UDSでは、個性を活かし“自由に”働いているメンバーが多い。何がきっかけで自由を求め、どう自由を表現しているのか。
今回紹介するのは、プロジェクトデザイン事業部の河上鈴華(かわかみ すずか)。2021年にホテル運営メンバーとして新卒入社し、2年目に企画職へ異動。4年目の現在は、運営の経験を活かしながら新しい事業の企画を行なっています。社内異動にかけた想いや、運営目線から生み出す企画の強みについて聞きました。
まちづくりへの関わり方
──UDSに入った背景を伺ってもいいですか。
大学生の時からまちづくりに興味があって、まちづくりに関わる仕事がしたいなって思っていました。入り口は、大学が外国語学部なので英語を使いたいと思って、アルバイト先にホテルを選んだのがきっかけです。働いてみたら、まちとの関わりを大切にしているホテルで、まちとゲストとを繋げられることに面白さを感じました。
浅草にあるホテルで、ゲストがただ泊まって帰るだけでなく、浅草自体を好きになってくれた。もちろん接客も楽しかったですし、ローカルツアーやクリエイターを集めた合宿など、まちと人をつなぐ企画をやらせてもらえたことで、企画側の楽しさにも気づけました。
──まちづくりという軸で選んでいたんですね。ただ、UDSには運営メンバーとして新卒入社していますよね。
そうですね。ホテリエはもともとやりたかったことですし、建築のバックグラウンドはなく、企画職として働き始めるイメージもなかったです。
──入社後、ホテリエとして感じたことはありますか。
いい意味のギャップなんですけど、かなり実践的でした。新卒で入社しHOTEL ANTEROOM KYOTOに配属された時は、最初の数ヶ月は研修かと思ったら、3週間ぐらいで前に出させてもらった。
拠点としてもわざと接客のマニュアルを作っていなくて、自分なりのスタイルを早く見い出せるように前に出させてくれた。その方が楽しかったし、そういう経験をさせてもらったことで、ゲストとの距離感の掴み方とか、ホテリエのスキルを伸ばせた気がします。
──接客において、どう自分なりのスタイルを見つけていきましたか。
私は人の顔を覚えるのが得意で、一度来てくれた人はだいたい覚えられます。HOTEL ANTEROOM KYOTOは常連さんやリピーターさんが特に多かったので、これまでの宿泊体験を踏まえて会話しました。
“ゲストと私”ではなく、“人と人”という接し方。先輩スタッフもお客様との距離感の掴み方が上手だったので、それを参考にしながら自分なりの特技を活かしていました。
Kohei Nawa/Swell-deer/2010-2016/mixed media/courtesy of SANDWICH, Kyoto
──もともと興味のあったまちづくりの企画にも関われましたか。
HOTEL ANTEROOM KYOTOは、やりたいことがある人が自分で手を挙げてやっていく風土があります。当時、私はまちとの繋がりをつくっていきたいと考えていて、ホテルがあるまちのお店や施設、地域のマルシェやマーケットを巡っていました。上司に相談すると、レストランの方もみんな協力を仰いでくれて毎月マーケットイベントを開催できました。
また、当時のマネージャーが、地域の事業者と横のつながりをつくるコミュニティをつくっていて、いろんな拠点を巡る活動などもさせていただきました。「新卒1年目だからまだ…」とかはなく、本気でやりたいと言ったら進めさせてくれた。自由なスタンスが私には合ってましたね。
施設運営から企画へ挑戦
──そこからどういった経緯で企画に?
運営の合間に拠点で実施する企画だけでなく、もっと上流の事業企画やブランディングなど含めた商品企画をやってみたいと考えていました。ただ、運営拠点では日々のオペレーションもあるし、事業企画を手がけられるキャリアへの道筋もわかっていなかった。
そんな時に、ちょうどプロジェクトデザイン事業部から企画職の社内公募があったんです。メールが配信された瞬間に返信して、面談を組んでもらいました。
──どんな思いで応募したんですか。
正直、その時は周りの先輩たちからは反対されたんですよ。運営の企画と事業の企画は、言葉は同じ企画だけど仕事の内容や求められるスキルが違うし、働き方も違うからと。新卒1年半だった自分のことを思ってくれて反対してくれたのはわかったのですが、でもやりたいんだからしょうがなくない?みたいな笑
運営拠点で経験を積んでマネージャーや支配人になってから進むことも考えましたが、何年後になるかわからない。今チャレンジした方が多くのことを吸収できるんじゃないかと思った。プロジェクトデザイン事業部で実際に働いている企画メンバーにも、たくさん相談させてもらって、やっぱり挑戦したいと伝えました。
──熱量があって良いですね。どういった仕事から始めたんですか。
まずは、事業企画や商品企画などそれぞれのプロジェクトや進捗するフェーズごとに求められる企画の種類もいくつかあるなかで、どの分野で自分の強みを出していくか道筋を立てました。未経験だったので、とにかくなんでもやってみようというスタンスで、幅広く関わることにしました。
ちょうどSOKI KANAZAWAがオープンするタイミングということで、まずはすべての客室に置くブランドブックのディレクションを担当しました。SOKIブランドでは地域ごとに活躍する作家さんや地域の風土から生まれる工芸、素材などをホテルのデザインやお客様が使う備品などに多く取り入れていて、ブランドブックはゲストにそういう地域の魅力を知っていただくツールです。
運営のバックグラウンドを活かして、お客様の手に取ってもらうためにはどうしたらいいかとか、オペレーションでの管理面などの観点も踏まえた仕様を考案。ほかの案件では、提案した企画コンセプトに合わせたリーシングと呼ばれる店舗誘致や、新規プロジェクトでのマーケットの調査など、とにかく数に挑戦させてもらいましたね。
──会社としても今までにあまりないキャリアで、整備されていないところもあったかと思います。どんな苦労がありましたか。
全てやったことがなくて、苦しいよりも毎日違うことをやる楽しさの方が大きかったです。途中でわからないことがあった時は企画メンバーに相談をすると、ちゃんと時間を取って相談に乗ってくれました。
店舗誘致に関しても、やったことないし方法もわからなかったので、とにかく可能性を広げるために色々と声をかけました。最終的にコンタクトした先があまりに数が多かったので、1つの店舗で普通だったらそこまでしないらしいんですけど、知らないからこそ枠に縛られずに挑戦できたんだと思います。
──そのマネジメントの方針は、振り返ってみて良かったですか。
そうですね。店舗誘致は、ものすごく時間がかかったんですよ。諦めていいよって途中で言われるぐらい、何百件も声をかけて、それでも最後は企画的にもクライアント側にも理想的な完結ができた。それを最初に道筋を見せてもらってその通りに動いていたら、別の方法を見つけられなかった気がする。その時の失敗から得た学びを、今は別の物件の店舗誘致で活かせています。
自分のライフスタイルと仕事を掛け合わせる
──現在はどんな業務を担当していますか。
関わっている案件は全部で5〜6つくらい。分担してやっているものもあれば、市場分析から新規開業まで一貫してやっている案件もあります。
新規開業の案件は宿泊施設で、事業の収支を組み立てるところは企画メンバーに並走してもらいつつ、これまでの経験を活かして市場分析からコンセプト設計、ブランディングなどを担当しています。
──新規開業の案件について、具体的にお伺いしてもいいですか。
秩父の宿泊施設で、事業企画から収支を組み立てていて、どういう切り口で宿を作っていくかや、まちとの繋がりをどう作っていくかなど、コンセプトを練っているところです。ここから開業に向けてネーミングの開発やロゴやグラフィック制作、ウェブサイトの構築や、それに伴う写真や映像などの素材の準備を行なっていきます。他にも、料飲のサービスはどこと組むか、食事のメニューはどうするか、企画の骨子に沿って同時進行で進めている感じですね。
実際にまちに遊びに行ってみたら、そこには魅力がたくさんあって、自分たちが知らない面白いコンテンツがあることを知りました。例えば、まちに神社が多くて、神社の成り立ちを深掘りしていくと独特で面白かったりする。そういう魅力を、宿を通してお客様に伝えていきたいし、まちとのつながりを作れる仕組みを生み出したいと考えています。
──今後を楽しみにしています。これから応募してくれる方に向けて、組織の魅力も教えてください。
UDSのみんなは仕事が好きですね。働く日と休日を上手く分けながらも、自分のライフスタイルや暮らしの軸みたいなのを仕事と掛け合わせていて、それをあまり仕事だと思ってやっていない感じ。私もそういう価値観だから、心地よく働けているのかなと思います。
──時間的にはオン・オフ分けているけど、マインド的にはオン・オフは分けていない感じがします。その文脈で、自分の好きを活かしたアウトプットって何かありますか?
SOKI KANAZAWAのブランドブック作成や、all day place shibuyaでall streetsというホテルが発行するまち歩き冊子のディレクションをする過程で、 多くのクリエイターさんとコラボレーションさせてもらっています。それは、自分が良いと思っている人やモノと、店舗の魅力を、うまく掛け合わせながらアウトプットできているかなと思いますね。
ほかにも、私はコーヒーが好きなので、担当するプロジェクトの地域のコーヒー屋さんをよく巡っています。客室のアメニティに置けそうか考えたり、商品のこだわりを聞かせてもらったりするのは楽しいです。
──楽しそうに仕事してますよね。
もともとやりたかった企画に挑戦できているので、毎日やりがいを感じてます。
なかでも、プロジェクトデザイン事業部にはホテル運営メンバーもいて、一緒にイベントの企画をしたり、商品リニューアルのクリエイティブを手伝ったりしている。それは、運営のバックグラウンドを活かせていて、自分なりの働き方ができたという意味で、すごくやりがいを感じる瞬間ですね。