー広報ではクライアントの広報PRをする上で必要な情報はどのように得ているのでしょうか。
弊社のクライアントでは、社長自らがやりとりしてくださることもありますし、社長以外の方が弊社との窓口となってやりとりしてくださることもあります。
社長自らが窓口となってくださる場合には、もちろん社長が会社のことは把握されてますので、概要は社長から伺って詳細は担当者につないでいただく、という形で進行することが多いです。
社長以外の社員の方が窓口となってくださる場合でも、ベンチャー企業の場合は社員全員が会社のことをしっかりと理解し情報を把握されているので、大企業に比べると情報が得やすいと思います。
ーークライアントからはどのような理由で仕事を依頼されるのでしょうか。
一番多いのは、広報をしたいけど自社の中に広報ができる人がおらず、やり方もわからないからプロにお任せしたいというパターンです。そのため、戦略設計からメディアアプローチなどの実際の実務まで、広報に関することは徹底的にサポートするというイメージですね。また、自社で広報担当者はいるけど経験が浅いため教育してほしい、というご依頼もいただくこともあります。
ーー0からスタートするなかでKPIを決めることはありますか。
広報におけるKPIを決めるのは非常に難しいんです。それは広報が広告のように直接的にお客様にインパクトを与えるものではないからです。露出を増やしたとしても、その受け皿となるものを作っていなければ意味がありません。
また露出の数だけがKPIになるわけでなく、クライアントの要望によってもKPIの内容が変わってきます。例えば日経新聞に取材されたいというクライアントの要望があったら、まずは日経新聞に取材されることをKGIとします。次に、それに沿って日経新聞への露出というゴールに向けた広報活動や露出の仕方をKPIとして決めて実行していきます。
このようにただ露出を定量的に増やすだけの目標値を設定しても効果的とは限らないのが、広報でのKPI設定が難しい理由です。
ーー前職は美容系に特化したPR会社に勤めていたとのことですが、そこからベンチャー広報に転職して大変だったことはありますか。
前職が美容系商材に特化していたので、PRの経験もスキルもそれに寄ったものしか持っていませんでした。また、アプローチしていた媒体も女性誌が中心でしたので、それ以外の媒体知識も全くといっていいほどありませんでした。ですので最初は媒体の知識を広げることに一番苦労しましたね。
私の前職の会社のように、PR会社は何かに特化したPRを行う会社が多いんです。食のPRに特化していたり、人をPRすることに特化していたり。
しかし、ベンチャー広報の場合は何かの業界に特化したPRは行っていません。PRする業界や業種の範囲が他のPR会社に比べて広いため、その都度業界のインプットが必要になってきます。また、ベンチャー企業はこれまでにはなかった事業やジャンルにチャレンジしている企業が多いので、新しいクライアントとのご契約が始まるたびに、自分が未経験の分野のPRを担当することが多く、それは今でも大変なところです。
新しいことを面白いと思える人こそベンチャー広報へ
ーーPR会社に向いている人はどんな人なんでしょうか。
PR会社で働くことと、事業会社の広報担当として働くことはそれぞれ向き不向きがあると思います。特に弊社のように業界・業種問わずにPRを支援しているPR会社だと、とにかく関わる分野が幅広いため、自分がもともと興味関心がある業界や、得意な分野”のみ”に関われるわけではありません。そのため、得意分野以外のことに関わることを楽しいと感じる方は向いていると思います。
ーー裏を返せば幅広い話題に触れられるともいえますね。
そうですね。特に弊社のように、ベンチャー企業がクライアントとなると、今までなかったものや考えもしなかったものを生み出した経緯や着想に触れることになります。それを面白いと思える人は特に向いているんじゃないでしょうか。
ーー未経験の分野のクライアントを担当するときはどんなことからリサーチしますか。
とにかく報道を見ることです。クライアントが過去に取材を受けていればその報道を見ますし、競合の会社を調べてその企業が出ている記事や報道があれば、それらもすべて目を通します。
たくさんの記事や報道を見ていくと、その業界においてメディアが興味のあるポイントや傾向が分析できてきます。
図書館に行って本で勉強するのも業界への理解を深める方法としてはいいのですが、とても時間がかかってしまいます。クライアントは私たちの勉強の時間にお金を払ってくださっているわけではありません。最短で業界のことを知り、報道獲得のヒントを探るためには記事や報道を見るのが1番いいと思います。
ーーベンチャー広報ではどんな人と一緒に働きたいですか。
名前を出しただけで何をしているかみんなが知っている大企業と違って、ベンチャー企業はまだ誰も知らないところからのスタートです。メディアからの信用も信頼も、1から作っていく必要があります。
私たちの仕事は、クライアントとメディアの間に入り、両者が関係性を築いていくためのサポートをする仕事です。メディアから見たクライアントの印象は、広報を担当している私たちの一つ一つの立ち振る舞いで決まるといっても過言ではありません。そこにはとてもプレッシャーがありますが、そのプレッシャーをも楽しみながら仕事ができる人がいいですね。そして、ベンチャー企業に特化してPRを支援している弊社だからこそ味わえる、誰も知らなかった会社が徐々に大きくなっていく過程を一緒につくっていきたいと思う人と一緒に仕事できると嬉しいです。