アメリカのデザイン文化に触れ、グラフィックデザイナーに
ニューヨーク州立大学ファッション工科大学(FIT)にてファインアートを専攻していました。ニューヨークでデザインを学ぼうと思ったきっかけは、実家が阪神大震災の影響を受け、その修繕・改築をしていたときに出会った建築家の影響を受け、ポップアートに興味を持ちました。ポップアートといえばニューヨークということで、FITへ。日々アメリカで生活している中で、アメリカの街並みにあるビル番号にふと目を向けると、日本と違って建物に番地が表記されているのですが、建物によってさまざまな表現でデザインされている表記を見ているうちに、グラフィックデザインというものに興味を持ち、油画からグラフィックデザイン専攻に編入しました。
4年次から教授に誘っていただき、デザイン事務所にてインターンを始め、卒業後もそのまま就職し、アメリカでデザインの基礎を学ばせてもらいました。American Express Private Bankのキャンペーン広告でAmerican Graphic Design Awardを受賞をするなど、素晴らしい環境で働けていたのですが、日本のタイポグラフィーを知りたいと考え、帰国しました。
帰国後、当時の自分が働きたい!と思っていた企業にデザイナーとしてのキャリア採用がなかったのでフリーランスで活動をすることに。日本とアメリカでのデザインの考え方や細かい決まり事にギャップがあり、最初の一年はトライアンドエラーを繰り返しながら、新しい環境に慣れていきました。
ただこの時の経験がなかったら、今の自分をつくっていなかったし、なんでもやってみる精神がつかなかったのかなとも思います。
メンバーみんなの屈託のない笑顔が入社の理由
フリーランスとして活動していた時は、ビジュアルアイデンティティの策定からカタログ・企業広告や商品広告、パッケージデザインからWebに落とし込むまでデザインに関わる”すべて”を一人でこなしながらも、常に面白そうな企業やプロジェクトを探していました。
Sun*の取締役である梅田とはフリーランス時代から知り合いで、彼の前職であるシェアリングエコノミー領域のスタートアップにデザイナー・アートディレクターとして参加させていただきました。初めてのIT業界でした。そこでは、プロダクトのデザインのみならず、コーポレート、展示会場などのデザインを担当し、Good Design Awardを受賞する経験もさせていただきました。
当時入居していたコワーキングスペースで、同じ入居者である起業家やエンジニア、デザイナーと交流していく中で、課題解決・価値創造のデザインへと志向が変わっていったと思います。
Sun*との出会いも、梅田が転職したのをきっかけに、梅田に「遊びにおいで」とイベントがある度に誘われたり、業務委託での案件相談を受けていたことが始まりです。遊びにいく度に、Sun*のメンバーとコミュニケーションを取ることでカルチャーやメンバーのユニークネスに触れ、素直に面白い会社だなぁと思っていました。入社を決める前までは、フリーランスのままでいいやと考えていたのですが、これまで14年間フリーランスとして活動していた環境を思い切って変えていきたいと感じ始めました。
一番の決め手となったのが、本当にシンプルなことですがメンバーみんなが人・モノ・コトに全力で興味をぶつけてきてくれて、共感ある話をしてくれて、屈託のない笑顔で「入ってよ」と言われたことが大きくて。明日から隣にいてもなんの不安もないような壁のなさが居心地よかったのを覚えています。
ユーザーに価値をきちんと届けることがデザイナーの仕事
2018年にクリエイティブディレクター/デザイナーとして入社し、大企業・スタートアップに関わらず、事業立ち上げのコンセプトメイキングのフェーズから関わっています。入社した当初は、デザイナーが少なく、自分もフリーランスの経験しかないまま会社に属した時のロールが確立してなかったので手当たり次第やるべきことをやっていました。スタートアップスタジオの立ち上がり時期だったので、LP作成はもちろん参画しているスタートアップのサービスデザイナーとして支援をしたり、(Framgiaから)Sun*へリブランディングしたばかりのタイミングだったので足りないピースを埋めるような仕事をしたりしていました。
そこからロールを確立させ、さまざまなクライアントと共創しながらブランディングやブランドコンセプト立案などの支援をさせていただきました。
Sun*は2020年7月に上場をしましたが、その際に必要な目論見書、成長可能性資料、コーポレートサイト刷新のデザインリード・ディレクションを任せていただきました。上場するというのは、多くの方に知ってもらう一歩ですし、目に触れられやすい資料やコーポレートサイトは、会社の顔になるものです。ボードメンバーと何度もコミュニケーションをとり、そのイメージをデザインに落とし込むということ、共通言語、デザインしやすい環境を作りにいくことは自分の役割だと感じましたし、やりがいもありました。
ここ一年は、大きいプロジェクトに関わっていてヘルスケアサービスの事業立ち上げフェーズからサポートしています。Sun*はビジネス・テック・クリエイティブが三位一体となって連携しながらプロダクトを作り込んでいくことに強みを持っていますが、その典型となるプロジェクトです。クリエイティブとしては、プロダクト開発に関わるUI/UXデザインにとどまらず、サービス全体を考えたコミュニケーションデザイン、コンテンツのディレクション、撮影など、ユーザーに価値をきちんと届けるという目的のために必要であること全てをチームで担当しています。
Sun*のメンバーは、目的ドリブンな思考を持ち、提供したいものを起点に物事を考えられる人が多いです。たとえば、エンジニア視点で、頭から実装できないというコミュニケーションをとるのではなく、「こういうUXを実現したいなら、こういう解決法がある」とか。このコミュニケーションがデザイナー視点からすると本当に助かっています。デザイナーだけでなく、ビジネス・テック・クリエティブの関係性が良くなくては、この環境は生まれてないのかなと。
後はビジョンに忠実な人が多いと思っていて、当たり前と思うことかもしれませんが、ポジティブで熱量の高いメンバーばかりで、このチームがいたら本当になんでも作れるんじゃないか?と思いますね。
不確実性が高くても"デザイン"を楽しみ続けたい
デザイン業務において「やってみる」「描いてみる」みたいなことが、スピードやクオリティにつながると考えています。また、ほとんどのプロジェクトにおいても不確実性が高く難しいものですが、それを楽しみながらデザインするマインドや、チーム・クライアントを巻き込むコミュニケーション能力が必要だと感じています。
僕は現場の熱量の高さが好きで、創る=「楽しい」というシンプルな理由で新しい価値を産み続けたいし、”新しい何かに触れる”ということから離れるのは怖いと思っています。
なのでこれからも、デザイナーとしてさまざまなプロジェクトに関わりながら価値創造に夢中になれる世界に向かっていきたいと思っています。また、一緒に挑戦してくれるメンバーの育成にも注力していきたいです。2021年、2022年とたくさん優秀なデザイナーたちが入社し、デザイナーも僕が入社した当時より数倍以上と急拡大しましたが、僕も負けないようにお互いに切磋琢磨していきたい。Sun*のデザイン組織をこれまで以上に、やれる幅と深さを広げ価値を発揮できるようにしていきたいと思っています。
組織として良い循環をつくるために新しいメンバーの底上げが必要であって、Sun*がありたい姿を成し遂げるためにはここが一番必要だと感じています。微力ながら自分がこれまで培ってきた技術や知見を共有しつつ一緒に成長していきたいです。
竹本慶太郎 / デザイナー
ニューヨーク州立大学 F.I.T. /Communication Design学部Graphic Design科卒業。ニューヨークのデザイン事務所でグラフィックデザイナーとして大手金融会社のANNUAL REPORTなどのデザインシステムやC.I.開発に従事。帰国後はスタートアップにアートディレクターとして参画し、コーポレートやプロダクトに関わる全てのデザインを担当。2019年にSun*に参画後、デザインシンキングなどを用いた新規サービス・プロダクトのブランディング、コンセプト開発を手掛ける。
【賞歴】American Graphic Design Award / Good Design Award