フエはベトナム中部都市で、19世紀から20世紀の、ベトナム最後の王朝、阮朝の首都であったところです。阮朝王宮やトゥドゥック帝陵、ティエンムー寺など、たくさんの建築物が残されています。
私の滞在しているダナンから、バスで2時間ほどでフエに到着します。
ダナンのようなリゾート地とは違う、ベトナムの歴史的な風景を楽しむことができます。
流れるままに、あるがままにある街
阮朝時代の古い建築物や、名物の料理、たくさんの魅力があり、観光客を惹きつけている街ですが、観光地のような昂揚した雰囲気ではなく、どことなく力の抜けた、スローな雰囲気を感じます。
ある学生は「フエに行くと悲しくなります。」と言っていましたが、古くなっていくことを受けいれているこの街からはこのように感じることもあるかもしれません。しかし、時が積み重なっていくことが、その街の価値を見出してくれることを知っているようで、あるがままに流れるままに、身を任せているような、そんな印象を街全体から受けます。
フエに集まる日本人
今回は、ご縁があり、フエに集まる日本人の方々にお会いできる機会がありました。ホテルを経営されていたり、アーティストとして活動されていたり、日本語講師を勤めていたりと、彼らがフエに滞在する目的は様々です。世代も、出身地も異なる彼らですが、小さな古い街、フエに集まった彼らは似た価値観を共有できるみたいで、とても楽しそうに、このフエに集まる日本人のコミュニティの素晴らしさを語ってくれました。フエに住む日本人は多くないみたいで、小さなコミュニティだからこそ、お互いをよく知り合うことができて、安心していられる、居心地の良さもあるみたいです。彼らと話していると、自分に正直で、素直に生きているなと感じさせてくれます。
時間の経過が教えてくれる自分のすべきこと、いるべきところ
この街も、この街にいる人々も、今の自分のいるところ、あるべき姿を昔から想像できたわけではありません。時の重なりと、偶然とも必然ともいえる出会いの繰り返しのなかで、今、このフエに導かれてきたのだと思います。
そっと時間の経過に身を任せてたどり着くところがあると信じているからこそ、自分のあるべきすがたや、いるべきところが見つかる。時間の積み重ねこそが、自分自身の価値を見出してくれるのだと思います。
このフエの旅行は、私の肩の荷をそっとおろしてくれるものでした。