創業の話の前に、僕のことをちょっとお話ししたいと思います。
【注意】悶絶するくらい長文なので、腹痛でトイレに篭った時にでも読んでほしいです。
まず、僕は起業に興味なんて微塵もない普通のサラリーマンでした。
コピーライターというちょっと専門職だったけど、なんてことはない社会人として僕なりに一生懸命働いて、それなりにヤリガイを感じながら「いつか糸井重里さんや仲畑貴志さんみたいになりたいなぁ」なんて誇大妄想を密かに抱きながら深夜残業も徹夜作業もギョーカイジンぽくてかっこいいじゃん。とさえ思っていました。
転機となったのは、母がガンを患った時でした。
まだ、僕は当時25歳。突然の知らせに動揺しながらも、まだ元気だった母を前に、「どうせケロっと治るんでしょ?現代医療も進んでることだし」なんて軽口を叩いてました。
実際、母はその後非常によく病と戦ってくれて、僕や姉が結婚するまで生き抜いてくれました。
母が他界したのは僕が29歳の時。
その時、ふと気づいちゃったんです。
あれ?俺、何も恩返ししてない
実際、ホント、何もしなかったです。初任給は悪友との飲み代に消えたし、ボーナスもらっても自分の好きなものに使ったり、親の事なんて考えもしなかった。生まれたときからワンパクでワガママな僕のその姿だけを見て母は逝ってしまった。
当時、僕が担当していたのは某炭酸飲料水で、深夜にそのコピー考えたり企画書書いたりしていて、そんな時、僕がこの仕事をし続けることで、母にどんな恩返しができるだろう?と考えるようになりました。
そのタイミングに出会ったのが、医療系ベンチャーの社長さん。彼もまたお父さんを若くにガンで亡くされていて、
日本の医療を変えたい
という言葉に雷に打たれたような思いがしました。
僕の培ってきたスキルが、こういう起業家とその夢の役に立つのであればと思いその会社に転職しました。
その会社では新規事業の責任者として様々な事業を企画しました。そこで出会ったのがベビ★マ(現Baby map)です。当時は、まだマネタイズも計画もないこのアプリをどうにか事業化できないかと僕の事業部で模索していました。
※写真は当時、Mac Fanに掲載された僕の事業部で開発したアプリ。
よく、ベビ★マは、僕が創ったと思われていますが違います。
鈴木清和さんが「あれ?おむつ交換台がどこにあるかわからない」と困ったことをきかっけに有志でつくったものです。
このアプリは(当時)全国の授乳室やおむつ交換台をお母さんたちが発見し、投稿することによって情報が集まってきていました。僕が感動して、是非ちゃんと事業化したいと思ったのは
他のお母さんやお父さんが困らないように、お母さんたちが善意で投稿してくれる
という点でした。
それまで、僕は何らかのインセンティブがないと人を動かすことはできないと思っていたけど共通するペイン(痛み)を解決するために人は人に優しくなれるという事実がそこにはありました。
ようやく広告主などもつきはじめた頃、会社は大きく変わろうとしていました。
5億円の資金調達を起こし上場というステージを見据えて組織や事業ドメインの整理と強化が進んでいました。
僕らには当初の予算がつかなくなり、新規事業をつづけることが困難になりました。
でも、どうにかベビ★マを大きくしたい。これを残すことが僕ができなかった恩返しになるんじゃないか。
そんなことを考えて、社長に無理を言ってベビ★マの全ての権利を頂きました。
2015年11月2日、僕らは定款を提出してTrim株式会社として起業したのだけど
資本金は30万円しかない
オフィスもない
やることも定かじゃない
ないこと尽くしの会社でした。
その月に縁あってOpen Network Labに応募してみたところ、なんと採択いただき、同時に応募した横浜ビジネスグランプリでも最優秀賞に選ばれました。
どちらも正直、お金のために応募しました。
でも、結果お金以上の価値をもらえる機会でした。起業家として必要な要素やプロダクトをどう創り上げていくかを徹底的に見つめ直すいい場を提供いただけました。
Open Network Lab
横浜ビジネスグランプリ
http://www.idec.or.jp/kigyo/ybg/
その後、INCUBATE CAMPなどを通し僕らの会社がどう投資家から見られるのか、どうもっと大きな市場を創るべきなのかを学び、今では社外取締役になった山田優大さん(インキュベイトファンド アソシエイト)と真っ暗な駐車場で未来を熱く語らったりと、まぁ色々ありまして…。
INCUBATE CAMP
http://incubatefund.com/incubate-camp
そんなこんなで、今では
僕の大好きな横浜にオフィスを持ち
僕らを信じてご投資いただき
お母さんを助ける新しいプロダクトもでき
一緒に夢を叶える仲間がいます
もっと遠いところまで、僕らは全力で駆けていきたい。
仲間は多ければ多いほど、遠くまで行ける。
だから、少しでも興味をもって貰えたら、