「実際にサービス化に向けて、AIを用いてチームで開発ができるのは、学生の方にとって大きなメリットだと思います。」
そう話すのは、取締役 兼 AI Lab責任者の古森さん。AI Labは、社内の業務効率化の支援、そしていずれはそのノウハウを活かしてサービス化することを目的に、学生エンジニアを中心にして開発を行っています。
また、当社は日本マイクロソフト株式会社から、生成AIを活用するパートナー企業向けの事業支援プログラムとして約2,200万円分の利用枠の支援を受けています。
AI Labは具体的にどのような開発をしているのか、そしてAI Labの今後の展望について、古森さんにお話を伺いました。
「AI Lab」って?
── AI Labとはどのような組織なのでしょうか?
AI Labは、エンジニアやバックオフィスなど、社内業務プロセスの効率化を支援するAIを開発する組織です。学生アルバイトの方を中心にして、2023年10月に設立されたばかりの新しいチームです。
── 具体的にどのようなことをしていますか?
現在はクラウド事業部とSaaS事業部、それぞれの事業部のエンジニア支援を進めています。
クラウド事業部側については、構築したサーバーのテストの自動化を今までメインに行っていましたが、最近は新サービスのプロトタイプ作りとして、質問応答型のAIの開発もしています。
SaaS事業部側については、開発環境自体の改善をしています。具体的にはビルド時間を短くして、開発が早くなるように改善をしています。
── AI Labでは全てのプロジェクトでAIを使っているのですか?
いえ、全てのプロジェクトでAIを使っている訳ではありません。AI Labの目的は、単にAIを使用することではなく、業務プロセスを効率的に改善することです。そのため、プロセス改善を行う際には、AIの活用が最適か、それとも他の方法が効果的かを慎重に評価します。AIが適している分野ではAIを用いて改善し、手作業の方が効果的であれば手作業を選択します。
AIは単なるツールの一つです。例えば料理においては、作る料理に応じて適切な道具を選ぶように、AIも状況に応じて選ぶべきツールだと考えています。AIが適切ならばAIを使い、そうでない場合は他の方法を採用します。
ただ、効率化のためにAIが最も適している場合は、もちろん積極的に使っていきたいと考えています。今後はSaaS事業部で、BPaaSの文脈でAIを使った新しいサービスなども考えています。
── AI活用のための利用枠をいただいたと伺いました。
はい、生成AIを活用するパートナー企業向けの事業支援プログラムとして、日本マイクロソフト株式会社から約2,200万円分の利用枠をいただいております。
この利用枠を用いてエンジニアの業務プロセス改善に貢献するための新サービスのPoC(概念実証)に、Azure OpenAI Serviceを活用したいと考えています。OpenAIを基にしたAzureのプラットフォームで、その適用可能性を検証し、エンジニアの支援にどう活かせるかを探っていく予定です。
「質問応答型のAI」の開発と、エンジニアの業務効率化の支援
── 先ほどおっしゃっていた質問応答型のAIの新サービスとは、どのようなものでしょうか。
どの企業も多かれ少なかれ、社内に蓄積されたノウハウの文書があります。その文書を利用して、社内の業務プロセスの効率化を支援できるようなサービスを考えています。例えば、エンジニアからのサーバー構築に関する技術的な問い合わせに対して、社内Wikiに蓄積された過去の数百台分のサーバー構築手順を学習したAIによって回答するチャットボットなどです。まずはプロトタイプとして社内向けに作り、今後サービス化していきたいと考えています。
── エンジニアの業務効率化の支援としてはどのようなことをしようと思っているのですか?「短納期」と「高品質化」の面での支援を目指しています。例えば、通常8時間かかるコーディング作業をAIの支援により1時間で完了できるようなことを考えています。AIがコード生成を行い、開発者は必要な確認作業のみを行うことで、大幅な時間短縮を図れます。
また、リリース後にセキュリティ問題が発覚し、コードを修正して再リリースするリスクを減らすために、AIがコードの安全性を事前に警告し、修正を促すことも重要です。これにより、リリース時に高品質な製品を提供でき、後のトラブルを避けることが可能です。このようなリスク予防を行うAIの活用も検討しています。
── 開発工程としては上流工程は人が行って、コーディングをAI化したいというイメージでしょうか?
開発の各工程でAIの利用の可能性を検討しています。開発プロセスとしては、まず上流工程で何を作るかの設計を行い、その設計を基にしてコーディングし、次にコードをテストし、最終的には製品をリリースします。さらに、リリースした製品の運用も行います。各段階でAIを活用することで、効率的かつ効果的な開発が可能になると考えています。
現在は上流の設計プロセス、コーディングの手助け、品質チェック、自動テストもAI活用が見込まれるようになってきています。その結果、エンジニアは仕様要件をどこまで満たしているかの確認をするだけで良くなり、新しい機能やサービスを考えることに時間を投資できるようになります。
またサーバー構築・運用の点でも、例えばクロジカサーバー管理の運用面では、各顧客のログをAIが解析し、問題が発生しそうな場合には事前にアラームを発する予防検知システムへの活用も考えています。サイバー攻撃などの兆候を検知した際には、事前に顧客に警告をお伝えする体制を整えていきたいですね。
アプリ、インフラ、そしてAI。学生がスキルアップできる場所に
── AI Labのこれからのビジョンを教えてください。
やはりまずは社内の業務効率化の支援を第一に行っていきます。社内でうまくプロセス改善できるのであれば、今後その商品化も視野に入れていきたいです。
社内でAIを用いた支援ができれば、そのノウハウを活かして、まずはクロジカの顧客に合わせてオーダーメイドの生成AIを作ることができます。その後、ある程度機能が汎用化できるところがわかってきたら、SaaSのようなサービスにしていければと思っています。
── AI Labチームとしてはいかがですか?
AI Labチームは、現在はアルバイトとインターンを合わせて9名ほどですが、毎月30名以上の学生さんが説明会に参加していただいているので、今後もメンバーが増えていきます。
インターンではアプリケーションコースとインフラコースで分けてはいますが、アルバイトとしてAI Labに入っていただいた後は、もう一方のこともできるようになっていただきたいです。ですので、アプリケーションも、インフラも、そしてAIも分かるフルスタックエンジニアとして、スキルアップができるような場所にしたいです。
AI Labメンバーのエンジニアスキルをきちんと伸ばせるようにしたいので、彼らのスキルアップのためにもAIを使いたいです。事業部で開発しているエンジニアをAIで助けるだけでなく、学生の皆さん自身もAIに支援してもらえるようなツールを作っていきたいと思っています。
インターン募集中!
── 学生の方にとって、AI Labで働くことでどのような成長があると思いますか?
実際にサービス化に向けて、AIを用いてチームで開発ができるのは、学生の方にとって大きなメリットだと思います。個人開発だと、他の人に指摘されないので、自分の好きなように作れます。しかしサービス化を考えると、お客さんに価値を感じてもらえるものを作らないといけないので、設計の仕方が全然変わってくるんです。それに、複数人で作ることを意識しながら、開発の進め方、リリースサイクル、リリース後の運用まで考えた設計をしないといけないので、そこは勉強になると思います。
また、実際に使っている人が目の前にいて、フィードバックが早くもらえるので、嬉しい環境だと思います。
── 以前、学生アルバイトの方とお話ししていた時、「AI Labで働く前は、エンジニアとしての成長は、一つの言語を極めるものかと思っていた。だけどサービスを作るとなると、もっと色々な技術を横断して学ぶ必要があるとわかった」と言っていたのが印象的でした。
そうですね。開発言語は単にツールで、お客さんに提供するものが大事です。一つの言語にとどまらず、その裏側の本質的な概念を知っていると、言語を変えても早く対応できるようになるので、選択肢が持てます。
── AI Labが実践的な技術を学ぶ環境を、学生の方に提供できるのは良いですね。インターンの説明会もしていますので、興味がある方はぜひご応募してください!
※学生インターン・アルバイト説明資料公開中です!
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