このシリーズでは、株式会社シナジーの社員や役員にインタビューを行い、
「シナジーってどんな人がいるの?」
「ぶっちゃけどんな仕事してるの?」
「シナジーに決めた理由は?」
などなど、赤裸々に話してもらいます!シナジーの雰囲気や歩み、社風などを知っていただければ幸いです!
今回はシナジーの「採用スローガン」について代表取締役の樽本社長に聞きました!
──シナジーの採用スローガン策定の背景や意図を教えていただけますでしょうか。
樽本:まず、サラリーマンを辞めてシナジーに参画する時から「この会社をどうしていくべきか」と承継について考えていました。
20世紀型の資本主義経済、すなわち「お金を持った人が経済を動かしている」「会社は株主が動かしている」といった考え方に、私はずっと疑問を持っていたんです。
将来を見据えると、従来のピラミッド型の組織ではなく、よりフラットでニュートラルな関係性が必要だと感じていました。
社長は社長の役割を、株主は株主の役割を全うし、社員も社員の役割を果たしていく。
一つのコミュニティとしての会社のあり方を考えると、このような関係性が適切だという結論にたどり着いたんです。
──従来の会社組織のままでは立ち行かなくなるだろう、と考えてらっしゃったのですね。
樽本:そうです。しかし、理想的な会社のあり方を描いたところで、大きな変化はすぐには起こりません。
ただ、長期的な視点で考えると、早い段階から会社としての方向性を明文化して、打ち出していく必要があるんじゃないかと考えました。
「社長として、社員に何を残すべきなのか?」「一人の日本人として、何を次の世代に残すべきなのか?」を自問自答していくと、会社が何を残すべきか見えてきました。
それは、「人と志を継承し、自立した経営が可能な状態を築くこと」。
ここから、シナジーの採用スローガンである「人と志を、未来へ。」が生まれました。
採用メッセージのなかでも「私たちの目的は、売り上げでも利益でもありません」と記載しています。
利益はもちろん必要ですが、それは当然のことであって、目的になるべきではないという話なんです。
もちろん、利益やお金は会社や人が生きていく上で必要なものですが「お金だけを残しても、次の世代の人たちが必ずしも幸せになれるわけじゃない」と考えました。
目的はそこにあるのではなく、もっと大きな意味を持つものです。
──会社の目的は利益を超越した何かであって、シナジーの場合、受け継がれるべきは「人と志」だと。
樽本:ええ、そうです。私としては「明治維新」のようなイメージが正しい方向なのではないか、といったことを考えていたんですね。
日本人として強くなっていく考え方と仕組みや、今の日本の近代国家の礎も、ほとんどは明治維新によって築かれたものです。
明治維新では、吉田松陰を中心とした志士たちが立ち上がり、新しい時代を作り上げました。
松下村塾が立ち上がっていき、門下生である桂小五郎や伊藤博文などが育ち、坂本龍馬も加わっていく。
彼らはお互いに切磋琢磨し、新しい日本を築くために行動しました。坂本龍馬も日本で初めて株式会社を自分で立ち上げるなど、ベンチャースピリットあふれる人間でした。
今一度、会社の使命は若い人たちが将来に向かって立ち上がっていく環境を作ることなんじゃないかな、と思ったんです。
次の時代を作るのは、常に若い人なんだっていうのは、もう歴史が証明してることですよね。若い人や優秀な人材はたくさんいます。
「出る杭は打たれてしょうがない」という風潮ではなく、彼らがリーダーシップを自由に発揮できる環境を整えることが重要です。
ーそこで採用スローガンを「人と志を、未来へ。」と制定なさったんですね。
樽本:はい。志のある若者が自由なコミュニケーションを通じて、新しいアイデアや革新的なものが生まれる環境を作ることが会社のあるべき姿です。
新しいものは対話や議論の中でアイデアが深まって生まれます。
デザインの世界でのブレインストーミングのような自由なコミュニケーションを通じて、革新的なものを世の中に還元していくことが会社のあり方だと考えています。
この考え方は私が昔から感じていた会社や社会、日本の働く環境に対する違和感から来ています。社
会を変える上で違和感は大切な要素だと思うのです。
シナジーもまだ完璧な理想を実現できていない部分があります。社員の視点から見た違和感は残っていますし、私自身もまだ解決できていない課題があります。
しかし、少しずつ違和感へ対処していくこと、あるべき理想に近づいていくことには意味があります。
小さな変化でも、それが次の世代に引き継がれることで大きな変化となる可能性があるからです。
エンパワーメントや権限の委譲については、一度に完全に解放することは難しいですが、みんなが自主的に自立し、責任を持って進んでいける状況を作っていきたいですね。
ーゆくゆくは、シナジーグループは、10人の経営者を育て、100億円のグループ企業を目指しているとか。
樽本:自分たちの理念を実現し、社会的なインパクトを持つためには、ある程度の規模が必要不可欠なのです。スケールメリットを発揮して様々な投資に対してバイアスをかけることができるからですね。
ただし、従来の古いスタイルでは、1つの会社で100億を達成すると、下から上までの距離がますます広がってピラミッドのような組織になってしまいます。
それでは古い方法になるので、私たちは新しい方法を考えた、というわけです。フラットな組織でありながら、スケールメリットを生み出していくことができれば良い。
それには、10人で1つの会社をそれぞれ10億円まで育てることが十分なのかなと思います。
1つの会社でスタッフが30人ぐらいになると、一人の人が責任を持って面倒を見るのが難しくなってしまいます。
そのため、実際には各事業ごとに分社化して成長していくことが良いと思っています。
ー採用スローガンにもある”志”を持った人材、を噛み砕くとどういった人になるのでしょうか。
樽本:最初から「志を持った人材」は難しいかもしれませんよね。かくいう私自身も、最初から社長になろうと思って過ごしたわけではありませんでした。
(樽本がこれまでの人生について語ったインタビューはこちらから)
どういう人が弊社に来てほしいか考えた時に「好奇心の持ち主」というのが、一つの答えだと思うんです。
好奇心は違和感や課題を見つけ出し、解決していく源泉となります。
同じものを手に取ったとしても、好奇心が強い人は異なる感じ方をするでしょう。
「なぜこうなっているのか」「なぜこの色なのか」など様々なことに興味を持ち、その追求から新たな発見に至ることが多いものです。
トヨタの文化でも、何度も「なぜ?」をくり返して深掘りすることが重要とされていますね。
好奇心があれば、もう一つの重要な要素である「調査・研究」もやりやすいと思います。他社の課題を解決するためには、調査・研究が非常に重要です。
自社の製品やサービスをただ提案するだけではなく、その提案がタイミングも含めて他社のニーズに合致しているかどうかを考える必要があります。
調査・研究と聞くと大げさに聞こえるかもしれませんが、実際に誰もが日常の中で行っていることです。
特に今の時代は、SNSなどの情報が豊富にあり、情報収集は昔より簡単になっていると思います。
調査の結果や気づきをこまめに記録し、アーカイブとして残せる人も素晴らしいですね。
例えば、私たちが若い頃は新しい業界に営業に行く際、業界新聞の記事をコピーしていました。営業先で業界についてのスクラップブックを持って行き、最新の記事を参照しながら話をしたものです。
「先日、〇〇業界ではこんな取り組みが始まったようですね」といった会話ができると、相手の業界や取り組みを知ろうとする誠実な姿勢が伝わります。
調査・研究は能力や専門分野に関係なく、純粋な好奇心と情熱が根底にあるものです。地道な作業ではありますが、誰でも粘り強く取り組めばできること。
こういった姿勢を持った人は「再び一緒に仕事をしたい」と思ってもらえるし、世の中を良い方向に導いていく人なのではないでしょうか。
ー採用スローガンの制定の背景と、シナジーが目指す理想の会社というコミュニティのあり方について知ることができました。ありがとうございました!