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【役員インタビュー COO 佐々木駿】デジタルネイティブ世代をターゲットにしたマーケティングの考え方|コミュニケーション編(後半)

このインタビューでは、灯白社 COOを務める佐々木にデジタルネイティブ世代と効果的にコミュニケーションを取るための手法についてインタビューしています。


前半では、デジタルネイティブ世代の特徴を理解するための前提知識についてお伺いしました。

後半では、デジタルネイティブ世代へアプローチする手法をマーケティング視点で捉えながら解説していただきます。


デジタルネイティブ世代へ対応するために準備するべきこと


ーーデジタルネイティブ世代とコミュニケーションを取るために、企業はどのような準備が必要なのでしょうか。

これはコミュニケーション領域にも事業開発領域にも共通する話ですが、大事なポイントは、

① ターゲットの声をきちんと知る・聞くために、② 当事者世代を検討プロセスに巻き込み続けながら、③ 大人の恣意的な解釈、ビジネス事情をなるべく排除しながら走り切ることです。

私の経験上、この3つを守りプロジェクトを進めることができれば、大体いいアウトプットや結果につながります。


また、中規模〜大手企業がデジタルネイティブ世代とコミュニケーションを取る準備をする際に、陥りやすい落とし穴を4つ紹介します。(組織の規模や体制によって進め方や時間軸がまったく異なりますので、その点はあらかじめご了承ください。)


1つ目は、言語を揃えたり、ニュアンスを理解するための事前リサーチをすることです。

わからない言語・表現があった際には、似たようなテーマや特定の視点で解説している記事を最低10記事ほど読み込むことをおすすめします。

コミュニケーション施策を進める際に、そもそもデジタルネイティブ世代の生活やその世代が使っているキーワードがわからないと、説明されても理解できず正しい判断ができないため、言語やニュアンスの理解は重要になります。


2つ目は、組織の新卒や若手社員と積極的に話したり、今のトレンドをヒアリングすることです。

性別や趣味によってトレンドはさまざまな意見がありますが、若手にヒアリングすることで予算をかけずにデジタルネイティブ世代のトレンドを肌感覚で掴めます。


3つ目は、チームに必ず若手を入れることです。

若手にすべての権限を与える必要はありません。

しかし、意見を聞くことができる若手や、チーム内でデジタルネイティブ世代が使う言語やニュアンスを翻訳できる人がいると、ベテランメンバーの恣意的な解釈の混入に気付き、失敗するリスクを軽減できます。


4つ目は、エージェンシーを上手に頼ることです。

デジタルネイティブ世代は注目されているマーケットのため、エージェンシーの数も年々増加傾向にあります。

総合広告代理店の中で若者や次世代について研究している特化型チームや、ファンマーケティング・熱狂マーケティングに特化している企業、SNSマーケティング・インフルエンサーマーケティングに特化している企業など複数のジャンルがあります。

私含め、灯白社は若年層のトレンドや消費に精通した経歴を持つメンバーが多いため、企業が抱える課題によってうまくエージェンシーを使い分けるといいと思います。


「推し・好き」に寄り添う効果的なアプローチ手法

ーーデジタルネイティブ世代への効果的なアプローチ方法について教えてください。

コミュニケーション領域と事業開発領域に使えるアプローチとして「トライブマーケティング」と「スモールマスマーケティング」という視点を紹介します。

先ほども話しましたが、現時点(2024年)では「推し・好き」の文脈に寄り添うことが最も状況に左右されにくく、効果が出やすい切り口の1つだと考えています。


ただし、「推し・好き」のコミュニティは非常に分散傾向にあるため、厄介なポイントでもあります。

アニメ好き、アイドル好き、ゲーム好き、2.5次元好き、ファッション好き、サウナ好きなど、数え切れないほどのコミュニティが存在しています。

さらにその中でも、アニメのヒーロー系/恋愛系/日常系…、アイドルのK-POP/坂道系/地下アイドル…、のようにコミュニティが超分散している時代と捉えてください。


そして、この「推し・好き」の文脈を抱えている傾向がより強いのが若年層・デジタルネイティブ世代です。*⁵

「トライブマーケティング」と「スモールマスマーケティング」は、一般的には世代関係なく語られる手法ですが、現代において若者の含有率が高いという点でリーチしやすい手法です。

*⁵:参考記事:https://shibuya109lab.jp/article/220712.html


「トライブマーケティング」とは、「推し・好き」でつながる集団を狙いに行くターゲティング手法で、従来型のように大きなワンメッセージを派手に訴求するのではなく、さまざまなトライブ*⁶に合わせて、多文脈・多メッセージで発信・訴求することを指します。

このトライブマーケティングでKOL*⁷やトライブリーダーに語ってもらうという内容も含みますが、インフルエンサーマーケティング的な話に留まらず市場の捉え方だということに留意してください。


また、ニーズが細分化されている状況で、マスとは呼べないが熱量高く消費をしている、もしくは強いニーズがある特定領域に狭く深くアプローチする「スモールマスマーケティング」も近しいアプローチだと考えています。

例えば、花王はソーシャルリスニングから特定のユーザーの発話、キーワードの使われ方、ユーザーとブランドの関係等に注視することで、潜在的なターゲットセグメントを発見するアプローチを取っています。

引用元:https://pr-genic.com/3536

*⁶:特定の興味関心・ライフスタイルを持った集団のこと。
*⁷:Key Opinion Leaderの略称で、特定の分野や業界においてその意見や見解が広く尊重され、大きな影響力を持つ人物のこと。


トライブマーケティングにもスモールマスマーケティングにも共通する点は、「20代女性×コスメ好き×ファッション意識高」のような従来の「デモグラフィックデータ×サイコグラフィックデータ」の粒度だけでは市場を捉えづらくなっている点です。

広く万遍ないメッセージが届きづらくなっている昨今において、熱量を持った特定のトライブに狭く深く訴求するアプローチは、消費者も企業側もwin-winになりやすい特徴が散見されます。


灯白社の事例でも、イラストレーターやボカロPさんのアイテムが数日で即完売する現象が何度も起きています。

また、過去にZ世代に向けてアーティストとコラボしたコスメをクラウドファンディングで販売したところ、達成率1,057%と驚きの数値も記録しています。*⁸

販売データを見ると、地方のZ世代が顧客の中心だった事例もあるため、「推し・好き」から生まれるパワーは計り知れません。

*⁸:参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000074558.html


「興味」フェーズから「購入」フェーズへ直結するファネル構造

ーーデジタルネイティブ世代にメッセージを訴求する際は「推し・好き」のコミュニティを細かく分けて狭く、深く発信することが効果的なのですね。

トライブマーケティングやスモールマスマーケティングについて、ファネル視点でもう少し補足すると、何事も最短ルートで「検討」と「意思決定」を繰り返しているデジタルネイティブ世代にとって、マーケティングファネルの構造の話も従来に比べて変化が起きています。

TikTok for Buisnessの2021年レポートでは「興味突破」というキーワードが用いられ、コンバージョンに最も相関するのは「興味」フェーズであることが語られています。

引用元:https://tiktok-for-business.co.jp/archives/5108/


過去に日経TRENDYとクロストレンドが発表した『ヒット商品ベスト30』における第1位が、ブランド名ではなく「TikTok売れ」でした。

これは、ショート動画様式の中で、興味を引くアイキャッチやトンマナ、細かな商品・サービスの説明、ベネフィットの解説まで一気に行われることがコンバージョンに直結する構造として成立している結果だと言えます。


さらに違った切り口もあり、2019年にGoogleが提唱した「パルス消費」というモデルがあります。

これはデジタル時代の情報取得と購買の関係を説明したもので、従来のAIDMAモデルを前提とした「段階的に購入への距離を縮めていくプロセス」から、「パルス(電流や脈拍)のようにピコン!ときたら即コンバージョン」するような購入ケースが増えていることを表しています。

引用元:https://www.thinkwithgoogle.com/intl/ja-jp/marketing-strategies/app-and-mobile/shoppersurvey2019-2/


そしてこのパルス消費を引き起こすトリガー要素を、Googleは次のように説明しています。

  • Safety:安心安全なものに反応する直感センサー
  • For me:自分の価値軸にぴったりなものに反応する直感センサー
  • Cost save:お得なものに反応する直感センサー
  • Follow:売れているものや、第三者が推奨するものに反応する直感センサー
  • Adventure:知らなかったものや興味をそそるものに反応する直感センサー
  • Power save: 買い物の労力を減らせることに反応する直感センサー*⁹

特に「お得」「興味をそそる」「正解に早くたどり着ける」要素が効きやすいと考えています。

消費プロセスのトレンドと合わせて、そもそも情報氾濫禍にいるデジタルネイティブ世代は、興味のないものを遮断している(せざるを得ない)ことを認識しておくべきです。

それらを組み合わせると、現在においては「認知と興味はほぼ同時に起こる」「興味の入り口を設けられなければ認知されない」事態になっていると言えます。

*⁹:引用元:https://www.thinkwithgoogle.com/intl/ja-jp/consumer-insights/consumer-trends/shoppersurvey2021/


デジタルネイティブ世代に興味を持たせるための5つのチェックポイント

ーーデジタルネイティブ世代に興味を持ってもらうためには、どのようなことに注意すればよいのでしょうか。

今後、デジタルネイティブ世代に向けたコミュニケーション施策を実施する企業の担当者の方々は、次の点をチェックしてください。


①消費者の「好き」や「役立つ」に寄り添えているか
見ざるを得ない「言い訳(例:推し・好き)」や、さきほどのパルスセンサーの6つのポイントを満たしていますか?

②「何を言うか」だけでなく、誰が言うか(適切な話者)にも気を配れているか
フォロワー数偏重ではなく、トライブリーダーやエンゲージメントを意識できていますか?

③インフルエンサー起用時に「本人の言葉」で語ってもらえているか
企業側が加筆した企業言葉の台本になっていませんか?

④単純にCMや動画素材の横流しになってしまっていないか
メディア特性を活かしたギミックや体験、キャストが盛り込まれていますか?

⑤シェアしたくなる、試してみたくなるような余白があるか
真似できる・アレンジできる・チョイ足しできる・音はめできる、などのユーザーが遊べる余白はありますか?


これから応募してくれる方々へ

ーー最後に、灯白社に興味を持っている人へメッセージをお願いします。

関われる領域は広く、事業領域によって少し差はありますが、灯白社では下記のような成長を約束できると思っています。

①自分でブランドや商品を創れるようになる力
商品企画~製造~販売チャネル設計~物流構築~プロモーションの全てに関われる

②社内外の人を巻き込み、企画を実現する力
企業・クリエイター・社内スタッフに社外業務委託メンバー、あらゆるステークホルダーを巻き込み、0→1、1→100のビジネス推進に関われる

③複数市場の市況や専門スキルを飲み込み、高速で成果を生み出す力
灯白社には広告代理店・コンサル・ゲーム/アプリ・物販など異業種×エース人材が多く関わってくれています。それらの知見を吸収し、使い、次々と収益に繋げていくスピード感や持久力を養うことができます


灯白社は、多種多様なWEBクリエイターと連携し、「バズる&売れる」現象を作っている自社物販事業、クリエイタープロモーション事業、共創IP事業を主軸に展開しています。

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