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(講師研修)~南海トラフ巨大地震・富士山噴火 首都直下地震に備える~「大地変動の時代」 を賢く生き抜く方法と 「100年無敵の勉強法」(後編)


坪田塾では、「一流に触れる」というテーマで、毎年、様々なジャンルの第一人者の方に講師研修をお願いしています。

今回は、地球科学、環境学の面から、これから日本に起こることと生き方、これからの生徒さんたちに伝えていきたいことについて、京都大学名誉教授・京都大学レジリエンス実践ユニット特任教授 鎌田浩毅 (かまた ひろき)先生に講演をしていただきました。

後半は、鎌田先生の講義名物、リアルタイムQ&Aです!お楽しみください!

(前編はこちら)


Q&A方式について

なんで始めたかっていうと、学生が寝ちゃうんですね(笑)

(一同) ~笑~

寝させてなるものか、というね。Q&Aは、ペンネームで書いてもらうんですね。
手を挙げたら喋れないんですよね。だから、紙を使って通信したり。学生時代とかよく、勉強せずにラジオ聴いたりしてね。
そのうち15分だったQ&Aが45分とかになって、学生に本にまとめろって言われたからまとめましたけども(笑)
人生相談とか、紙でやると良いかもですね。

相手の関心に関心を持つ、その子が関心を持っているモノに関心を持つのが、大事だと思いますし、コミュニケーションの基本だと思いますね。

(以下、実際のQ&A)


「防災という観点で自治体に求めるものは?」

コンテンツとしては、いつどこに噴火が来るか ですが

ノウハウとしては、自分の生活に何を組み込むか

このコンテンツとノウハウはわけて伝えるのが大事だと思う。

あと、防災訓練を楽しくやること。備蓄でパーティーでもすればいいし、水じゃなくて1年もつ美味しいジュースとかにすればいい。そうやってポジティブな話題にする。そうやって組み込んでいく。

受験もそうで、自分の可能性を見つけるチャンスでもあるから、そういう意味付けをしたらいい。なにがいつ、自分のためになるかはわからない。

よく学生に、研究室悩みますなんて相談を受けたときには、「ウマの合う先生のところに行きな。」と伝えています。ウマが合えば、何でも好きになっちゃうから。この先生は素敵だなと思える先生についていくのが良い。その先生が好きなことが好きになったりする。そうやって、興味関心が広がって、自分のやりたいことが見つかるときがある。

それも一つの生き方のノウハウかな。


「おススメの地域はどこですか?」

京都です京都!

(一同) ~笑~

地震の時には、津波もあるけど、川の堤防に亀裂が入る。そこからの浸水で基本、地下鉄とかは水没する。死にます。大都市は基本海寄りにあるので、危ない。

京都は、津波が来ない。

あとは、物流。電気水道ガスがなくても湧水がある。100万観光都市だから観光客がわーっと震災後にいなくなるので、食料は余る。

京都かどうかは置いておいて、生涯の暮らす場所、人生設計を2030年までにしていきましょう。


「想定外は、南海トラフでもありうるか?」

必ず起きます。今日喋ったことは想定内でわかることとして話しました。

ただ、実際にはこの通りにはならないし、必ず自然は超えてきます。そういう時に対応できるかは、フレキシブルさ、想定外の事態に、自分の選択肢や習慣が広く持てているかかが大事。

世の中や、自然現象は、想定外がまず起こる。起きたときにうろたえないこと。
想定外は想定外としておいて、受け入れる。そこでどう生き延びるか。

そう考えられるようになるために、2つ大事。

①自分なりの専門を持っていること

②教養として、専門以外の準備があるかどうか(備蓄、普段からだ鍛えているか、いろんなジャンルの知識があるか とか、なんでもいい)

私は、教授をやったら想定外ばっかりだった。

通産省(現・経済産業省)の研究所で火山学を18年専門にしたけど、大学に来たらまず授業がメッチャ下手。授業は学会と同じようにやってったらブーイングだらけ。だから面白い話ができるように、会話の引き出しを増やした。

想定外は、何か自分に付け加えてくれるチャンスだととれるかどうか。

専門や、お金稼ぐ仕事以外の何を持っているか。趣味とかね。


好きな石やスポットを教えてください。

秩父のジオパーク。近場だと長瀞(ながとろ)、富士山。自分は、45歳で富士山登りました。あまりに大変で、絶対20歳代で登った方が良いと思って後悔した(笑)

日本は、古い岩石や地質が面白い。活火山には温泉もあるし。




レジリエンスを鍛えるためにどういうことをしていますか?

レジリエンスとは強靭化。南海トラフ、富士山噴火、首都直下地震の話を伝えること。この大きな災害に対して、フレキシビリティを持ってもらう活動をしている。

DNAとか、95%~98%無駄らしい。でも、なんかの時に役に立つ。(氷河期とか隕石来たとか)
自分の専門や主たる勝負所と別に、余裕を持っているかどうか。強靭化と柔軟性を共存させること。

僕の5大趣味は、

服、食べ物、温泉、本、ウォーキング

古本屋で本を売ろうと、見積もり取ってもらっている間に、それ以上の本を買って帰る、ということをしている。


本は買った方が良い、お金は使った方が良い、ネットは見た方が良い、ネットフリックスは見た方が良い

要は、自分の中で、世界とフローがつながっているかどうか?それが大事。
無駄と考えず、余裕とか、フレキシブルと考えてみてほしい。

割合は、専門8:趣味2。車のハンドルのあそびは1割くらいらしい。
最終的には5:5を目指してみてほしい。


研究との違いとして、アウトリーチの大変さを知りたい

アウトリーチは結局教育。自分が持っているモノを伝えたいということ。

研究所で定年まで勤めても、学問は押し上げても、狭い範囲。小学校とか、それこそ今回のような塾とか、いろんなところに広がっていく。

宮沢賢治すごいなと。彼は満ちてたのに、作品や才能もある一方で、周りの農民のみんなにいろんなことを受け取った。種の植えるタイミングだけではなく、彼の持つ美しい世界観から、彼からあらゆることを受け取ったんじゃないかなと。それってアウトリーチだと思う。

あと、生徒さんとか、10年20年会わないけど、急に化けたり、急に連絡来たりする。

「昔授業受けました。あの時面白かったんで僕の会社に講演に来てくれませんか?」とかそういうことがある。で、結局言いたいことは、やっぱり想定外、ってこと。教えるとき、受け取ってくれるものは自分の意図と全然違ったりするのがまた面白い。

皆さんにもいずれ必ず来ます。その時楽しめると良いですね。


CO2は温暖化の原因ではない説について

そうですね、1つではないですね。科学的には決まってないのに、政治が動き出しちゃったのが問題。これは危ういことをやっていると思う。

理由は、富士山。火山灰は、偏西風に乗って、地球全体を回っている。10年くらい降りてこない。それが太陽を遮って、翌年や2年後に夏が来なくなる。

大噴火を起こすと、地球が冷える。ここ70年くらいは火山による寒冷化が全然進んでない状況がある。温暖化に対して冷やす側の火山噴火がない。むしろ、急な寒冷化をして食料不足が怖い。


先生はオンとオフの切り替えをどう工夫していますか?

これは、すごく大事。必ず、オフを先に決める。絶対に予定を入れない。なんで大事かというと、そうしないと一生オフが取れないから(笑)

そのとき、通信は全部絶対に切る。そうすると、オフがオンを活性化する。オフの時にはスイッチを切るから、全然違う体、頭の動きをする。オフをちゃん取らないと、オンが劣化していく。オンの劣化は気づかない。

音楽、グルメ、温泉、美術、コンサート、映画、いろんなジャンルの友人、異世代の友人とか。何でも良いと思います。



以上、鎌田先生による研修のまとめでした。

できるだけライブ感を消さずに記述するように努めましたが、鎌田先生の熱量が、ほんの少しでも伝わればいいなと思います。やはり、面と向かってお話しいただくことで、初めて感動が生まれ、大事なことが芯まで伝わるということがあるんだなぁと改めて学ばせていただきました。

鎌田先生、ありがとうございました。

以下には、その後、各先生の日報に記載された研修の感想を一部抜粋して掲載させていただきます。


鎌田先生の話術と空気感に引き込まれ、歴史的な背景と照らし合わせることですっと話が自分の中に落とし込まれた気がしました。「出会いによって人生は変わる。好きになることも見つかる(熱中できることも見つかる)。」この言葉は、私たち講師にとって一番響いた言葉ではないでしょうか?日々の指導にこういった話を取り入れていきたいと思います。(O先生)

本日、鎌田先生の研修を聴講しました。自分はもともと校舎の3分間スピーチで「鎌田教授の最終講義が楽しい」と話したこともあるので、目の前でお話を聞くことができて夢みたいな時間でした。
想定外をどれだけ想定内にかえるのか、こういったデータを知ることが手段だなと実感しました。
個人的な防災の焦点はペットともに避難することです。水・フードの常備や避難所の受け入れ情報、保険などを確認したいと思います。(T先生)

鎌田先生の講演を拝聴しました。火山や地震といった地学的なものから、勉強法や人生を豊かにする秘訣についてもたくさん勉強になるところが多く、あっという間でした。鎌田先生、中野先生、セッティングくださった都立第二校舎の先生方、本当にありがとうございました。

以下、講演会を聞いて勉強になったこと
「今好きなことややりたいことがなくてもいい、出会いは偶然」
→前職から転職した際、やりたいことがなく追い詰められていた時と重ねながら聞いていました。坪田塾に出会い、自分がやりたいことができているのは幸せですが、この考え方は自分が楽になるために大切なことだと思います。(K先生)

Youtubeを視聴したり、本を読んだりしていたので、待ちに待った研修でした。それだけに直接お姿を見て鳥肌が立ちました。好きなアーティストのライブの時に味わうあれです(笑)
前評判にたがわずに、非常にエネルギッシュで、かつ頭の回転の速さ、教養の深さにただただ驚きました。地質学に限らず、勉強法の話や、歴史・古典・アドラー心理学まで、幅の広さと深さに驚嘆しました。それでいて、腰が低く、一般人の発想や考え方を良く理解している振る舞いが大変勉強になりました。全ての『先生』と呼ばれる人のモデルになるべき人間力をこの目に焼き付けることができました。
このような機会をいただけて幸せです。(KR先生)

鎌田浩毅先生の講演を拝聴しました。非常にエネルギッシュで、それでかつしなやかな生きざまを見て、純粋に憧れを抱きました。こういう人になりたいなと思いました。
鎌田先生のお話をきいて、地学への関心が開かれました。それは鎌田さんという人に惹かれたからだと思います。もともと「指導のために」やっていた勉強が、自分の関心に導かれて勉強ができそうです。
生徒さんにとってあこがれられる存在でいたい、と改めて思いました。(A先生)

専門知識に特化していながら人間力や教養も併せ持つ人は本当に心から尊敬します。それを5:5で持つべき、と意識的に過ごされており私たちにもそうなるようにコツコツと積み上げる(幼稚園児と話すのがちょうど良い)というお話迄聞けて腹の底まで落ちました。
鎌田先生ほどの熱量と知識量を持って、なおかつ相手が京都大学の学生という条件でも、服装や動画を挟むといった順番や見せ方の工夫をされている(事前に見ていた動画で話されていたのは、講義動画を見返して話し方の修正をされていたとのこと)

という事実に驚きました。まだまだ指導経験の浅い、僕達講師が生徒や講師間で何かを伝える時に工夫しない訳にいかないな、と改めてかんじました。(KM先生)

たとえば、自分が30年後くらいにこんなに充実した研修をできるようになるだろうか、と考えたときに、もっと、考えた生き方をしていきたいなと刺激を受けました。
こういう刺激を受けられるのは大変ありがたいですね。
素敵な機会をありがとうございました!(T先生)

とにかく心を動かされまくる1時間半でした。刺さりまくりました。自分の人生における大きなターニングポイントになるかもいれないという予感さえしました。とにかく、鎌田先生がかっこよかったです。

自分の好きなことを中心に、様々な事柄を探求し、自分の仕事・人生におけるミッションを自分で定め、それが本当に世界のためになっていて、素晴らしいと感じたのはもちろん、なにより、話しているご様子や内容から、「ほんとに人生楽しそうだな」「将来こんな大人になりたいな」と感じました。

自分がキャリア教育に興味があるので、キャリアに関するお話も聞けて本当に嬉しかったし、その部分が特に印象に残っています。まず、自分が専門とする分野を見つけるのは、焦らなくて良い、偶発的に見つかるものだから、いろんなことに興味関心を持っておくべきだという話が、強く心に残っています。

自分が何をやりたいのかわからずに悩んだ経験があったり、興味関心がいろんなことに散らばりすぎて、「これが専門です」と社会的に公言できる分野がないことをコンプレックスに感じている自分にとって、この言葉は救いになりましたし、これからも自信を持っていろんなことやってこうと思えました。と同時に、専門:教養の比率の話で、「5:5が理想だが、まずは8:2」という話も心に強く残っています。

鎌田先生がいろんなことに興味を持っていて、それで人脈や仕事、人生の幅が広がっているのは、やはり確固たる自分の専門分野があるからこそであると感じます。自分も早く自分の専門を定め、極めていきたいです。

「学生は先生を超えていかなければならない」

「先生の期待を超えるようなやつが、今後の日本を変えていく」

この言葉を先生側として言える鎌田先生は、本当に理想の教育者だなと感じました。子供たちや学生に対して、マウントをとってしまう教育者の人も、いなくないと思うし、これは、自分が昨年12月から塾講師という教育者としての立場に立たせて頂いた時から、一番気を付けていることです。鎌田先生のこの姿勢は、常に自分も心掛けていきたいなと感じました。

「自分の人生を自分でプロデュースする」という言葉も、とてもすてきだなと思いました。自分は特に就活生の頃、”こういうやつがイケてる”(偏差値高いとか、年収高い大手企業に内定もらってるとか)という画一的な評価軸に流されてしまい、強く悩んだ(挫折した)経験があります。社会の仕組みや仕事の意味を知り、自分がどう生きたいかを考えたうえで、枠組みに当てはめようとするのでなく、人と比較するのでもなく、自分の人生を創っていく姿勢が大事なんじゃないかと、最近考えていたので、鎌田先生のこの言葉に背中を押してもらえた気がします。

一日たっても昨日目にした映像がまだ強く心に残っていて、興奮冷めやらぬ感じがありますが、学びと勇気をもらえるとても貴重な1時間半でした。鎌田先生、お忙しい中貴重なご講演をしていただき、誠にありがとうございました。

こうやって多数の人に、こういう感想を持ってもらえる講義って、なんだろう!?どんなだろう!?と気になる方も多いと思います。

まさに、伝道者ですし、教育に携わる人のロールモデルではと感じます。


今後も坪田塾では、毎年このような場を創っていただけるように働きかけていきますし、坪田塾の継続したい大事な文化だなと改めて感じました。

なによりもまず、

鎌田先生わざわざご足労頂き、そのうえ素晴らしい講義をありがとうございました!!!

また、中野代表、都立大2の髙橋先生ほか、ご手配いただいた皆様、ありがとうございました!!



もっと学びたい方へ。

ぜひ以下の鎌田先生の書籍で知識を深め、先10年、20年を見据えた今を生きましょう。


『地震はなぜ起きる?』 (岩波ジュニアスタートブックス)

「京大人気講義生き抜くための地震学』 (ちくま新書)

『やりなおし高校地学』 (ちくま新書)

『地学ノススメ』 (講談社ブルーバックス)

『地球は火山がつくった』 (岩波ジュニア新書 )

『地学のツボ』 (ちくまプリマー新書)

『富士山噴火と南海トラフ』 (講談社ブルーバックス)

「首都直下地震と南海トラフ』 (MdN 新書)

『地球の歴史』 (中公新書、 上中下 全3巻) など。

「100年無敵の勉強法』 (ちくまQブックス)

『新版 一生モノの勉強法』 (ちくま文庫)

『一生モノの受験活用術』(祥伝社新書)

『一生モノの英語勉強法』(祥伝社新書)

『座右の古典』 (ちくま文庫)

『武器としての教養』 (MdN 新書)

『理系的アタマの使い方』(PHP文庫)

『理学博士の本棚』(角川新書)

『理科系の読書術』(中公新書)

『世界がわかる理系の名著』 (文春新書) (ちくま文庫)

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