はじめまして
京都大学農学研究科の奥村穂です。私は、2024年9月‐10月末にかけてカンボジア・プノンペンのSunrise Japan HospitalのIT部門でインターンをさせていただきました。
目次
参加した理由
行ったこと
カンボジアでの生活
最後に
参加した理由
参加した理由は、主にキャリア選択を悩んでいたためです。大学では代謝性疾患モデル動物の研究をしていましたが、将来は企業に属してサラリーマンとして働くか、医療職などの患者さんに近い立場で働くか迷っていました。そこで、病院で実際に働く経験を積みたいと考えました。同時にカンボジアという発展途上の環境に身を置く経験も積むことができる貴重な機会だともとらえていました。
行ったこと
主に以下のプロジェクトに取り組みました。
・看護師のシフト作成
看護師のシフト作成は、勤務上の制約や習熟度などから非常に複雑で、数理解析の世界では「ナーススケジューリング問題」とも呼ばれています。現状のwebサービスでは正確さや使い勝手とコストの両立が難しいことから、AIを活用しながらプログラミングを使った解決に取り組みました。
・自院webサイトのデータ分析
今月でオープンから8年目を迎えたSJHですが、カンボジア国内での知名度にはまだ伸びしろがあります。マーケティング部門と連携し、現状運用しているwebサイトやSNSを用いて、データに基づいた効果的なプロモーションを行うための分析を行いました。
余談ですが、カンボジアの人々のインターネットの使い方は日本人のそれとは全く異なっています。検索エンジンから検索することは日本より少なく、口コミの力が健在です。SNSについては、日本ではLINEやTwitter、Instagramが主流なのに対して、カンボジアではFacebook、Telegramが人気です。そもそも文字のメッセージでなく、ボイスメッセージでやり取りする人が多いです。
このような特徴を踏まえつつ、競合などのデータから次に注力するべきプロモーションを検討しました。
・ウェアラブルウォッチを使ったバイタルモニタリング
入院患者だけでなく、リハビリテーション科や入院後のモニタリングでの活用を実際に試し、適用できる患者さんの特徴や場面を詳細に調べました。このプロジェクトについては、実際に患者様にサービスを提供できる段階に来ています。
・スマートデバイスを用いた環境測定
医療用精密機器の管理のため、温度や湿度を記録する必要があります。従来はスタッフが目視で確認する作業がありましたが、自動測定できるデバイスを導入しました。
その他にも、通訳デバイスの導入やAIを用いた入院費の予測、クリニックのディフューザーの購入など、多岐にわたって効率化や満足度の向上に取り組みました。
カンボジアでの生活
渡航直前に腕をケガしていたため、生活に不安がありましたが、基本的にトゥクトゥクで移動していたことや診察やリハビリを受けられたことにより、快適に過ごすことができました。一番驚いたのは交通についてです。原付バイクの3人乗りや信号無視なども普通に行われており、驚きました。
食事に関しては、一度激辛のガパオライスに当たって以降、現地の人に尋ねながら辛い物をなんとか回避して過ごしていました。ご飯は外食でも5ドルくらいで食べることができ、また、カフェが多く、どこでも美味しいエスプレッソが飲めます。
イオンモールやマーケットに行けば、食べ物や生活必需品のほとんどを手に入れることができます。ただ、個人経営の路面店が多く通販の仕組みが整っていないことから、日本と同じようにはいかないこともあります。日本から持ってきた私物のPCが壊れてしまった時には、部品を見つけるのに涙目でPC会社を5,6個回ることになりました。心なしかサバイバル能力もついた気がします。
最後に
インターンシップを通して、もはやITは医療にとってなくてはならないものだと感じました。また、変化のスピード感は想像以上で、ITの将来の社会を変える可能性を肌で感じることができました。
初めて医療現場で働く経験を通して、学んだことも多かったです。急患時はすぐに駆け付けて懸命に治療を行う医師や看護師さんの姿や、病気を乗り越えて生活を取り戻すためにリハビリをされる患者さんの姿から、物事への取り組み方や人としてのあり方を見直すことができました。
このような貴重な経験を通して、自分自身のキャリアの方向も定まりつつあるように思います。医学生だけでなく、医療に興味のある方はぜひ挑戦してみてください。
吉見さんをはじめとして、未熟な私を受け入れてくださったSunrise Japan Hospitalの皆様には大変お世話になりました。心から感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。