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【前編】​“ゆとり”ですが、調査してみた。ゆとり世代のモノの考えと行動パタンを徹底分析!:樋口 進

若者世代論のジレンマ
ここ1か月ほど、流通小売関連のインサイト記事が続いたので、今回はメーカーやサービス業のマーケッターにも役に立つ、興味深いテーマとダウンロードコンテンツを提供しよう。テーマは題して『ゆとり世代ですが…調査してみた!』である。
ゆとり世代をテーマにした日テレの宮藤官九郎氏脚本のドラマ『ゆとりですがなにか』が話題を呼んでいる。思い起こしてみるに、新しい世代が社会に出てくる際には、マーケティング業界では必ずこの手の話は話題になったものである。斯くいう私も、かつて新入社員時期は『新人類』と呼ばれて、『理解できない若者』と揶揄されたものだ。団塊ジュニアしかり、その下のネット世代しかりである。
しかし残念ながら、今、このゆとり世代に関する観測やレポートを見ると、既存の社会に馴染んだ大人からの視点が多く、必ずしも公正とは言えないと感じている。曰く、『打たれ弱い』『組織に馴染もうとしない』『SNSで育ったので人との関係が広いが薄い』等である。
しかし、これは、世代の特殊性を語っているというよりは、単に新入社員として未成熟さ・社会への未適応さを語っていることが多い。この広い日本社会、ひいてはグローバル社会から見れば、学校という組織はあまりに狭く、価値観も一面的、社会に慣れていないのは当たり前だ。問題は、世代によってその学生時代の体験が全く異なっており、自分の新卒の時とあまりに違うため、『最近の若い者は!!』話になりがちだということだ。実は、彼らもここ数年で大きく変わるはずである。単に社会に馴染むということだけではなく、場合によっては『社会を変えてゆく原動力』となるはずである。その辺を鑑みて今回のレポートは、ゆとり世代の特徴を捉えつつも、できるだけニュートラルに語っていきたい。まずは下のグラフをご覧ください。

この2つのグラフを見て、どういう印象を受けるだろうか?ちなみにこれらは、ゆとり世代とその上のプレゆとり世代(33歳まで)を総計した設問に対する回答である。ただし、学生や新卒一年生は除外してある。あくまでも社会人経験2年以上だけをターゲットとしている。社会に出て2年以上たたないと、未成熟なのはあたりまえで、比較にならないからだ。
ちまたの意見を想像するに、『やっぱり凄い消極的だ!』『落ち込んだときに寝るなんて、エネルギーが足りない…!やっぱり打たれ弱いんだ!』とかいう批判が目に浮かんでくる。でもまあ、それはそういう友達づきあいをしてきたのだから、当たり前のような気がする。人とぶつかりあうのは悪いこと・無駄なこと、というような価値観が彼らには根付いているからだ。下手をすると彼らが育った時代環境では村八分にされて、いじめられてしまう。これは『あーーそうなんだ。』とびっくりするに留めよう。

消費しない若者の時代は終わった?
さて、次のグラフを見ていただこう!ゆとり世代を斜め読みしていた人には衝撃的な回答が返ってきた。

『究極の選択』ではないが、お金と地位・名誉、愛…さあどれが欲しいの?という直接的な質問を投げてみた。
するとなんと、『お金』という答えが半分近くも返ってきたのだ。顔をしかめる方もいるがろうが、彼らを相手にビジネスをしようと考えているマーケッターには朗報なのではないか?長い間、車は買わない、服は安いもので済ます、など…『最近の若者は消費をしない!』という論旨がまかり通ってきた。この設問対象者はまだ結婚していない若者である。『お金が欲しい』ということは裏を返せば、お金さえあれば消費してくれる可能性を秘めているということ。実はそんなに淡泊でも『さとり世代』と言われるほど老成してるわけではなく、消費の方向性が変わったということではないのか?

価値観は一歳ごとに揺れ動いている!

全般的な価値観に対するスコアを26歳~33歳まで、一歳刻みで聞いてみた結果を公開しよう。設問は上図左の12問のマトリクス設問。5段階評価でスコアリングしたのが右のグラフである。他社調査でも良く垣間見るが『公私の時間を分離したい』という考えのスコアが圧倒的に高い。しかし、それ以外について一歳毎の変化を見てみると、かなりギクシャクと変化しており、社会に馴染むにつれての線形的な動きとは程遠い。これは実は①世代の特性+②年代による成熟度+③ライフステージや会社でのポジション変化、が重なって複雑な毎年の変化を生み出しているといえる、これらをさらにレポートでは、男女別や異性との交際の有無などで分解してみているので参照されたし。

■ ゆとり世代の実態は、実は消費難民・価値軸難民
このように、『ゆとり世代』は既に価値観が完成された早熟な『さとり世代』である…という論法は怪しくなってくる。学校時代の社会環境の影響によって『ゆとり的モノの考え』は形成されたが、社会に接しはじめて2年以上経ち、そことのギャップを埋める作業の真っ只中と言えそうである。しかし、いずれ普通の社会人になってしまうかというとさにあらず。何らかの社会に対する影響や消費行動の革新に寄与してゆく可能性も高い。


実施した設問の一覧
今回の調査で実査した設問を以下に掲載する。今回掲載のレポートでは前半(以下の部分)、後半は消費行動や買物行動に関するレポートになる。まずは以下からダウンロードしてご一読あれ!


■ 無料ダウンロード「前編“ゆとり世代”の調査レポート」はこちらから
https://www.think-agent.co.jp/2016/06/10/data-8/


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代表取締役 社長
樋口 進

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