個性あるメンバーひとりひとりのこれまでのストーリーや想いを紐解く「ツクルバメンバーズ!」。ツクルバには、ビジョンに共鳴し、欲しい未来を実現しようと仲間入りしてくれた新卒メンバーがたくさんいます。「#ツクルバメンバーズ新卒編」シリーズでは、そんな内定者・新卒メンバーの学生時代や入社までの経緯を紹介していきます。第三弾は、2019年4月に新卒入社した佐藤諒をご紹介します。
佐藤 諒(さとう りょう)
新潟県出身。早稲田大学文化構想学部卒業。
学生時代は、フランス留学やコーヒーに関わる活動などを精力的に行った。2018年4月より、内定者インターンとしてcowcamoプロダクト部にてcowcamoの改善業務に従事。2019年4月、ツクルバに新卒入社し、現在はcowcamoエージェントサービス部にて勤務。
次の世代の人たちに還元できるものを残したい、と感じたフランス留学
学生時代を振り返ると、将来を方向付けるきっかけになった経験は二つあったように思います。その一つが、大学1年時のフランス留学でした。
留学の動機は一度は行ってみたいという純粋な憧れの気持ちだったのですが、そこで起こったのがパリの同時多発テロ。衝撃を受けて、事件について詳しく調べてみました。すると、ヨーロッパで排斥され、生まれながらにして政治的・経済的に苦しい立場を強いられている移民の第二世の人たちが、自分の居場所を求めた結果テロ組織に加入してしまう、という構造的な問題が背景にあるように思えて、すごく歯がゆさを感じました。
その他にも、第二次世界大戦中にナチス・ドイツがユダヤ人を強制収用していたアウシュビッツの刑務所を見学する機会がありました。その時も、人種によって差別され、自由を奪われた生活を送っていた人がいたという事実が悲しかったんです。
彼らの境遇と照らし合わせた時に、自分は生まれながらに恵まれた環境を享受できているんだと痛感しました。だからこそ、次の世代に還元できる何かを残すことをしたい、と強く感じたんです。
留学していたフランス・リヨンの大学
コーヒーの探求と、「自分のやりたいことは?」という問い
学生時代の経験としてもう一つ大きかったことは、コーヒーを軸にした活動です。
コーヒーの魅力に出会ったのは、大学1年生のとき。たまたま始めたスターバックスでのアルバイトがきっかけでした。
最初はそこまで興味がなかったものの、コーヒーに詳しいバイト先の先輩に、歴史や産地、品種などいろいろなことを教わる中で、その魅力に気づいたんです。地理的にも歴史的にも広がりがある生産としての側面と、その結果として多様な味わいを持つ消費としての側面。この奥深さに加えて、コーヒーを介して生まれる人同士の繋がりにどんどん惹かれていきました。
留学の後、美味しいコーヒーについてもっと深めたいと感じ、実践的に勉強できる場所でバリスタとして働いてみることに。どうやったら美味しいコーヒーを淹れることができるのか、学びと実践を繰り返し、バリスタの大会にも出場。純粋に楽しかったし、少しずつコーヒーを淹れる技術も上達していきました。
ただ同時に、「一杯のコーヒーを淹れて届けること」に自分は満足できているだろうか?という気持ちも芽生えました。元々コーヒーに惹かれたのは、消費と生産どちらにも関心があったから。美味しいコーヒーを淹れて届けるだけでは何か足りないと感じたんです。
じゃあ、ぼくがコーヒーを通じて作りたい理想の状態ってどんなものだろうと考えて。最初に浮かんできたのが、「美味しいコーヒーが日常に根付き、その対価によって生産者の暮らしが豊かになり、また美味しいコーヒーが多くの人に届けられている」そんな情景でした。
そのためには、街中に美味しいコーヒーが根付いていることが大切なのではないか、という仮説が生まれました。
まずは自分自身がその状態を体感するため、コーヒー文化が根付く都市として有名なオーストラリア・メルボルンへ。そこで半年ほど、コーヒー屋さんで働きながら現地のバリスタたちと一緒にトレーニングをし、コーヒー文化を肌で感じました。
その後、コーヒーの生産側にも興味が膨らみ、生産者がどんな生活をしていて、何を考えているのか、実感を持って理解するため、アジアのコーヒー農園を巡りました。コーヒー農園と言っても、内実は様々。美味しいコーヒーを作り、労働者も豊かに暮らすという健全なサイクルが回っている農園もあれば、あくまでお金を稼ぐ手段としてしかコーヒーを扱えていない農園もあることを知りました。
行き当たりばったりではあるけれど、こんな風に自分の疑問や興味に従って行動してきた中で得られたのは、コーヒーに関して探求したかったことは一旦深め切ったな、という感覚でした。だからこそ、再度「自分はどんなことを実現したいんだろう?」という問いと向き合う必要性を感じました。
メルボルンでバリスタのトレーニングをしていた時
理想は日常の中に価値あるものが根付いている世界
というのも、自分が目指したいことは、コーヒーを通してではなくても実現できるのでは、と気づき始めたんです。
自分がコーヒーを通して大切だと思ったのは、「人々の生活の中に根付いているものの価値を、どうやって高め、持続可能なものにしていくか」ということです。ここでの価値には、コーヒーそれ自体の価値だけでなく、コーヒーを介して生まれる人との繋がりも含まれています。いずれにせよ、ぼくにとってコーヒーはあくまで手段であり、手段にこだわる必要はないのでは、と感じました。
好きだからという理由でコーヒー業界にこだわり続けることが、自分にとって後悔のない選択になるのか、疑問が生まれました。
とはいえ、学生時代を通じてコーヒーをテーマに活動してきて、やっぱりコーヒーが好きな気持ちは捨てきれず、葛藤もすごくありましたね。
ただ、当時の自分にとっては、「生活に根付いている価値を高めて、持続可能にする」というテーマに挑戦したい気持ちが強くて。一度大きいところを目指し、スキルを手に入れた上で、もう一度コーヒーに関わりたくなったら、そのときできることが必ずあるだろうと思い、コーヒーにこだわらず就活していくことに決めました。
健全で持続可能な組織で、生活に根付く価値を届ける事業をする
ツクルバの存在は、たまたまWantedlyで募集を見かけたことがきっかけで知りました。その時からなんとなく感覚でビビッとくるものがありましたね(笑)コーヒーが日常に根付き愛されていく過程に人と人が繋がる「場」が大切なことを感じていたから、ツクルバが掲げる「場の発明」というキーワードに惹かれたんです。
話を聞く中ですごく印象に残ったのは、ツクルバの共同代表・村上が話す「自分が死んだ後も残り続ける会社を作りたい」という話。
フランス留学での経験から、次の世代に何かを残したいという想いがあったものの、今の世代にとって価値あるものが、必ずしも次の世代にとっても価値があるとは限らないと思っていて。
そんな中で村上の言葉を聞いて、次の世代に残すべき価値は分からなくても、価値あるものを作り続けることのできる組織を残すことで、次の世代にとっても、さらにその次の世代にも価値を残すことができるのではないか、と気付かされました。
また、共同代表の中村が、経済資本と社会関係資本を両立したいという話をしていたことにも、強く共感しました。
健全で持続可能なサイクルを回すためには、確かに経済資本と呼ばれる、目に見えるお金は必要です。とはいえ経済資本だけでなく、社会関係資本と呼ばれるような人とのつながりや、好きな物とのつながりからも、人々は価値を感じるはず。
どちらかに偏るのではなく、どちらも事業を通じて生み出す、という考え方が、まさに自分が考えていたことと同じでした。
フランス留学やコーヒーの活動で感じたのは、健全で持続的な組織の中で、生活に根付く価値を事業として届けたいという想い。事業の面でも組織の面でも、ツクルバでならそんな想いを実現できると感じたことが、入社の決め手でしたね。
入社式
ツクルバを引っ張る存在に
無事ツクルバへの入社が決まり、内定者時代はcowcamo事業のプロダクト部でインターンをし、今は同じくcowcamo事業のエージェントとして働いています。
実は最初、いつかコーヒー業界に戻るとして、そこで活かせるようなビジネススキルをツクルバで獲得できるか、ちょっと不安があったんです。それは、実際に社内の人同士がどのように協業し、どんな仕組みでサービスを成長させているのか、という細かい部分まではイメージが十分に沸いていなかったからこそ感じていたものでした。
でも、実際そんなことは全然なかったですね。ツクルバには、自分の叶えたいことと、それを実現するための経験やスキルを兼ね備えているメンバーが多く、想いを大切にしながら実力もつけていける環境だとすぐにわかりました。
cowcamo事業に携わり、改めてこのサービスが哲学と経済活動を両立しながら価値を届ける事業である、ということが実感できています。
有難いことに、お客様から「cowcamoで住まいを選びたい」というお言葉をいただく機会は多くて。その度に、ただ住まいを買ってもらうのではなく、cowcamoの想いや世界観に共感をして、cowcamoで買ってもらえたからこそ、自分の住まいをより好きになってもらえているんだなと感じます。ぼくが大事にしたかった、哲学と経済活動を両立しながら価値を届けることが実現しつつあるように思えるんです。
ただ、ツクルバが健全で持続可能な組織になれているかと言われると、まだまだこれから。個々人の想いや可能性を大事にしたい気持ちはありつつ、組織としてあげるべき成果とそれをどう両立していくかという点は、もっともっとよくできると思っています。
そういった点も含めてツクルバを、何世代にも続く健全で持続的な組織として、人の日常生活に根付いた事業を多方面で行い続ける組織にしていくこと。そして、そんな事業を引っ張る存在になることが、これからの目標です。