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子どもの成長に感動して教員に。そして、校長先生になるという夢

今回は、2019年10/5(教師の日)にTeach For Japan(以下、TFJ)が主催したイベントにて登壇してくれた4期フェローの松尾さんの発表を紹介します。新卒でNPOに就職した理由やTFJフェローになった理由、教員として子どもたちに伝えたかったこととその実践、そしていまの夢を語ってくれましたので、スライドとともに内容を紹介します。


赴任期間:2016~2018(第4期フェロー)

赴任先 :福岡県

校種  :小学校赴任(4年生担任→3年生担任)

出身大学:福岡教育大学大学院 教育科学専攻 技術教育コース

教員免許:中学校技術専修・高校工業専修

経歴  :NPO法人アジア太平洋こども会議・イン福岡→TFJフェロー→学校法人洛陽総合学院洛陽総合高等学校

趣味  :食べること

好きな言葉:死にやせん。

こんにちは。Teach For Japan 4期フェローの松尾です。子どもたちも、大人も、自分自身も、すべての人が「それぞれが自分らしく生きてほしい、そうあれる社会であってほしい」と思って、「カラフルな人生をめざして」というタイトルをつけています。

大学では中・高の教員免許を取得していたので、なんとなく教員になろうかと思って、教員採用試験を受けました。100%気持ちが入っていたわけではなかったので、案の定、落ちてしまいました。そのときに、講師や非常勤講師として学校現場に入るという選択肢もあったのですが、教員になったら関わる子どもたちは、将来、全員が教員になるわけではないので、それ以外の世界を自分自身が知ることが強みになると思い、NPO法人に就職しました。

元々は、小さい子どもたちと関わることには慣れていなく、中高生の教員になるだろうと思っていました。しかし、就職したNPO法人アジア太平洋こども会議・イン福岡では、小学生の子どもたちを外国に派遣する仕事などをしていたのですが、そこで短期間でものすごく成長する小学生の姿を目の当たりにして、「こんなに子どもは変わるのか!」と感動しました。

そして、もっと子どもたちの教育にもう少し長いスパンで関わりたいと考えるようになり、小学校の教員免許がなくても教師として赴任できるTFJのフェローに応募しました。

人を育てるときに、プラスを育てることやマイナスをなくすことに意識を向けることが多いと思います。でも、私は、マイナスを受け止める心を育てたいと思っています。例えば日々でも、嫌だなーと思う日はありますよね。そんな日も受け入れてみる。そうすると、プラスの日がより輝いたり、気持ちも楽になります。

だから、マイナスをなくすのではなく、マイナスをありのまま受け入れいられる人生を歩める人を育てたいという思いから、「プラスもマイナスも含めて、自分や自分の人生を好きになる。」というビジョンが生まれました。

もう一つのビジョンは「多様性」を受け入れる心を持つ人を育てること。これは、もともと強く持っていたわけではありません。自分が多様性を大事にしていた経験を深掘りしていったときに言葉として出てきました。

私は、思春期の時に、みんなが抱えるような悩みを持つことはありませんでした。なぜかというと、小学校のとき、家族がホストファミリーの受け入れをしていたので、違いがあることが当たり前だったんです。だから、肌の色の違いや言葉の違い、みんな違うことが当たり前であることが自分の中にあったので、違いに悩むことがありませんでした。

「多様性」というキーワードから、異文化理解やLGBT理解など、目に見える違いも、目に見えない違いも、子どもたちに伝え、「多様性を受け入れる心を持つ人を育てる」というビジョンを実践に変えて行きました。

1年目の夏休みに、TFJの研修でアメリカのサンフランシスコに行きました。その中でLGBTの話題が出て、その報告として学校で研修を行いました。

これは実際にアメリカの教員向けの研修で話されていた内容です。

「小学校で男の子こっち、女の子こっち、と並ばせているけど、その子どもたちが自分の性がわかっていなかったらきちんと並べないですよね。」という内容です。実際に、性の認識で悩んでいる子どもたちがいます。

こういうときに、教員の一つの声かけを変えるだけで、子どもたちの気持ちを救うことができますよね。

参加した先生たちから「少しの気遣いで大きな違いがあることに気づいた」という言葉をもらいました。関わる大人が変わることが重要ですね。

4年生の保健の授業では、思春期の内容に絡めて、「異性じゃなくても良いし、好きにならないこともあるんだよ」という事実を伝えたりもしました。

ある子が「先生、彼女いるの?」と聞いてきたので、「どうだろうね。」と答えてみると「彼氏?」と聞いてきました。すると、他のクラスの子がくすくすと笑っていたのですが、私が教えていたクラスの子たちが「彼氏でも良いだろ。」と他のクラスの子どもたちに指摘していました。

子どもたちは教師の声かけ一つでスポンジのように吸収して成長してくれるんだと心から感じた出来事でした。

私が赴任していた学校では、人権の授業での授業参観を毎年行っていました。LGBTについて授業をしたいという思いがあったので、学校に提案しました。新しい取り組みでもあったので、最初はネガティブな反応もあったのですが、準備もすべて私自身がやるという約束で任せてもらいました。

これがそのときの板書・授業計画です。

授業をやってみると、子どもや保護者たちからこのような感想をいただけました。「違いを受け入れることの大切さ」が伝わった瞬間でした。

3年間の小学校での教員生活で、子どもが変わっていく場面を何度何度も目の当たりにしました。それは、大人が変わると子どもが変化していくということでもあると思いました。

先ほど紹介した子どもや保護者の感想をみてもわかりますが、子どもが変わると保護者が変わります。そして、保護者が変わると地域が変わり、地域が変われば社会が変わる、社会が変われば世界が変わるのだと思います。

まず、大人が変わることが大事で、私自身は、ずっと子どもに関わることをしてきたので、学校の中から教師を変えたいと思っています。そのために、将来は校長先生になりたい。いま、そのために、私立の学校で修行させてもらっています。一歩ずつ、目標の実現に向けて歩んでいこうと思います。

(編集後記)
子どもたちに伝えたいことを学校現場で丁寧に実践していく松尾フェロー。様々な実践をしたからこそ見えてきた子どもたちや周りの人の変化と、その先の自身の夢。「校長先生になる!」と力強く語る松尾フェローの今後の活躍が楽しみです。

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