今回インタビューさせていただいたのは、グローバル教育共創室でプログラムデザイナー(PD)を担当している米澤龍さん。
現在に至るまで様々な経験を重ねてきた米澤さんの中に存在している、「コミュニケーション」を重視し、原動力へと変えていく思考が、グローバル教育共創室のPDという仕事にどのように活かされているのかを明らかにしていきます。
色々な人と1つの目標に向かって行動する仕事
ーー自己紹介をお願いします。
グローバル教育共創室で、プログラムデザイナー(PD)をしています、米澤龍です。2021年にトモノカイに中途採用で入社して以来、PDとして勤務しています。
--「グローバル教育共創室」はどのようなサービスを行っているのですか?
日本にいる外国人留学生の方々と、日本の中学生・高校生が交流できるようなプログラムを学校と協力しながら企画・運営して、異文化コミュニケーションを楽しんでもらう機会を設けています。
部署構成としては、プログラムの内容を学校側と協議しながら企画していくプログラムデザイナーチームと、プログラムに参加する留学生の方々を募る手配チームの2つがあります。
ーー「プログラム・デザイナー(PD)」は、どのようなお仕事をされているのでしょうか?
大きく分けて2つあります。
1つは、先ほどお話した通り、プログラムの企画・運営です。
生徒に楽しんでもらえて、なおかつ学びがあるようなプログラムを作って、当日運営するというものです。また、プログラムを円滑に進めるために日々留学生とコミュニケーションをとっています。
もう1つは、プログラムに直接携わる先生や管理職の先生などとお話しながら、学校の課題や目標に寄り添ったプログラムを提供することです。その上で、異文化交流という切り口からどう支援できるかを考えてプログラムに反映させます。各学校で予算が異なるため、予算内でどれだけニーズを反映できるかも大事な観点です。
ーーお仕事をする中で、どんなことが楽しいですか?
楽しい部分は3つありますね。
1つは、プログラムに参加した中高生たちが楽しそうに留学生とコミュニケーションをとって、成長している場面に遭遇すると、やりがいを感じますし、エネルギーをもらえますね。
もう1つは、プログラムを一緒に作り上げた先生方が満足してくださって、取り組みを評価してくださると嬉しいです。
もう1つは、留学生の方々をはじめとして、色々な立場の人々と一緒に1つの目標に向かって行動していく楽しさがあります。
”しっくりきすぎた”トモノカイに入るまで
ーー高校・大学はオーストラリアで過ごされ、そのまま現地でサッカー選手になられたそうですね。詳しく教えていただけますか?
個人的に、小さな頃から、海外に行ってみたいという思いが漠然とあったんです。それで、高校生のときからオーストラリアに渡って、大学まで進んで、という形です。サッカーはずっとやっていて、大学を卒業するときにセミプロのチームから声をかけてもらったので、選手になりました。最初は日本に帰って就職しようと思っていて、就職活動もしたのですが、チームから声をかけてもらって、人生は1回なのでチャレンジしたい、後悔したくないと思って、選手になることにしました。
ーーオーストラリアでは英語でのコミュニケーションが必要になると思いますが、留学以前から英語のスキルはあったのでしょうか?
いえ、ありませんでした。留学することを想定して、学校の授業をひたすら本気で受けたりはしていましたが、特別な勉強などはしていませんでした。その分、現地に行ってから通じなくて大変だったのですが、ひたすら会話をしてなんとかコミュニケーションがとれるようになりました。
ーーその後は、靴のメーカーで営業を担当されたあと、東京オリンピック・パラリンピックの組織委員会に転職されたそうですね。
はい。1年ほど選手をやったところで、コロナ禍に入ってしまい、日本に帰国することになりました。そのときは「とりあえず1回帰国する」といった感じで、またオーストラリアに戻ることも考えていました。
帰国後は、ご縁があった靴の会社で営業をしていて、そのときに組織委員会の話をもらって、人生で1回しかない話だと思い、転職を決めました。このときに、日本に残ることも決めました。組織委員会では、会場運営チームというところに所属して、いろいろな部署とコミュニケーションをとりながら、会場で競技が円滑に運営できるように調整する業務を行なっていました。
ーーそのあと、トモノカイに入社されますが、どのようなきっかけがあったのですか?
オリンピック・パラリンピック組織委員会の仕事が終わった後、留学やサッカーの経験を経て、「ここまでの人生は、色々なチャンスが次々にやってきて、自分はその流れに乗ってきたな」という感覚と、「その流れが一旦止まったな」という感覚がありました。そういった状況で、「自分はどんな仕事をしていきたいのか?」ということを考えるようになりました。それで、これまでやってきたことを振り返ったときに、留学をして色々な人と交流する体験を中高生に伝えたい、オリンピック・パラリンピック組織委員会のようなエネルギーのある場所を作りたいと思いました。
色々な職種を検討する中で、トモノカイと面談する機会がありまして。そのときに、トモノカイがやっていることや、異文化交流に対して持っている考え方が、自分の思っていたものとかなり一致していて、しっくりきすぎた、というのが大きなきっかけです。
ーー「しっくりきすぎた」というのは具体的にどのようなことだったんですか?
異文化の人とコミュニケーションをとるとなると、語学力が重要になるとイメージすることが多いと思うのですが、意外とそうではない部分が大事になると思っていて。それよりも、「どういう風に人とコミュニケーションをとったらいいのか」みたいなマインドの部分が重要だと思っています。トモノカイも同じような考えを持っていて、なおかつそのマインドのあり方は人それぞれでいいっていう考え方も一致していたのが、大きな要因でした。
「どっちの道を選ぶか?」ではなく「選んだ道で何をするか?」
ーー入社後も、そのコミュニケーションに関するマインドの部分は大事にされているということですね。
はい。入社後も変わらず、会社の考え方と自分の考え方が一致しているなと思います。あと、加えていうと、「教育の再設計」というトモノカイの理念の部分も、自分にしっくりきていると感じます。
PDをやっていると学校の先生とコミュニケーションをとることが多いですが、それぞれの学校や先生方が大事にされてきたものがある中で、自分たちが関わることでそれを「変える」のではなく、プラスアルファして「再設計」の一助になることが大切だなと感じます。なので学校や先生方が大切にされて、積み上げられてきたものに、異文化交流のためのプログラムをどう組み合わせたら、よりパワーアップできるかということを常に考えています。
ーーPDのお仕事には、プログラムに参加する留学生の方々とコミュニケーションをとることも含まれる、というお話がありました。グローバル教育共創室のサービス特性上、英語力が必要かと思いますが実際はどうですか?
もちろん、英語をはじめとした日本語以外の言語が話せるに越したことはありません。英語を話す機会は多いので、語学力を仕事に活かしたいという人には向いているお仕事だと思います。
ただ、それよりも、相手が何を言いたいのかを理解して、自分が言いたいことを伝えることができるのであれば、それで大丈夫だと思います。グローバル教育共創室にも、「英語をすごく流暢に話せる」というわけではないメンバーもいます。ですが、ちゃんと相手と意思疎通を図れて、コミュニケーションがとれるのであれば問題なく仕事を進めることができています。なので、語学力よりも「相手とコミュニケーションをとろうとする」というマインドの方が大切になってくると思います。
ーー「コミュニケーションをとる」って人によっては難しく感じたりしますよね。
僕も割と人見知りをしてしまうタイプだと思いますが、そういうときって、「コミュニケーションをとろうとろう」という風に、コミュニケーションをとること自体が目的になってしまっていると思うんですね。
でも、本当の目的というのは違う部分にあるんです。僕らの仕事で言えば「プログラムを成功させる」ことが目的としてあって、そのための過程でコミュニケーションが発生しているという状態です。なので、そういう感覚を持って、ラフにコミュニケーションをとることを心掛けています。
ーーなるほど。米澤さんはグローバル教育共創室のPDとして働く中で、どのようなスキルが身につくと考えていますか?
やはりコミュニケーションスキルは身につけられると思います。特に、色々な背景を持っている人たちに対して、わかりやすく、すぐに理解してもらえるように伝えるスキルが身につきました。留学生の方々や、学校の先生方など、さまざまな立場・文化にいる人々と関わり合って、動いてもらって、プログラムを成功に導く仕事なので、そういう色々な人々が理解できるように考えを伝えられるようになりましたし、今後もこのスキルは磨き続けていきたいです。
ーーグローバル教育共創室は、まだ人数が少ない部署だと聞きました。これから拡大期に入っていくと思いますが、今後どのようなことが求められると思いますか?
そうですね、これからの日本国内におけるグローバル教育に求められるものと重なり合う部分があると思います。
これまで、「英語を学びにいくために海外に留学する」みたいな語学を中心にした目的があって、そのために日本国内で準備としてグローバル教育を受ける、みたいなイメージがあったと広くあったと思うんです。でも、これだとせっかく海外に行って色々なことを学べるはずなのに、語学が目的になってしまうと、少しもったいないなと感じます。
各国文化も環境も異なるので必ずしもこれが正解というのはないのですが、特に留学生を見ていて感じるのが、「英語を学ぶために海外に行く」というやり方よりかは「何か学びたい分野があって、海外に行く」というやり方が一般的で、そのための英語の教育や勉強というのは国内で完結しているんです。
そこで、昨今国内では教育現場に求められる水準も高くなっている中、個人的には海外に行く・行かないは関係なく、英語や様々な学びに繋がる「どうやって共通語としての英語でコミュニケーションするか?」みたいなベースとなるマインドの部分を身につけることは、日本国内で完結できるよう目指したいです。
そのために、より多くの人がそのマインドを身につけられるような機会を提供していくことが求められると思います。さらにチームのメンバーは、それぞれでグローバル教育に対する想いがあるので、このプログラムを通じてみんなで実現できるように日頃の業務に励んでいます。
ーーでは、最後に、このインタビューを見ている方にメッセージをお願いします。
トモノカイは色々な考え方を受け入れてくれる雰囲気がありますし、そうやって色々な考え方を持った人々が集まることでチームはどんどん大きくなっていくと思います。なので、もしトモノカイに興味を持っていただけたら、「物は試し」くらいの気持ちで求人に応募してみてほしいなと思います。そうやって色々なバックグラウンドを持っている人々と一緒に働けるのは楽しいと思うので。
僕は色々な経験をしてきましたし、その度に大きな決断をしてきました。決断をする時は結構不安を感じやすい方ですが、そういう時には「どっちの道を選ぶか?」じゃなくて「選んだ道で何をするか?」ということを考えるように、思考を切り替えています。そういう風に考えると、おもしろそうな方の道を選びたくなると思います。
ーー色々な経験をされてきた米澤さんならではの言葉ですね。今日はありがとうございました!
編集後記
米澤さんから発される「人生は1回しかない」「選んだ道で何をするか?」という言葉が印象的でした。そうして選ばれたPDというお仕事に対しても、「人と人とのコミュニケーション」という観点をとても大切にしながら、熱心に望まれているのだなと感じました。